- 文藝春秋 (2002年8月2日発売)
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感想 : 103件
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Amazon.co.jp ・本 (240ページ) / ISBN・EAN: 9784167545079
みんなの感想まとめ
心の病を抱えた医師の妻と、作家として行き詰まりを感じる夫が故郷の信州に戻ることで、彼らの人生が再生していく様子が描かれています。自然に囲まれた山村で、懐かしい思い出と共に二人は心の安らぎを見つけ、妻は...
感想・レビュー・書評
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小説家として結果を出せず苦しむ夫。優秀な医師として多忙な妻。都会で支え合いながら生活する中、妻は心を病んでいく。夫の故郷信州の山村に戻る決意をする。そこは、母を亡くし父が家を出た後、祖母と二人、自然と共に暮らした懐かしい場所だった。
都会で傷を負った二人に自然は懐が深い。妻は、以前の笑顔を取り戻していく。
タイトルの「阿弥陀堂だより」は、地元の病気で声を失った女性が“阿弥陀堂守”のおうめお婆さんに、インタビューし、その言葉を広報誌に連載している小エッセイからきている。お婆さんの飾らない、自然に同化した言葉は、人を導く力がある。
夫婦はこの山村で人生を過ごす土台を作る。生きていく為の足るを知る。
読後感が心地良い。最後に、この女性たちを写真に撮るのだけれど、あらゆる年代が揃って生活できるというのが望まれる社会なんだろうなぁと思う。 -
行き詰まりを感じている作家、孝夫。その妻、美智子は医師。妻が心の病を得たことで、故郷の信州に戻ることにした二人。そこで出会う「阿弥陀堂」に暮らす、おうめ婆さん。難病とたたかっている、小百合ちゃん。
4人の人物それぞれに、目の前に迫ってくるようでした。心に染み渡る文章そのものの魅力とあいまって、忘れがたい作品になりました。(感動する部分が多く、付箋多し!)私たちは、生きているというよりも、生かされているのだという、背筋が伸びるような、そんな気持ちになりました。
作者は医師ですが、医療従事者でなければここまでの描写はできないだろうと感じました。真っ直ぐに医療と向き合っている、嘘偽りなく生きているからこそ、書ける文章であるということです。と同時に、心理描写が通り一遍でないことを合わせて考えると、作者は患者の心にも寄り添っている医師であること、想像されました。
文庫本のため解説があり、映画化された小説ということが分かりました。映像化も、きっと素晴らしいと思います。でも私は、先に活字で読み、心の中で登場人物と出逢い、深く感動できたことが、最高に嬉しかったです。涙が出そうになりますが、あったかい気持ちになると共に、心洗われる作品です。 -
南木佳士さんの小説は筋だけ書くと,なんだということになるし,振り回されるような感動があるわけでもないんだけど,読み終わると,静かな心持ちになれる.この作品もそう.非常に読後感がいい.
最近,南木佳士を集中して読んでいるわけだが,こうして,エッセイを読みつつ小説を読んで見ると,小説の舞台裏がうかがえて面白い.実生活の小さな材料をいくつも細部に織り込みながら,ストーリーを紡いでいく技術ってのはほんとにすごい. -
主人公が主人公のようでない、不思議な立場の小説だと思った。妻の美智子や難病の小百合ちゃん、阿弥陀堂のおうめ婆さんの3人の女性たちにスポットは当たっており、主人公はむしろ脇役的存在。ただ、これらの女性たちの生き様を見てだんだんと等身大の自分を自覚していくところは、ビルドゥングスロマンと読めなくもない?
山村でろくに働かずぷらぷらしてるって、相当肩身がせまいと思うのだが、この主人公かなりお気楽。まあ、そうでなければ夫婦ともに病んでおしまいな気がするので、バランスの良い夫婦といえるのかも。とはいえ、喧嘩するシーンが全くないのは違和感ではある。
小説は読むに限る(書くものではない)と思う私から見ると、この鈍感な主人公は明らかに書く側には向いていないと思う。この小説自体のなんとなくぼやけたハッピーエンド風の終わり方もなんかいまいち。 -
片田舎のゆっくりな時間の流れの中で流されずにしっかり生きている人々が素敵です。おうめ婆さんの存在感がいい。
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心を病んだエリート医者の妻と作家兼ほぼ主夫の主人公。田舎っていいな。闇雲に頑張り続けることだけが人生ではないと思った。
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医者という人の生死に関わる仕事につき、自らも精神を病んでしまう妻。新人賞を受賞したものの次が思うように書けない夫。山の人となり前時代的な生活を続けているおうめ婆さん。病の再発から再起した小百合ちゃん。暗くなりがちな登場人物の設定だがそうならないのは、自然が圧倒的だからなのかもしれないですね。
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追われるように過ごしてる毎日が、なんとなくもったいなく思えてくる。
踵から地に足をつけて生きていくってすごい。
ちゃんと地味を味わいたいものです。 -
小説もいいけど、映画がさらによかったなぁ。
しかしながら、この人の文章は静かな感じがして、好きだ。 -
ほんわか人間再生物語
自然に囲まれて生活してみたくなる -
パニック障害の描写がリアルだなと思ったら、南木先生自身がそれを理由に病棟をお辞めになられていたのか。テーマは重いが、変に感傷的なトーンがなくて良かった。
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孝夫が育った街にある阿弥陀堂で生活するのは、身寄りのないおうめ婆さん。中学に上がるは春に家を出た父からの連絡を受けて自らも東京に出て行き、そこで将来の妻となる美智子と出会う。医師になった美智子は授かった子どもを胎児で失ったことをきっかけに、それまでの東京でのハードな仕事もたたってか、精神を崩してしまう。孝夫が移住した谷中村にっ戻り、そこでおうめ婆さんや村の診療所、そしておうめ婆さんの話を聞き取って「阿弥陀だより」を書く小百合ちゃんらと出会い、少しずつ彼女の気持ちも回復に向かっていく。
立脚点―この小説を読んで、そんな言葉を思い出した。自分はどこに立っているのだろうか。都会での生活は、自分がどんどん肥大化して、どんどん足が地面から離れていってしまい、まるで浮遊しているかのような感覚に陥ってしまう。でもおうめ婆さんの生き方はそれとは対局だ。ずっと谷中村で暮らし、狭い世界しかしらないかもしれない。でも、地に足の着いた生き方をして、そこから実感のこもった考え方を持ち、そして小百合ちゃんがそれを聞き取り、「阿弥陀堂だより」として言葉にする。
仕事で疲れた自分にとって、こんな生活が実際できるのかは置いておくにしても、ものすごく理想のものに感じられる。都会での生活は疲れた。人間関係は煩わしい。でも、この小説を通してこんな選択もあるんだと思えることこそが、精神の救いとなるのだ。 -
売れない作家上田孝雄と高校の同級生東京育ちの美智子が女医になり、第一線で働く
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事件や葛藤があるはずなのに、一切動きを止めずさらさらと進んでいく不思議な小説だった
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スミ江
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2002年に公開された映画をDVDで観て、いつか訪問せねばと思っていました。コロナの行動規制が解除された今年(2023年)GWに、長野県飯山市に残っているロケ地、阿弥陀堂を訪問しました。圧倒的な自然の中に、ひっそりと佇む庵は、とても映画撮影のために建てたとは思えないものでした。
旅から帰って南木さんの原作を再読しました。映画では描かれていない高校時代の出会いと会話をはじめ、新鮮な感覚で二人の信頼感を読み取ることが出来ました。
著者プロフィール
南木佳士の作品

この小説も映画も大好きです。お年寄りと都会で神経をすり減らしてしまった人にとても優しい。ああ、本当にいい作品だ...
この小説も映画も大好きです。お年寄りと都会で神経をすり減らしてしまった人にとても優しい。ああ、本当にいい作品だと思います。
ありがとうございました。
素敵な作品でした。
南木さんは、お医者さんなんですね。
死生観が...
ありがとうございました。
素敵な作品でした。
南木さんは、お医者さんなんですね。
死生観が確立されているようでした。
高齢者医療や介護の問題は山積みですが、
おうめお婆さんの様に、生きることを受容できればと思いました。