- Amazon.co.jp ・本 (165ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167545161
作品紹介・あらすじ
パニック障害とうつ病に苦しんだ三十から四十代、人生の難所を越え、五十も半ばを過ぎてたどり着いた静穏な日々。息子たちは巣立ち、浅間山麓で妻、老猫と暮す。そんなある日、肺に異変が発見される…。医師・作家としての二十五年をふり返り、新たに己の「からだ」と向き合う日常を描き、読む者の身に優しくしみわたるエッセイ集。
感想・レビュー・書評
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南木佳士のエッセイ集.初出は2004年から2005年にかけて.
著者もあとがきで書いているが,同じ話が繰り返し何度もでてくる.日常を生きている「初老男の周辺にそれほど珍しい事件がおこるわけはない」のである.
それでも読んでいると,大事なことを何度も何度も繰り返し言ってもらっている気分になって飽きることがない.
私もあと何年かするとこういう境地に至れるのだろうか.詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2004年から2006年にかけて発表されたエッセイ。作者が50代半ばの頃(1951年生まれ)。
好きな小説家なので、発表された作品はできるだけ読むようにしている。でも雑誌に発表されるエッセイをその都度読むのは無理で、まとめられた時に読むことになる。短い期間に発表された作品群なので、テーマが限られた範囲に集中してしまう。無論作者も承知で、「おなじ題材の繰り返し使用が目立つ」と気にしていて、そのため「題材の切り口や味付けを変えて書く」とあとがきに書かれている。
さらに「いまでは繰り返しを恥ずかしいとは思わなくなった…妙な虚構をたくらむほうがよほど不自然ではないか」とも。
ところで本編中に以下の記述が。
「あとで後悔する」
二箇所ほどあったように思う。もう一般的になってしまったのだろうか。
P.149
人は変容する。変容しなければ生き延びられない。