羊の目 (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2010年5月7日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (448ページ) / ISBN・EAN: 9784167546151

感想・レビュー・書評

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  • 辰三に何度裏切られても、「自分の親はただ一人」と、辰三を信じて文字通り命がけで突っ込んでいく武美。どうしてそこまで・・・と思ってしまうけれど、そういう世界なのかな。
    辰三のために何度も危険な目に遭う武美の姿が切なくて苦しい。

    物語の最後の「羊の目」についての記述を武美に重ねるととても悲しい。


    「それは羊がおまえと友だちになりたいと思って懸命におまえを見てるからだよ。皆、誰かのぬくもりが欲しいのだよ。おまえにもいつかそれがわかるだろうよ。だから手を差しのべてあげる人になるんだよ」

  • 伊集院静初めて読みました。
    眠る蝶から一気に話が面白くなりました。

    やくざの世界とか全く知らず、刺青に偏見を持っていたのですが、刺青を入れる理由が少し理解できました。

    結局、主人公は巡り巡っていろんな人の御加護を受けていたんだな、と思いました。(というかストーリーが全部関連があって、まとまり方もすごいと思いました)
    (ちなみに、ライオンの舌の日本兵は、タケミという解釈でよろしいのてしょうか?
    ライオンの舌で、タケミがアメリカ兵を助けた理由が分からなかったです、誰か教えて欲しいです)

    主人公がとにかく魅力的で、映画化するなら神尾楓珠とか黒川想矢とかかなぁ(笑)

  • ヤクザ・神崎武美の壮絶な生涯。
    初めて読むジャンルで、2章あたりまではそんなに感情移入出来なかったが、気づいたらのめり込んでいた。時代の移り変わりと共に裏社会の「義」が様変わりしていく中、最後まで親への確固たる忠誠を貫き通したその姿が、かっこよくもあり、哀しくもあり、、。
    様々な人の視点から、武美が客観的に描かれているというのは特徴的で面白かった。どんどん登場人物の話が繋がっていく感じも面白かった。
    神崎武美の男っぷりが、読んでいて本当に清々しい。男に好かれる男というか。自分の中にただ1つ、信じるものがあるだけで、生き方や生きる意味が定まって行くのだろうか。
    濃厚な物語だった。

  • 新たな世界を見せていただきました。本物のヤクザとは強靭な精神力と親への忠義を持った人たちなのだと。また刺青の本来の意味等勉強になりました。

  • ハードボイルドに分類されるのでしょうか。
    極道モノでは最上の面白さだったように思う。当たり前なんだけど筆力が半端じゃない。

  • なんという壮絶な人生だろう。夜鷹が産み落とした武美という心の優しい孤高の殺し屋の物語。
    夜鷹が産み落とした武美は、浅草で頭角を現してきた辰三という侠客の元で育てられる。武美は、後に侠客として育っていくのだが、武美の殺しの腕は右に出る者がいないほどで、性根も立派な男であったが、その心はあまりにもピュアで、何度も辰三に裏切られても、武美が心を寄せるのは辰三しかいなかった。
    辰三の命令で何度も修羅場を潜り、裏切られ、それでも辰三に忠誠を誓い、辰三に想いを馳せる武美を思うと、もっと違う生き方があるだろうに、そんな生き方しかできない武美があまりにも苦しくなった。
    それにしても、この物語(作者)は、武美という1人の男を描きながらも、その頃の時代に想いを馳せていたのかも知れないと思った。

  • とてもよかった、読み終わりたくなかった
    出てくるひとりひとりの心情が、伝わってくるたびに切なくなり
    神崎武美という男が、悲しくてつらくてたまらない
    想像以上の茨の道を歩く武美の気持ちに添うと、涙が出そうになる
    やくざというか、任侠の世界が好きなわけではないけれども
    読んでいる間だけでも、その世界の中にひたっていました
    神崎武美にわたしも会いたい・・・でも、こわい・・・

  • 伊集院静さんのエッセイしか読んだことがなかったのですが、神埼武美という人間に魅力を感じ、夢中で読み進めました。
    また、ゆっくりじっくり読み返したい一冊です。

  • 2025.10~11月? Perthにて。

    超絶久々の読書!最高!
    やっぱり紙だよ。

    9月の軽井沢の古本屋でたまたま見かけて
    買ったやつ。
    初・伊集院静。
    めちゃくちゃ良かった。
    10年ぶり?にもなろうかという ザ・ガッツリ読書!

    大人になってからの読書は超面白い。
    場面がありありと頭に浮かぶし、
    知らない語彙や土地名を調べながら
    背景に想いを巡らせる。
    もっと読みたいな。

    Australia, Perthの電車での伊集院静
    世界が歪む笑

  • 上手い!

  • 伊集院さんの書く本には凄味がある。
    時代遅れとも思える作風とストーリーかもしれないが、圧倒的な迫力を感じる。
    信じる者のために、ひたすらに迷わず敵を屠り続ける武美の姿はまさに鬼神。

    神の救いはあったのかな。

    東さんの榊原健三に姿がダブるのだが、もっと悲しく凄惨だなあ。

  • あまりこのジャンルの小説は読まないが、装丁が目に焼き付くような感じで著者追悼ということも目にし、読んでみたというところだが、結果、面白かった。よく俳句の添削で映像が思い浮かぶような、ということを言われるが、本作品も読んでいて映像がありありと浮かぶ、そんな感じであった。

  • 主人公の信仰をもっと深堀して欲しかった。信仰とは異なる神との対話があったのかな?

  • 読後、深いため息を吐いた。なんとすごい本を読んだのか。やくざ界の絶対の掟の中でそれを貫く主人公。
    短編のようでもあるが、伏線を忍ばせて読み進めると明らかになる人間関係。なんと言っても主人公が魅力的。
    彼と息子のその後が知りたい。想像が膨らむ。

  • 初めて伊集院静読んだんだけど、伊集院静っていい人なんだなと思った。
    ストーリーがすごく面白い。
    坊主がキショイ。

  • 昔気質の一人のヤクザの人生。侠客と言うべきか。真っ直ぐで静謐で。もちろん彼がやってることは犯罪(殺人・暴力)だけど守りたいものを命をかけて守る。純真で控えめで。タイトルの羊の目とは最後のエピソードの中で。

  • 戦前・戦中・戦後、激動の昭和を苛烈に駆け抜けた男の数奇な人生。
    主人公・武美はどこまでもひたむきに辰三を親と仰ぎ献身を捧げる。 
    辰三に仇なすものは容赦なく葬り去り、辰三が死ねといえば過たず死ぬほどの忠誠を誓う武美の姿は切ない。
    しかし武美の目はどれだけ人を殺しても汚れない。決して濁らない。
    辰三の命により背中に彫った獅子とは裏腹に、どれだけ手を血に染めても、その目だけは生まれ持った純粋さを失わず澄み続ける。

    「私は神を信じません。 
    私が信じるのは親だけです」

    侠客の物語である。
    おそるべき暗殺者の物語である。
    あまりに哀しい男の物語である。

    羊の目をしながら群れからはぐれ、羊として生きられず、一匹の獅子として修羅に身を投じた武美。
    売られ裏切られ遠い異郷の地に身をひそめても一途に辰三を信じ、辰三の為にできることを模索し続ける生き様に胸が苦しくなる。

    沈黙者ーサイレントマン、神崎武美。
    静かなる暗殺者。
    神を信じず、唯一の親だけを信じ仰ぐ無垢で孤独な羊。 
    神とは、救いとは。
    昭和の闇の永きを彷徨する孤独な魂は救われたのか。  

    武美が最後に回想する情景の美しさには涙が出る。

  • 静かな世界。
    もう少し狂気があっても。。
    話的には

  • 捨て子としてヤクザに育てられた男の物語。
    親分をひたすらに信じ、親分に害なす者をことごとく排除し、時代が義を尊重しなくなったとしても自分だけは信念を貫き通す。
    昨今では裏切り裏切られが当たり前の風潮だが、このような生き方が完全に過去のものとなってしまうのは寂しい気がする。

  • 少し背伸びして普段は読まないような伊集院静の作品を手に取った。
    ヤクザものの作品は初めて読むこともあり、言葉が難しかったが、内容はスッキリとしていて読みやすかった。侠客の義とは何か理解はし難いが、触れることができた。神崎武美の壮絶な人生を描いた作品だが、嫌な気持ちにはならず、柔らかな気分で読み進められた。

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著者プロフィール

1950年山口県生まれ。’81年短編小説「皐月」でデビュー。’91年『乳房』で吉川英治文学新人賞、’92年『受け月』で直木賞、’94年『機関車先生』で柴田錬三郎賞、2002年『ごろごろ』で吉川英治文学賞、’14年『ノボさん 小説 正岡子規と夏目漱石』で司馬遼太郎賞をそれぞれ受賞する。’16年紫綬褒章を受章。著書に『三年坂』『白秋』『海峡』『春雷』『岬へ』『駅までの道をおしえて』『ぼくのボールが君に届けば』『いねむり先生』、『琥珀の夢 小説 鳥井信治郎』『いとまの雪 新説忠臣蔵・ひとりの家老の生涯』、エッセイ集『大人のカタチを語ろう』「大人の流儀」シリーズなどがある。

「2023年 『ミチクサ先生(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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