サンセット・ビーチ・ホテル (文春文庫)

  • 文藝春秋 (1996年1月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784167543037

感想・レビュー・書評

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  • (2022/03/01読了分)新井満の訃報に接して、何冊か読み返したくなり。夫たる映像作家はミクロネシアの楽園で、バドワイザーの空き缶、放射能を含んだ風、マナーの悪い焚き火、スペースデブリに、この世界は長くないのでは、と危惧しつつ最後は隕石に撃ち抜かれ。妻たる書道家はニューヨークでキモノで動の書パフォーマンスが喝采を受け。一方、奇妙な車椅子の老人に導かれ、幻のコレクションを有すると称する美術館に案内され、パフォーマンスを請われるがそこは…と。「自分に出来る限り正直になろうとした時、人は少しずつ外れて行くのかもしれない」。そして、夫と再度向き合おうと思ったときにはすでに…と。(2016/12/11読了分)夫と妻、南の島と寒冷なNY、自然が好きと人が好き、撮影する者と自ら描く者、さまざまな対比がなされる二編が収められる。こんにちは、さようなら、ありがとうを意味するマーシャル後、ヤボイ!。絶海の楽園かと思われた地で見かけた後始末の悪い焚き火のあとに、地球は長くないのでは、と思いを馳せる夫。サムルノリの音楽に身体震わされる妻。「夫婦とは何だろう、と碧は思う。二人で生きるということか。ならば、なぜ二人なのか。一人で生きられないからか。だが、一人を生きられない者に、二人を生きる資格はない。そう思ったからこそ、申し出た別居である。」(p.180)という独白。<毎日、どうしていますか><私?私はね、毎朝、生まれるの><ほう><そして、毎晩、死ぬの><あいかわらずだなァ>(p.180-181)という対話が心に残る。

  • 果てしない大自然の気持ちよさの裏に見えた、「文明」の侵食。
    便利が好き。便利ってらくちん。でも、便利が近すぎるとちょっと怖い。便利を求める果てしない欲求は、いずれ全てを侵食する……?
    なんとはなしに、「文明」から生まれた「ごみ」の分別をしっかとして出す。

  • ひょっとしてこの惑星は長くないかもしれない・・・
    そんな思いで描かれたこの作品は、生と死がテーマである。
    初めて読むタイプの文体で、少しだけ遠藤周作の作品を思い出す。
    ただ新井さんの方がさらっとしていて(読み終わったときの気分的に)、
    明らかな死亡フラグがあったり、
    「ベタ」といえばそれまでなのだけれども、
    読んで良かった、他の作品も読んでみたい、と思った。
    こういうとき、自分の語彙力のなさに腹が立つ。

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著者プロフィール

1946年、新潟県生まれ。上智大学法学部卒業。電通入社後、音楽・映像プロデューサーとして活躍。1987年『ヴェクサシオン』で第9回野間文芸新人賞、1988年「尋ね人の時間」で第99回芥川賞受賞。作家活動以外に、作詞・作曲家、写真家、環境ビデオのプロデューサーとしても活躍中。

「2015年 『生きている。ただそれだけで、ありがたい。』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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