- Amazon.co.jp ・本 (315ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167545055
感想・レビュー・書評
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12月新着
東京大学医学図書館の所蔵情報
https://opac.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/opac/opac_details/?bibid=2003527300 -
短編5編でお勧めです。若い医師に苦悩あり。内容的には結構濃密です。南木作品も好みです。
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破水は圧巻でした。
著者のデビュー作だそうです。ただでさえ硬質な南木さんの文体が、若さゆえに更に肩に力が入り”如何にも”と言う感じの文学的な文章です。しかし一方で、推敲され尽くし、完成された文章でもあります。生硬だけど初々しく、清潔感に溢れる文体です。
全ての作品が、医師を主人公に患者の死を取り扱っています。特に何作品かは、既に治癒の望みの無い患者に対し、積極的治療を排し、安楽に死を迎えさせるかに腐心する医者を描きます。
医者である南木さん自身が悩んで来られたテーマなのでしょう(南木さんはその後、鬱病にかかってしまいます)。明確な答えは有りません。でも、葛藤の中で、これが正しいのだというあやふやな確信のようなものが感じられます。
作者が描くべき事を描いた、そんな思いを感じる作品でした。
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南木圭士「ダイヤモンドダスト」で第100回芥川賞受賞するまでのデビューからの作品集。文学界新人賞「破水」、87回芥川賞候補作「重い陽光」、88芥川賞候補作「活火山」、92芥川賞候補作「木の家」、94芥川賞候補作「エチオピアからの手紙」。末期の癌患者の死を日常的に受け止めざるを得ない若き医師たちの苦悩とあきらめを描ききった短篇五篇。
デビュー作「破水」では「腹腔の内側に疎らに張りめぐらされた哺乳類の雌ならどんな種にもそなわっている下等な神経網を介してかろうじて体感されるくぐもるようなリズムと、ゆるんだパッキンの生み出す音が完全に同期している」と、もってまわったうざい比喩表現をしているが、後の作品では洗練されてきている。
自身の体験をベースにしているので話にリアリティがあるが、死に疲れ、死をつき詰めすぎている。この作家の神経はいずれまいってしまうだろうなと感じさせる。後にパニック障害と鬱を発症するらしいが、既に文章にでているような気がする。 -
医師が書いた医学小説。少し疲れて、無力感を感じる医者が主人公のお話。短編ゆえか、余り心に響く小説ではなかったが、山の描写が綺麗だった。
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短編集。
どれも人間の死や生を見続ける若い医師が主人公。
心の葛藤がとてもよく描かれている。
使命感が強すぎるとつぶされてしまう。
きつい職業だと改めて感じる。
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深いなあ。時期が違ったらもっと感動したかも。
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南木 佳士を読み始めた頃の作品。
エチオピアに医療チームとして派遣された作者の現地での出来事をヒントに描かれている。
現地の患者達の貧しくとも逞しい様子も・・・温かなこの作家の眼差しを感じる作品。