医学生 (文春文庫 な 26-4)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (243ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167545048

感想・レビュー・書評

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  • 南木氏は現役の医師であり、芥川賞作家です。
    この物語は南木氏の学生時代の物語。
    主要な登場人物は4人ですが、学生時代のクラスメートが全員重なっているようです。
    学生時代を思い出しながら、とても面白く読めました。
    自分で作品を残すことが出来るというのが とてもうらやましいと思います。
    この本を読んで、私も何かを残したくなりました。。。

  • 青春

  • すごく人間味あふれる本だと思いました。
    悪い意味ではなくただ淡々とリアルな人間生活が描かれており興味深い内容だと思いました。

    自分自身医者にお世話になるときにもう一度読み直したいと思います。

  • どう感じたんだろう…と振り返っても、どこか他人事に、面白かった〜としか言えないんだけど、でもなんだかすごく好きな小説だった。

    好きの理由を少しだけ掘り下げてみると…
    ・色々な設定にリアリティがある※自伝的だから
    ・キラキラしてない普通の登場人物達に親近感
    ・世の中って、働くって、ほんとそうだよね、という共感
    ・医学部ってこんな感じなのかと知ることができた
     →医者の友達が多い割に、医学部のこと、なんとなくしか分かってなかったんだなぁ。

    読書好きだなー、小説っていいなー、って思わせてくれた小説だった。

    そりゃそうか。芥川賞受賞作家の小説なんだから。

    ざっと4時間くらい、子育て中だが睡眠時間を削って夜中に読んだ。寝不足だけど、読書の世界に浸る時間が持てたことのほうが嬉しくて、寝不足なはずなのにむしろわたしは元気で過ごせる。

  • 舞台は田舎の医学部で、学生4人のそれぞれの成長が描かれています。
    都会の本命大学の滑り止めで入学した者、ただ惰性で医学部に入学した者、家庭の経済事情から入学した者、人生をやり直そうと入学した者、どの人物もリアリティがあります。

    目指すものが医師であろうと、必ずしも大志など必要ない、志など半ばで良いという事実や、医学部だろうと仮に文学部だろうと当人の意識の程度には個人差があるという点でも、彼らはみな人間としての未熟さを持つ大学生です。

    そこから医学生の現実を目の当たりにしていくことで、各々の意識が変化していきます。人体解剖実習、終末期医療の現場などの体験を通し、やがて訪れる自身の老いや死、生きているものへの渇望、人間らしい死とは何かとの思いに心が揺さぶられながらも、手一杯の学業に取り組む現実。

    4人の成長を見届けたとき、不思議と同級生を思うような気持ちになる青春がつまった一冊です。

  •  テンポが良く、簡潔かつ率直で読みやすい。医学部がテーマであるため死に直面する部分などシリアスな部分もあるものの、大衆小説っぽく気軽に読める本であり、筆者がこの本は自分の過去だといっているのにも非常に納得した。
     自分の専攻と近い分、カリキュラムや学生特有の空気感、日々の悩み等、読んでいて共通、共感する部分が多く、重苦しく凝り固まっていたモヤモヤした感情が若干ではあるものの昇華していくような気がした。読後、こんな風に悩むのは当然だし、答えなんてないし、こんな生き方をしていくのもありなんだろうな、と思えた。まだまだ青い

     以降、心に留めておきたい部分。思ったこと。共感した部分。
    ・医療に関わっていく上で、患者の死を他人事と思うのではなく自分事のように捉えることは、真摯ではあるけど自らの精神も削っている。
    ・医者は決して人命を預かっているのではない、人間が人間を救える範囲など限られている。
    ・神に近づこうとする人間と、自然の摂理に身を委ねる人間がいる。
    ・医者の役割は、予防、行政への関与、診断、治療、看取る、研究など様々な役割がある。
    ・綱渡りみたいな生活は長くは続かない。
    ・もしかしたらこの病気は己の内側ばかり見つめて小説を書いてきたことへの罰なのかもしれない。

  • 創立間もない秋田大学医学部に入った4人の学生の物語。医学部の学生がどんな思いで大学生活を送っているのかよく分かる。大学6年間に医師になる覚悟を持たなければならないところが、一般の4年制の他学部とは違うのだろうか。目的がはっきりして入学しているのだが、まだその目的に自信がもてない心のゆらつきが上手く描かれていると思う。

  • 秋田大学医学部2期生の青春群像.
    感情移入してしまう話でした.

    純文学ではないかもしれないが,
    本棚に残しておきたい本でした.

  • 現役医師の著者による、医学生青春物語。
    医学部といえば秀才中の秀才が集まり、そして将来は人々にとって神様仏様のような存在になる人間が育てられる場所…というガリ勉で堅いイメージ。
    しかしそんな彼らも未熟な若者。同じように恋に悩み未来に悩み、時には無気力になり。。
    それでも試練や経験に学び、大人になっていく姿にすがすがしさを感じた。
    青春ってのは大人になってから振り返り、懐かしむものなんだ。

  • 口述試験のシーンは、名場面だと思う。

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著者プロフィール

南木佳士(なぎ けいし)
1951年、群馬県に生まれる。東京都立国立高等学校、秋田大学医学部卒業。佐久総合病院に勤務し、現在、長野県佐久市に住む。1981年、内科医として難民救援医療団に加わり、タイ・カンボジア国境に赴き、同地で「破水」の第五十三回文學界新人賞受賞を知る。1989年「ダイヤモンドダスト」で第百回芥川賞受賞。2008年『草すべり その他の短篇』で第三十六回泉鏡花文学賞を、翌年、同作品で芸術選奨文部科学大臣賞を受賞する。ほか主な作品に『阿弥陀堂だより』、『医学生』、『山中静夫氏の尊厳死』、『海へ』、『冬物語』、『トラや』などがある。とりわけ『阿弥陀堂だより』は映画化され静かなブームを巻き起こしたが、『山中静夫氏の尊厳死』もまた映画化され、2020年2月より全国の映画館で上映中。

「2020年 『根に帰る落葉は』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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