幻想に生きる親子たち (文春文庫 き 14-8)

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (374ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167540098

感想・レビュー・書評

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  •  岸田秀さんの言葉は、相変わらず鋭い。 本文より・・・要するに、誰だって、好きなことをやっているときは「ねばり強い」か 「しつこい」のであり、好きでもないことをやらされるときは、「あきっぽい」か 「あきらめがいい」のである。「あきっぽい」とか「ねばり強い」とかの性格傾向が、 ホルモンやアドレナリンのような実態として子供の心の中のどこかに実在してい るわけではない。~結局、子供も生徒も、おのれの歩みたい道を歩むのである。

    ―― 私は、これからの厳しい時代、ストレスをコントロールできなくなる人が増えると 思います。ですから、マネジメントに携わる人は、心理学や精神分析を学び、 自分と部下たちの強み弱みを把握することで、個々の能力を最大限に活用し、 弱みを補い合う必要があると思うのです。

     以下は、岸田秀さんの言葉ではなかったかもしれませんが「人は誰でも(やりたくないことを含めて)、その時、一番やりたいことをやらざるを得ない。」という話です。ねばり強いか、あきっぽいかは、あきらめが関係している?

     精神分析が示しているのは、どんなにテクノロジーが進歩しても、太古から変わらない人間の欲望を示しているという点で、押さえておきたいと思います。

     私が岸田秀先生を知ったのは、20代の頃、伊丹十三さんと岸田秀先生との対談『哺育器の中の大人』を読んだことが切っ掛けでした。本当に、喉の閊えが取れた感じがしました。

  • あの有名な精神科医のフロイドが、一神教(世界三大宗教)の起源がエジプトにあると断言する。モーセはエジプト人(その証拠もある)で、ユダヤ教はある宗教に由来するらしい、その宗教とは、ファラオが異民族を支配するために生み出された一神教(太陽神)のことである。

    ファラオ亡き後、エジプトは衰退し、帝国の勢いは失われるのだが、モーゼがファラオの意志を継いで、ユダヤ教という形でユダヤ人国家を成立(その方向へ)するに至るわけだ。なるほどね。信じるか信じないかはあなたしだいである(笑

  • 難しい…。淋しがり屋の人嫌い、はすごい分かる。

  • 著者の考え方に賛成できる部分と賛成できない部分があって。その多くは否定できない部分っていうのが占めていたような気がする。ちょっと面倒くさい言い方をしたけど今横浜では開港150周年だっけか。そういう記念日だと言って街はハッピーだ。ところがだ。歴史的に見て。それは××されたようなもんだ。といってしまう著者(当時)。その言い方は波紋をよぶと思うがその理由をちゃんと聞かねばならない。それをしっかり耳を傾けて聞けば「だったらそう言えよ。」となる。なら。わからないでもない。あるべき理想の家族とかあるべき親や子供の姿はあまり追求するべきではない。と。本書はそういうテーマだったんだけどどっかで追い求めるのが人だって。そういうのもやっぱり否定できないんだ。

  • おもしろい床屋政談だと思う。この本の主旨には全く関係ない話だが、真ん中辺りに書いてある挿話の内容には驚いた。

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著者プロフィール

精神分析者、エッセイスト。1933年生まれ。早稲田大学文学部心理学専修卒。和光大学名誉教授。『ものぐさ精神分析 正・続』のなかで、人間は本能の壊れた動物であり、「幻想」や「物語」に従って行動しているにすぎない、とする唯幻論を展開、注目を浴びる。著書に、『ものぐさ精神分析』(青土社)、「岸田秀コレクション」で全19冊(青土社)、『幻想の未来』(講談社学術文庫)、『二十世紀を精神分析する』(文藝春秋)など多数。

「2016年 『日本史を精神分析する』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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