ダイヤモンドダスト (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 520
レビュー : 61
  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167545017

作品紹介・あらすじ

火の山を望む高原の病院。そこで看護士の和夫は、様々な過去を背負う人々の死に立ち会ってゆく。病癒えず逝く者と見送る者、双方がほほえみの陰に最期の思いの丈を交わすとき、時間は結晶し、キラキラと輝き出す…。絶賛された芥川賞受賞作「ダイヤモンドダスト」の他、短篇三本、また巻末に加賀乙彦氏との対談を収録する。

感想・レビュー・書評

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  • 短編が4編、どれも味わいがあるが、やはり「ダイヤモンドダスト」が一番いい。医療系の作品で死を見つめるものは多いが、死に向かって坦々として、自然と一体になったような情景に心を打つものがある。

  • 秋田大医学部の大先輩、南木佳士の代表作。

  • 和夫が小学四年生のとき、夏になると必ず姿を見せていた、自転車のうしろに氷箱を積んだアイスキャンデー売りが現れなくなった。
    その年の冬、電気鉄道は廃止された。
    旅客の輸送はバスに代わり、春になると路線は雑草に覆われた。
    父の松吉はバスの運転手への誘いを断り、あっさり退職した。
    そして、今。

    (冬への順応/長い影/ワカサギを釣る/ダイヤモンドダスト)

  • 「地に踵のついた」(巻末 加賀乙彦との対談参照)短編集。このような静謐な話は、病気の経験がないと書けないかもしれない。

  • むかし現文の模試で読んだことがあったはず。

    死にゆく人と決意と、小説による美化と、医療従事者の目による冷静で現実的な視点。
    タイの難民キャンプでの医師派遣の話は、著者の体験によるものだろう。死を扱っているが平和な日本の病院と、カンボジア人たちとの割り切った態度の治療。実際に行った人にしかわからない感想が興味深かった。

  • 生と死、経済的な裕福さと心の正直さ、またスローな生活に憧れる自分とスピードのある生活に慣れきってしまった自分との葛藤のようなものを感じた。

  • 海外の危機に対して無関心であることの罪悪感を
    「対岸の火事なのか」などと言って煽り立てることは
    間違ってるとまでは言わないにしても
    しょせん富める者の傲慢にほかならない
    それらがけして、真善美に値するものでないということは
    忘れられるべきではないだろう
    施しは時に偽善であり
    忘却は時に必要悪である
    もちろん偽とはいえ善、悪とはいえ必要、なんだ

    「ワカサギを釣る」
    ポルポト政権下のカンボジアから逃亡してきた難民
    つまりインテリである
    そのインテリ難民が、日本のインテリの傲慢さに対する怒りを
    押し殺すというシーンが、なんともいえないものだ

    「ダイヤモンドダスト」
    死期の決定した人の生を無意味に引き伸ばすことが
    マッチポンプのようである、と見る向きもあるだろう
    しかしどうあがいたって人生は、散る桜とか、打ち上げ花火とか
    あとダイヤモンドダストにたとえられるほど
    はかないものでもあるわけだな

  • 10年ぶりの再読。
    この作品にはパニック障害だとか鬱病の話は出てこないと思ったら、まだ発症する前の初期作品なのですね。
    それでも全体の重く沈んだような静謐感はあります。タイ・カンボジア国境での難民医療チームへの参加などを題材にしていても、どこか暑さや弾けるようなエネルギーは無く、メランコリックな挫折感や諦念のようなものが顔を出します。
    それが私の好みなのですが。


    =========================
    05-042 2005/04/17 ☆☆☆☆

    ダイヤモンドダストは芥川賞受賞作。
    確かに良い話です。凛とした気品のようなものが漂います。
    あとがきの中に、著者本人が自分の事を「硬すぎる文体しか持たない」と言っています。そういえば確かに硬いですね。しかし、難解では無い。むしろ平易と言っても良いでしょう。あまり感情に流されないと言う意味での硬さですね。
    そうした硬い文体が、いいテーマに当たって、こうした気品が漂うような作品になったのだと思います。
    長い影という作品も好きですね。最後、もう少しひねれたら、とても良い作品になったのにと残念です。

  • 心に残る本の一つである「阿弥陀堂だより」の作者さんの芥川賞受賞作で、4つの短編から成り立っていて、どれもこれも淡々と話しが進んで行きます。
    どの話も命に向き合った話なのだけれども、押しつけがましさが無くてあくまでもその時間を切り取って窓から覗いている感じでした。「この話から何かを感じろ」と言われているのではなくて、置いてあった素敵なものを自分で勝手に見て、大事に折りたたんで胸の内ポケットにしまい込んだような気分です。

  • 死に日常的に接しているからこそ、親しい人の死を意識した時の悲しみが大きいかもしれない。

    諦めや同情などとは違う胸につっかえが刺さるような
    感覚に日々苛まれる人の苦しみや思いをたんたんと続く日常の描写から浮かび上がらせている。

    人は輝いている時だけがすべてではなく、様々な陰影があることを語っているように思えた。
    芥川や太宰のような非現実的な陰影よりも現実感がある気がした。

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