冬物語 (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2002年1月10日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784167545062

みんなの感想まとめ

医師の視点から描かれる人間の生と死をテーマにした作品は、病院という特異な環境を通じて、患者の苦悩や医師の葛藤を深く掘り下げています。読者は、医療現場の厳しさや人間の嫌な側面に直面しながら、同時に過去の...

感想・レビュー・書評

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  • 医師のこういうとこも見てえや?て内容やった
    たしかに病院に行く人てどっか悪いから行くわけで、人の嫌な面ばっかり見えるんやな…大変や

    あと芝生、めっちゃわかる、昔の思い出って日に日にキラキラしていくねん、でも浸りすぎると進めへんねんな…

  • “自分が元気だとねえ、世の中には元気じゃない人も多いんだってことが分からないのよね。若い内はそれでもいいんだけど、なんだか、中年になってもそういうのって、夫婦としても、親子としても最悪みたいよ”
    (『空の青』)

    短編集である。南木さんの文章は、読むとささくれ立っていた気持ちが、ふーっと落ち着くから好きだ。

    自分が元気でバリバリ稼いでいるときは、社会福祉予算なんて削って景気対策に回せばいいんだと考えたりしがちになるが、病気になったり怪我をしたり老後が迫ってくると、そうも言っておられなくなる。みんないつ社会(共同体)のお世話にならなければならない時が来るかも知れない。
    そうなったとき少しでも暮らしやすいように、みんなで少しずつ負担しあって良い仕組みをつくっておこうよというのが社会福祉の考え方である。幸いにも共同体の世話にならずに人生を全うできればこれに越したことはないのである。

    だが最近は、社会的に弱い立場に陥ってしまった人を「自己責任」だという人がいる。社会保障を受ける人を「フリーライダー」だと蔑む人がいる。
    私は、社会福祉の仕組みを作ったり運用したりする側の人に、「痛みを分かろうとしない」「分かろうとしても想像力がない」人が増えたのではないかという気がしている。

    頭のいいやつは努力しなければ劣等生の気持ちなんて理解できない。こう言うと「なんで劣等生の気持ちなんか理解しないといけないんだ」と逆に質問される。それに対して私はこう答える。「能力を与えられた人間には、その能力を社会のために使う義務があるからだ」と。じっさい、能力があるのにそれを社会のために使わないのは罪悪だと私は信じている。

    お役人は、原則として首を切られない立場である。給与も水準よりはいいし、退職後の生活も手厚く保障されている。そんなお役人が困窮者のための施策を考える。お役人がある程度余裕のある生活を送れるのは、お役人が「勝ち組」だからではなく、本当に困窮者の気持ちや立場になって、社会を少しでも良くするためにものを考えてもらいたいからである。

    財産や権力も同じである。財産を得た人、権力を持っている人は皆すべからく、その財産や権力を社会のために役立てる責任があるのではないか。

    ・・・というようなことを、一話読むたび毎にとりとめもなく考えていた。


    本の話題に戻ろう。

    お薦めは「タオルと銃弾」。ものすごく切ない。やりきれない。だけど、著者のやさしさが行間に溢れているので、陰鬱な感じはない。
    「平和は大切です」と百万遍聞かされるより、一回でいいからこの物語を読む方がよっぽど心に沁みる。

    そのほか「赤い車」「冬物語」「芝生」など珠玉の逸品ばかりである。

    “いい娘だよなあ。胸なんか張り切っちゃって、
     若いのはいいよなあ”
    (『となり町で』)

  • 最もな南木さんらしい作品かも知れませんが、流石にこれだけ並ぶと食傷気味というのが本音です。
    数編は、私が好きな奇妙に突き抜けた明るさを持った作品もあるのですが、一方で露悪的になったり、暗すぎたり、私の嫌いな南木さんを感じさせる作品もあります。
    良いとか悪いとか言うこととは別の次元で、不器用な作家さんだと思います。名作「阿弥陀堂にて」では、主人公を女性に置き換えることにより成功したと思うのですが、多くの作品であまりに自分(あるいはその代役)を主人公にし過ぎてしまうので、どうしてもマンネリ感が否めません。
    もう少し、幅の広さが有っても良いのではと思うのは欲でしょうかね。

  •  お医者さんで、死を看取る話がほとんど。
     死ぬとは、いかに生きたか。

  • 温かい感じの小説でした。
    死と向き合い続けることで、
    人の温かさに気付けることもあるんだなぁ。
    本質が見えることの面白さみたいなものが
    ありましたね。

  • 資料番号:010732816
    請求記号:Fナギケ

  • 読む時期を間違った

  • 本書は著者の実体験をもとにしてかかれている短編小説です。

    幼い頃から、大人になって医者になってからのものまで、内容はさまざまですが、医者であるというよりも生身の普通の小市民の視点でかかれています。

    お医者サンなのでどうしても死生観に関わることも出てはきますが、偉そうではなく近代医学では解決できない心の問題を控えめに提起している側面があります。

    何よりも私は彼の大げさでなく、やわらかく心をあたためてくれるような、やさしい文章が好きになりました。

  • 医者も人間

  • ロワール地方などを舞台とした作品です。

  •  短編集。
     多くの末期がん患者の死を看取る病棟で。カンボジア難民のために派遣された医療団のチームで。父親の介護という現実を目の当たりにした家庭で。
     南木さんの本はほとんどがそうなのだけれど、私小説、あるいはそれに限りなく近いスタンスで書かれています。厳密にどこまでがフィクションで、どこからが体験談なのかはわかりませんが、作者さんご本人の体験から出た言葉が、多分、かなり生に近い形でつづられている。

     題材が重いだけに、悲しい、つらいエピソードも多いのだけれど、読み終えて強く印象に残るのは、何よりも人のぬくもり、優しさのほう。
     表題作『冬物語』に登場するワカサギ釣りの名人、かよさんとそのご主人にまつわるエピソードがとりわけ印象深かったです。

     ある方に薦めていただいて知った『阿弥陀堂だより』を入り口に、『エチオピアからの手紙』『ダイヤモンドダスト』『トラや』ときて四冊目。この方の本は、ゆっくり集めてひととおり読むつもりです。

  • 主人公は癌を専門とする医師。ある日、心を病んでしまい、立ち直るまでの毎日を短編形式で描く。おそらく著者も医学関係者。読みやすい文体。

  • 「ダイヤモンドダスト」で第100回芥川賞を受賞した南木氏の短編集。

    ダイヤモンドダストと医学生も読んで思うのは、医者である彼の経験や半生などを反映していて、自伝的要素が強いなということ。

    その中でも「ウサギ」。この作品はせつない。高校で教科書に載っていたのを読んで何とも言えない気持ちになったのを覚えている。
    改めてもう一度読んでも、少年の初恋模様がリアルに浮かび上がっていて、見事にまとめられてるなぁと感心した。
    宮本輝氏の「星々の悲しみ」と共に、僕が予備校生活に魅力を感じるきっかけとなった一冊。

  • 家庭教師先の子が持ってた教科書に「ウサギ」が載ってた。
    面白い。自伝的な小説なのかな。

  • 中でも『ウサギ』という短編はオススメ。

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著者プロフィール

南木佳士(なぎ けいし)
1951年、群馬県に生まれる。東京都立国立高等学校、秋田大学医学部卒業。佐久総合病院に勤務し、現在、長野県佐久市に住む。1981年、内科医として難民救援医療団に加わり、タイ・カンボジア国境に赴き、同地で「破水」の第五十三回文學界新人賞受賞を知る。1989年「ダイヤモンドダスト」で第百回芥川賞受賞。2008年『草すべり その他の短篇』で第三十六回泉鏡花文学賞を、翌年、同作品で芸術選奨文部科学大臣賞を受賞する。ほか主な作品に『阿弥陀堂だより』、『医学生』、『山中静夫氏の尊厳死』、『海へ』、『冬物語』、『トラや』などがある。とりわけ『阿弥陀堂だより』は映画化され静かなブームを巻き起こしたが、『山中静夫氏の尊厳死』もまた映画化され、2020年2月より全国の映画館で上映中。

「2020年 『根に帰る落葉は』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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