夏の口紅 (文春文庫)

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  • 文藝春秋 (2009年7月10日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (288ページ) / ISBN・EAN: 9784167531089

みんなの感想まとめ

独特な文体で描かれるこの作品は、青春の甘さと切なさが詰まった物語です。主人公の礼司は、父の死をきっかけに従妹の季里子と出会い、消えた姉の存在を知ることで、自身の生き方に影響を与えられます。登場人物たち...

感想・レビュー・書評

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  • 読んだのは、たぶん7月の中旬くらい。

    樋口有介にしてはイマイチかなぁー(^^ゞ
    たぶん、主人公たる二人(礼司&季里子)の魅力が、樋口有介の小説(のファン)としてはイマイチなんだと思う。
    普通すぎる?、…んだよね。

    ただ、この小説に出てくる二人が“普通すぎる”っていうのは、『夏の口紅』がミステリー小説(「事件」がテーマではなく)ではなく、文芸作品(二人が出逢った夏の話)であるということで、そうなった面があるような気がするかな?
    それは、たぶん、必然として。
    ミステリー小説というのは「事件」という、主人公たちが特異な状況に置かれる話であるのに対して、これはあくまで「日常」の話だ。
    「日常」というのは普通だから、目立つ「特異」はない。
    もちろん、「初恋」という人生の大イベントwの話ではあるのだが、でも、「事件」がテーマのミステリー小説でない以上、小説としては、あくまで「日常」の話なのだ。
    事件という「非日常」は、普通である登場人物たちから「特異」な面を引き出すが、これは「日常」の話だから、登場人物たちも「日常」のままでいる。
    この二人が“普通すぎる”のは、そういう理由なんだろう。
    (もっとも、その“普通すぎる”は、あくまで樋口有介の小説としては“普通すぎる”だw)

    そんな『夏の口紅』だが、個人的な好みを言うなら、いかにも樋口有介の小説に出てくるキャラって感じの画家の友部さんとその娘をエピソードとして、ストーリーに絡ませられなかったんだろうか?って感じかな。
    だって、友部さんの娘さんなんて、友部さんの口から「わたしに似ているから美人よ」って紹介されるだけなんだもん(^^ゞ
    友部さんが魅力的なだけに、なぁ〜んか、ちょっともったいない。
    あと、香織も、もっとストーリーに絡んできてもよかったんじゃないかなぁー。
    ぶっちゃけ、ヒロインである季里子がイモっぽい(爆)だけに、もうちょっとその魅力をエピソードとして描いてほしかった気がするかな?
    あとは、和可子も、別のストーリーとして描かれてもよかったように思う。
    もっとも、樋口有介の作風としては、そういうのはないんだろうけどさ(^^)/


    シラケたのは解説。
    “樋口作品たちの語り手はひどく恰好をつけているけれど、ただ気障なのではない。彼らは照れているのだ”って、そんなこと、説明されてわかっちゃったらさ。照れている当人たちの立場、ねぇーじゃん!(爆)
    今はなんでもそんな風に、解説してわかりやすくしちゃうから、小説でも、映画でも、ドラマでもつまらなくなっちゃうんだよ。
    この解説している人って、作家らしいだけど、そんなこともわからないのかな?┐(´д`)┌

  • 文体が独特でかっこいい。
    ハードボイルドに近い、心理描写を避けて、結果を書く。
    いつの間にかはまっています。

  • 樋口作品はミステリばかり読んでいたので、
    こういう酸っぱいテーマの作品は新鮮(^ ^

    登場人物が、みな世を拗ねていたり、
    何かから絶賛逃避中だったり、
    はたまた問題を抱えていたりと、で
    「普通の人」が出て来ない気が(^ ^;

    でも、誰もが皆「リアルな生」を生きていて、
    もしや世の中に普通の人などいないのでは、
    と思ってしまう危険な作(^ ^;

    恥ずかし気もなく断言してしまうと、
    主人公二人の「純愛」がテーマの作品。
    二人をはじめ、周りの人間みながひねくれてるので、
    とてもじゃないが話は一筋縄で進まない。

    でも、本当に男女が惹かれ合うということ、
    好きになるということ、もっと単純に
    相手と一緒にいたいと願う気持ち...

    ひねくれている筈の主人公二人は、
    実は自分の思いに対しては
    悲しい程ピュアだったりする。
    だけど、と言うか、だからこそと言うか、
    自分たちで問題を生み出したりもするが(^ ^;

    いや〜、何か、若いというのも
    悪いことばかりでもないね〜(^ ^

  • +++
    十五年前に家を出たきり、会うこともなかった親父が死んだ。大学三年のぼくは、形見を受け取りに行った本郷の古い家で、消息不明の姉の存在を知らされ、季里子という美しい従妹と出会う。一人の女の子を好きになるのに遅すぎる人生なんてあるものか…夏休みの十日間を描いた、甘くせつない青春小説。
    +++

    改めて上記の内容紹介を読んで、たった十日間の出来事だったのか、とその内容の濃さに驚かされる。礼司にとって、この十日は、おそらくこれからの生き方をも変える十日となったことだろう。顔も覚えていない父親の死の知らせ、父の義理の娘・季里子との出会い、存在さえ知らなかった姉を探すこと。降って湧いたような難題が、これでもかというくらい礼司に襲い掛かってくる。律儀に――礼儀正しくと言ってもいいかもしれないが――クリアしようとする礼司も、あちこちに迷惑をかけっぱなしだった父同様、たしかに少々変わっているのかもしれない。だが、そのことによって、父の生きてきた道と、残したものを知ることができ、意外に憎めない思いとともに受け止めることができるようになったのかもしれない。奇を衒ったところは何もないが、みっしりと詰まった一冊である。

  • 会話の部分が特に良かった。他の作品にはない雰囲気。この人の作品をもっと読みたくなった。

  • 昨年亡くなられた樋口さんの青春小説。数々の青春小説から探偵小説等、様々楽しませてもらいました。謹んでご冥福をお祈りすると共に、残された作品を読み続けたいと思います。
    本作はとにかく義妹の李里子がかわいいので、翻弄される主人公が見所。謎があるような無いような。

  • 15年前に母と離婚し、家を出たきり一度もあっていない父が亡くなった。
    大学3年生になった礼司は、亡くなった父の形見を受け取りに本郷の親父が住んでいた家に向かう。

    そこで自分には姉がいるという衝撃的な事実と、季里子という無口な従妹に出会う。

    父は礼司に蝶の標本を残しており、姉にも同様のものが残されている。

    姉の存在を探りながら、季里子との距離も徐々に詰めていく。

    姉の過去をたどると自分が今、接点を持つ身近な人にたどり着く・・

    そこでもまた衝撃的な事実が・・・

    季里子は、徐々に礼司に心を開いていく。

    この季節に読みたい本

  • 2015.1

  • 主人公の礼司に腹違いの姉がいることを知り、姉を捜索する…というお話です。
    表面上は青春小説らしく爽やかなテイストなのですが、中身はドロドロとしたお話だったのでアンバランスな感じがしました。
    また、オチは安易な感じでしたし、父親の残した「蝶」という謎も未消化に終わったので、色んな意味でスッキリしない作品でした。

  • 主人公のセリフでないつぶやきが秀逸。父親の訃報を起点とし、父親の遺品の意味と存在すら知らなかった姉捜しが始まる。奇妙な義理の従妹が義理の妹になり、そして特別な存在になる。彼女の、きっと捜してくれるから、捜してくれるはず、やっぱり捜してくれた。というありがちのパターンは十代の頃の出会いたくない恐怖の一つであったな。

  • 二十歳の男の子ってこんな大人びてたかな…?
    26の香織も私よりはるかに大人だし…

    季里子に一番共感してるあたり、自分は子供っぽいのかな。礼司が何故そこまで惹かれたのかよく分からない部分はあるんだけど、それが初恋ってやつか。

  • 作者の作品のなかでも、恋愛小説としてきちんと山場があるのが良い。文章、会話は絶品。解説が米澤穂信なのが、個人的に嬉しい。

  • すこしキザだけど好きな文体。

    「存在自体が困る」大学生の男の子が主人公で
    自分の知らない過去を探りながら、初恋をするというお話。

    相手が美少女じゃないほうがリアルでいいのに、と思った。

  •  15年前に家を出た父親が死んだと知らされた主人公は、父が暮らしていた家にいく。そこには父が、彼と彼の知らない姉との二人に残した蝶の標本と、初めて会う従妹がいた。

     女性の存在感がすごかった。
     ケーキ研究家をしている主人公の母親は、元夫が死んだという知らせを聞いて「お祝い」だといい、残したものを引き取りにいくのを、息子に押し付けてしまう。いい意味でも悪い意味でも、純粋培養で育ったお嬢様。邪気も嫌味もなく、ふわふわと生きてる感じが、反対に妙にたくましく見える。

     そして、父が再婚した相手の姉<見事に太ったおばさん>。竹を割ったようなと感じの潔さがある。
     その、おばさんの娘、口をきかない、でもとっても綺麗な娘、季里子。

     父が、母親と結婚する前に付き合っていた女性との間に生まれたという娘=姉を探して、主人公と季里子はお互いの存在を近づけていく。
     
     という、ボーイミーツガールの物語かと思ったら、幻の姉を探すことは、父の足跡を追うことになり…。

     子供は、絶対誰かの子供なのだ。そして子供は、親の背中を見ながら成長し、それを追い越していくものなのだろう。
     
     すべては、親の離婚によって離れ離れになってしまった父親からの、最高のプレゼントだったのかもしれない、と思うと自然目頭が熱くなってしまうのであった。

     とっても面白かった。

  • 主人公たちのかみ合わない会話にイライラさせられますが、その内容に思わずクスッと笑わせられます。それが新鮮で、すごくおもしろかった。言葉選びが天才だと思った。男の子目線の恋愛小説は苦手だったんですが、きゅんきゅんせずにはいられなかった。

    • koshoujiさん
      初めまして。
      あまりにも樋口有介作品「ピース」の評価が低く、ファンとしてはまことにやるせなく、「樋口有介な人」を探していました。
      彼の作...
      初めまして。
      あまりにも樋口有介作品「ピース」の評価が低く、ファンとしてはまことにやるせなく、「樋口有介な人」を探していました。
      彼の作品はミステリーとはいえ、本質はハードボイルド小説。
      楽しむのは謎解きとかではないように思うのです。
      私が好きなのはあの独特の文体で、細かい情景描写や独特のシニカルな言い回し、会話を楽しんでます。
      また、輪をかけて女性読者に評判が悪いのは、出てくる女性があまりにも都合よく美女ばかりということなんでしょうか。
      おっさんにとっては、ロマンのあるヒーロー小説の一面もあるわけで(笑)
      若者が主人公でも、独特のヒロイズムとシニカルさが好きですが。
      貴女のような若い女性が、彼の作品が結構お好きなようで、少しホッとしているところです。
      2012/07/08
    • りささん
      >koshoujiさん
      はじめまして。
      私も樋口有介作品大好きです!
      ネットのレビューを見ていても評判はあまり良くなく、私も同じようにやるせ...
      >koshoujiさん
      はじめまして。
      私も樋口有介作品大好きです!
      ネットのレビューを見ていても評判はあまり良くなく、私も同じようにやるせない気持ちになっています。
      たぶん、女性が完璧すぎるというのもありますが、主人公がさっぱりしているのと、似たような作風、推理小説にしては爽やかなところが受け入れられないんじゃないかと思います。
      ですが、樋口さんの小説は、そこもひとつの味というか良さであって、それ以上に人物の会話が素晴らしいのに、と残念に思っていました。
      ここ最近は、以前よりも本屋に樋口有介作品が並び始めたので、男性だけでなく女性ファンも増えるのではないでしょうか。
      これをきっかけにもっと人気が上がれば、と願っています(笑)
      2012/07/16
  • あぁ・・樋口センセの文章は色彩と音が豊かです。花の描写や風の音が目に浮かぶようです。読んでいるとそれらの色や音が頭に残ってまるで曼荼羅を聴いているようないい気分になってくる。トリップ状態ですね(笑)何を大げさな・・と思われるでしょうが、私にはそうなんですから仕方ない♪だから樋口センセの本を読んだ次の小説はなかなか乗れないことが多い。なんか流れるようには読めないんですよね  15年前に別れたっきり顔も覚えていない父親が死んで、突然現れた美少女・・なんとボクの妹だと言う・・・ちょっと不思議な一夏のボーイ・ミーツ・ガール!そう!樋口ワールドの始まりです。 人生を達観した青年を書かせたら日本一の樋口センセ!今回その解説が「省エネ高校生」を書いてらっしゃる米澤穂信さんというのも面白い組み合わせでした。興味深く読みました・・なるほど・・・

  • 好きな女性に必ずプレゼントした作品。樋口有介が描いた最高のヒロイン。青春という言葉を大切にしている人は必ず読むべき小説。

  • 先日読んだ「海泡」の解説で、樋口有介せんせの夏に関する作品がつらづらっと挙げられていたので、よっしゃ読み返したろー!っていう個人的気運盛り上がり中。

    今作もまた主人公の男子はカッコつけてて、そしてカッコ悪い。
    特異だなと感じたのは、せんせの作品で好きなトコロは主人公とヒロインの会話の妙にあると考えてるのですが、今作のヒロイン、会話のコミュニケーションに難あり。
    いつもの小洒落た会話がなかなか繰り広げられないんですよねー。
    もちろん、ヒロイン以外の女性との会話にその味わいは見られるのですが。

    まあしかし、会話が無くても主人公の洒落た振る舞いは見どころあるわけで。
    10代のヒロイン、20代のお姉さん彼女、40代のお母さん、50代のおばさん…て、どの年代の女性に対しても臆すること無く賢く振る舞いますねえ。

    今作の解説は米澤穂信センセなのですが、そうした主人公の振るまいを気障ではなく照れているのだと評してますが、ああなるほどって感じ。
    そうしたいわゆる「照れ」なんかだと、「ぼくと、ぼくらの夏」の戸川くんがヒロインに対して告白するシーンとか、あれなんかまさに照れだし照れ隠しだと思います。

    ああ、「ぼくの」で思い出した。
    今作もヒロインが主人公を迎えるように仕向けて待っているようなシーンが。
    そういったところが樋口有介せんせの作品におけるヒロインの可愛らしさだと思うのですが如何に。

    主人公は女性の扱いに長けているように見えて、いつだってヒロインに振り回される。
    そこが面白いのです。

  • 変わり者の母と二人で暮らしていた大学生のぼくは、実父の突然の訃報に戸惑っていた。家にいた記憶も写真も残っていない、
    そんな父が自分に残した物があるという連絡を受け再婚した父が最期に過ごした家を訪ねる事となった。そこにはぼくの妹らしき女の子がいて…

    二十年以上前のボーイミーツガール作品。
    今読んでも「青春だなぁ~」とは感じるものの、しっくりぴったりとは来ず。作者と同年代の方ならノスタルジーを感じられるのかも。

  • 青春小説にしては人死にすぎじゃない?
    出来すぎててあまり面白くなかった

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著者プロフィール

1950年、群馬県生まれ。業界紙記者などを経て、88年『ぼくと、ぼくらの夏』で第6回サントリーミステリー大賞読者賞を受賞しデビュー。『風少女』で第103回直木賞候補。著書に『礼儀正しい空き巣の死 警部補卯月枝衣子の思惑』、「船宿たき川捕り物暦」シリーズの『変わり朝顔』『初めての梅』(以上、祥伝社文庫刊)など。2021年10月、逝去。

「2023年 『礼儀正しい空き巣の死 警部補卯月枝衣子の策略』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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