羊の目 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 260
レビュー : 47
  • Amazon.co.jp ・本 (443ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167546151

感想・レビュー・書評

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  • とてもよかった、読み終わりたくなかった
    出てくるひとりひとりの心情が、伝わってくるたびに切なくなり
    神崎武美という男が、悲しくてつらくてたまらない
    想像以上の茨の道を歩く武美の気持ちに添うと、涙が出そうになる
    やくざというか、任侠の世界が好きなわけではないけれども
    読んでいる間だけでも、その世界の中にひたっていました
    神崎武美にわたしも会いたい・・・でも、こわい・・・

  • 伊集院静さんのエッセイしか読んだことがなかったのですが、神埼武美という人間に魅力を感じ、夢中で読み進めました。
    また、ゆっくりじっくり読み返したい一冊です。

  • 昔気質の一人のヤクザの人生。侠客と言うべきか。真っ直ぐで静謐で。もちろん彼がやってることは犯罪(殺人・暴力)だけど守りたいものを命をかけて守る。純真で控えめで。タイトルの羊の目とは最後のエピソードの中で。

  • 戦前・戦中・戦後、激動の昭和を苛烈に駆け抜けた男の数奇な人生。
    主人公・武美はどこまでもひたむきに辰三を親と仰ぎ献身を捧げる。 
    辰三に仇なすものは容赦なく葬り去り、辰三が死ねといえば過たず死ぬほどの忠誠を誓う武美の姿は切ない。
    しかし武美の目はどれだけ人を殺しても汚れない。決して濁らない。
    辰三の命により背中に彫った獅子とは裏腹に、どれだけ手を血に染めても、その目だけは生まれ持った純粋さを失わず澄み続ける。

    「私は神を信じません。 
    私が信じるのは親だけです」

    侠客の物語である。
    おそるべき暗殺者の物語である。
    あまりに哀しい男の物語である。

    羊の目をしながら群れからはぐれ、羊として生きられず、一匹の獅子として修羅に身を投じた武美。
    売られ裏切られ遠い異郷の地に身をひそめても一途に辰三を信じ、辰三の為にできることを模索し続ける生き様に胸が苦しくなる。

    沈黙者ーサイレントマン、神崎武美。
    静かなる暗殺者。
    神を信じず、唯一の親だけを信じ仰ぐ無垢で孤独な羊。 
    神とは、救いとは。
    昭和の闇の永きを彷徨する孤独な魂は救われたのか。  

    武美が最後に回想する情景の美しさには涙が出る。

  • 静かな世界。
    もう少し狂気があっても。。
    話的には

  • 捨て子としてヤクザに育てられた男の物語。
    親分をひたすらに信じ、親分に害なす者をことごとく排除し、時代が義を尊重しなくなったとしても自分だけは信念を貫き通す。
    昨今では裏切り裏切られが当たり前の風潮だが、このような生き方が完全に過去のものとなってしまうのは寂しい気がする。

  • ハードボイルドに分類されるのでしょうか。
    極道モノでは最上の面白さだったように思う。当たり前なんだけど筆力が半端じゃない。

  • なんという壮絶な人生だろう。夜鷹が産み落とした武美という心の優しい孤高の殺し屋の物語。
    夜鷹が産み落とした武美は、浅草で頭角を現してきた辰三という侠客の元で育てられる。武美は、後に侠客として育っていくのだが、武美の殺しの腕は右に出る者がいないほどで、性根も立派な男であったが、その心はあまりにもピュアで、何度も辰三に裏切られても、武美が心を寄せるのは辰三しかいなかった。
    辰三の命令で何度も修羅場を潜り、裏切られ、それでも辰三に忠誠を誓い、辰三に想いを馳せる武美を思うと、もっと違う生き方があるだろうに、そんな生き方しかできない武美があまりにも苦しくなった。
    それにしても、この物語(作者)は、武美という1人の男を描きながらも、その頃の時代に想いを馳せていたのかも知れないと思った。

  • 少し背伸びして普段は読まないような伊集院静の作品を手に取った。
    ヤクザものの作品は初めて読むこともあり、言葉が難しかったが、内容はスッキリとしていて読みやすかった。侠客の義とは何か理解はし難いが、触れることができた。神崎武美の壮絶な人生を描いた作品だが、嫌な気持ちにはならず、柔らかな気分で読み進められた。

  • 侠客の生きざまカッコイイ(≧∇≦)!主人公の神崎武美は優しく不器用だけど、育ての親辰三を最後まで慕う姿が素敵‼(^o^)しかし辰三は読み進むうちに、どんどん嫌な奴になってきて途中で切なくなった(--;)「眠る蝶」の話が一番好き♪

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著者プロフィール

伊集院静(いじゅういん しずか)
1950年山口県防府市生まれ。72年立教大学文学部卒業。81年短編小説『皐月』でデビュー。91年『乳房』で第12回吉川英治文学新人賞、92年『受け月』で第107回直木賞、94年『機関車先生』で第7回柴田錬三郎賞、2002年『ごろごろ』で第36回吉川英治文学賞をそれぞれ受賞。作詞家として『ギンギラギンにさりげなく』『愚か者』『春の旅人』などを手がけている。エッセイも多く、『大人の流儀』シリーズはベストセラーとなっている。2017年日本経済新聞の連載『琥珀の夢』が刊行され、2018年10月5日、ドラマ化。2019年10月から日本経済新聞にて夏目漱石を主人公にした作品「ミチクサ先生」を連載開始。

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