愛する源氏物語 (文春文庫)

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  • 文藝春秋 (2007年4月10日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (336ページ) / ISBN・EAN: 9784167548070

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

人間関係や感情の複雑さを描いた作品で、特に源氏と関わる女性たちの姿が印象的です。時代を超えて共感できる彼女たちの選択や心の葛藤が、現代の私たちにも響きます。和歌の解釈を通じて、物語の深い内面に触れるこ...

感想・レビュー・書評

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  • 最近のりぴー(茨木)、りんりん(石垣)の本を読んで詩や短歌などへの苦手意識がほんの少し和らいだワタシ。前々から死ぬまでに一冊は読まないとなーと思っていた作家、俵万智に挑戦してみることにしました。

    さて一冊目は何にするか。
    やはり「サラダ記念日」だよなぁと思いつつ他にも何かエッセイみたいなもんがないか検索。
    すると源氏物語の俵万智解釈、しかも和歌中心、現代風に読み替えあり、とある。
    まぁステキ。
    私の俵万智デビューはこちらで決まり。

    さて35の章で構成されていますが、最初からいいです。「和歌は心の結晶」
    和泉式部の方が勅撰集には多く採用されている、がしかし和泉式部がどの歌も本人として歌っているのに対して、紫式部は物語の登場人物としてそれぞれのキャラクターに合わせ、つまり、性格、状況、和歌の才能、に応じて歌い分けているその技量。それが源氏物語には795首もあると。
    まずここで俵万智自身の紫式部に対する尊敬を表した上で同じように紫式部の才能を高く評し「紀貫之、和泉式部、西行の下に置くのは大間違い」とした与謝野晶子の文章をそのまま引用。
    まだ本文始まって2ページなのよ。でもここまでぐぐぐっと店奥まで連れてこられてんのよね。
    さらにここからは源氏物語の訳で有名は作家をそれぞれの和歌取り扱いスタイルとともに比較、紹介していく。
    和歌を訳さず注釈も補いもなしの与謝野晶子。
    和歌と簡潔な意味、引歌掛詞説明の窪田空穂。
    その中間、調子の美しさ重視の谷崎潤一郎。
    意味のみ、引歌掛詞説明なしの円地文子。
    五行詩の瀬戸内寂聴。
    和歌の一部のみ現代調整の橋本治。
    私ならこの内容を最後にあとがきとして持ってくる。(自分が和歌を現代風に読み替えたことへの言い訳として。また谷崎潤一郎が計画したが頓挫したことを成し遂げたと自慢するため。)でも俵万智はこれを初っ端に持ってきてこれから自身が行う(我々が読む進める)ものが多くの有名な現代訳とも違うバージョンのひとつであり、またこれを読み終えた時にはここに戻って他の作家の本に繋がるようにしてくれてる。
    この章はたった8ページ。私はすでに俵万智の普段使いの言い回しとバカにも優しい分かりやすさが好きになっている。

    ちょっと飛んで4章「逃げる女」
    タイトル通り空蝉のこと。今まで読んだものではさほど彼女に惹かれるものは無かった。薄衣を残して去っていった人。まぁそんくらい。
    ただここでは光源氏から送られた和歌の「ひとがら」に注目。残した薄衣を抜け殻とし、また空蝉の慎ましい人柄との掛詞。「あなたの人柄こそを抱きしめたかったのによりによって一番外の抜け殻を残していくとは」と俵万智。
    もうこれだけでもビビビっときてたんですが、さらにその和歌に対して返事するまでもなく端に書きつけた歌が伊勢集からの借り物。
    勿論源氏物語から伊勢集にピックアップされた可能性もあるものの、もしこれが本当に伊勢、三十六歌仙の1人の女流作家によるものであった場合、当時の読み手は最後の最後まで空蝉の本心が分からずヤキモキするとある。光源氏も読み手も薄衣だけ残されてしまうとな。んもー。

    7章「文明と恋愛」
    当時ハイティーンの光源氏と60歳の源典侍。
    中村真一郎「恋愛年齢の幅の広さが文明の高さ」

    10章「朧月夜が一番」
    俵万智も寂聴も朧月夜が一番好きだという。
    「じゃああなた悪い子ね」とは寂聴。
    演じるなら朧月夜と俵万智。
    えーーーー。演じるなら六条御息所一択なのでは?
    とは思ったけどここも今までとは異なる印象を与えてくれた。アドレナリンドーパミン系の恋愛(光源氏)とセロトニンオキシトシン系の恋愛(朱雀院)。なるほどね。確かに。じゃあどうしてもというなら演じてあげてもいいけど。(上から)

    13章「BC!な源氏」
    ここで紹介された本は近日中に借りてきます。

    17章「破天荒な和歌」
    近江の君の無茶苦茶な和歌や下品な物言いを紫式部が案外楽しんで書いていたのではないかとする俵万智。案外?というか楽しんで書いてるに決まってるでしょう。実際和歌下手や常識知らずを皆でバカにして楽しんでのではないですかね。完全な創作どころではなく「あら。これってあの方がモデルなのでは。ほほほほ。」と読者が気付く程に。

    20章「身分って何?」
    今でいうところの「モデル」「スチュワーデス」と解している。なるほどなるほど。私の元同僚も女子アナに拘りがありましたね。(キモい)あとどうしても芸能人と結婚すると言って本当に宝塚の女優と結婚したのもいました。(キモい2)二人ともしばらく会ってませんけど不幸になってるといいな なんてことは言わないよぜったいー。
    なんかマークが書いてあるだけのビニールの鞄を高額で買ったりするわけですから、人は今も昔もブランド(地位財)に弱いですな。あとは時計とか三大デベ新築タワマン高層階角部屋なんかもそうですかね。
    さて話は本題に。
    ここでは蹴鞠試合の休憩中、猫のせいで御簾があがり女三ノ宮の姿が夕霧と柏木に見られてしまうところ。
    今までは柏木の一目惚れだけに意識を向けてましたが俵万智が丁寧に夕霧との対比を説明してくれている。「こんな端近くにしかも立ってて。紫の上ならこんなことはない」VS「こんな偶然があるなんて我が恋のかなう前兆なのでは」
    女三ノ宮の欠点、見える夕霧と見えない柏木の対比が面白いと俵万智。
    そうね。だって人は欠点に惚れるんですもの。

    22章「辛さくらべ」
    光源氏にバレちゃった柏木と女三ノ宮。
    送る柏木、返す女三ノ宮。
    「立ちそひて消えやしなましうきことを思ひみだるる煙くらべに」
    歌の言葉に忠実に恋歌として五行詩に訳した寂聴、もう少し本音に近く光源氏への恐れを訳した谷崎潤一郎、なかなかに手の込んだ真綿に毒をくるんだようと俵万智、源氏物語最高の和歌と評する丸谷才一。

    23章「口説き下手」
    落葉の宮を口説く夕霧。真面目で不器用という解釈は今まで読んだ本にもあったけれど、俵万智はさらにわかりやすく「恋に不慣れな真面目男が女性を気遣う中で放つこの上ない無礼な発言」を教えてくれる。夕霧の解像度が少し上がった。

    33章「恋の人形」
    大君や中の君に対し優柔不断だった薫、浮舟には電光石火で行動する。俵万智「結局身分の低いものにはそれくらいのことをしてもいいと思っているのだ」紫式部の人物像の書き込みが素晴らしいですね。

    34章「匂宮の情熱」
    薫の愛人と隠れて浮気に耽る状況に酔う匂宮と、継子であると分かるや否や婚約破棄されたり、薫にはほったらかしにされたりで、男への期待など持ちたくても持てない冷静な、というか冷めた浮舟。
    それは二人の和歌にも表れていて、サーモグラフィーでも当てれば赤と黄緑。
    俵万智は「しかしここまでちゃんと酔える匂宮にはある意味拍手をしたい。その酔いに嘘がないからこそ浮舟の心を動かす迫力が生まれたのだと思う。腰のひけた薫よりマシ。」としている。
    流石。物語であれ現実世界であれ、どうせあるかないか分からないような夢幻ですし、ましてや自分の心も他人の心も。真実なんて誰も分からないです。全ては幻。全ては思い込み。だったらその思い込み(酔い)が純粋なものならそれでいいじゃない。僕も最近こういう感じ。
    昔は不倫相手のジジイを「私の彼氏が」とかいう女にいちいち「はぁ?」ってなってましたが、今はもうそんな相手が若ければそれでいいただの性処理かせいぜい見せびらかしの道具扱いしてくるような薄汚いクソジジイを彼氏って呼ぶその純粋さに潔さを見るようになりました。ええ。破滅の潔さ、愚かさの潔さではあるけれど。

    彼女の感性で捉えた源氏物語は小さな模様がたくさんあって指ざわりが楽しい。プチプチ。

    まず何も考えずに読んでて楽しい。
    空蝉や夕霧への解像度が少し上がったことも楽しい。
    だが源氏物語に対する地図の白紙部分(知らないと認識していること、もの)がまた広がったことの喜びの方が断然大きい。
    頭の中の地図なんて、白紙部分が大きいに越したことはないですからね。

  • 『源氏物語』に登場する「和歌」に焦点をあて、歌人である俵万智さんが読み解きを行った本。これすごく良い本でした。ひとつひとつの和歌に込められた意味を丁寧に解説しつつ、お話の流れも一緒に追いかけてくれるので、『源氏物語』と併読、あるいは全て読んだ後に読むと、物語の解像度が一気に上がります。本書を読んでいると和歌こそが『源氏物語』の要なのだと、そんな気持ちになってくる。いや、というか実際その通りなのだろう。『源氏物語』は登場人物の心情を推し量るしかない場面があるけれど、和歌には雄弁に光君や姫君たちの心情が表れていた。そしてそのことを知ると、登場人物たちの印象そのものが大きく変わり、より人物像に厚みを感じるようになる。六条御息所とか夕顔とか末摘花とか、この本を読んだおかげでより好きになれたくらい。それくらい俵万智さんは登場する人物に、寄り添いながら和歌を解説してくれる。

    冒頭に示された桐壺の和歌に対する帝の返歌が「ない」ことによって、帝の心がどれだけ乱れているかがわかる、という解説はそういう見方ができるのかと驚いたし、末摘花の和歌解説は笑えるやらいじらしいやらで、そんな様々な読み解き方が出るだなんてと舌をまく。「からころも」や「かくぞ」だけでそんな色んな解釈が出来るとは思わなかったなあ。俵万智さんすごい。てか紫式部がすごいのか。六条御息所についても作中では「生霊の人」というくらいにしか捉えてなかったのだけど、それが恥ずかしくなるくらい彼女の想いを掘り下げている。【朝顔】における、光君と朝顔の和歌のやり取りについては、他者の意見を参考にしつつ、独自の、そして納得感のある結論に至っていて、ふむふむ言いながら興味深く読んだ。

    また、どんな「紙」を使って和歌を詠んだかも重要であったらしく、例えば白い事務用の紙に書いた場合は生真面目な印象を与えたり、あるいは厚ぼったい実用的な紙を用いることで野暮ったさを演出したりと、用途によって紙の種類を変えることで趣を出す効果があったとのこと。平安時代の文化や、貴族社会におけるマナーとか気遣いがわかるとさらに別確度から人物の心情が見えてくるわけで、なるほどこりゃあ沼だなあと思うことしきり。えっ、つうか柏木は女三の宮に近づくために、側近の女房と先に関係を築いてたの!? ぜんぜんわかんなかった。しかも女三の宮はそのことを承知してるようだし。いまの感覚からする女三の宮も女房もそれでいいの?という気がするけど……。
    あと、『源氏物語』って男女が契りを交わす直接的なシーンを描かず、事前と事後を示すにとどめるパターンが多いから、「えっ、いつの間に!?」となることが割とよくあるなあと思っていたのだけど、「添い寝の効果」の章で、そのことをちゃんと言及してくれてて嬉しかった。よかったあ、私だけじゃなかったのね。

    「和歌は心」。そのことを決して堅苦しくなく、楽し気に教えてくれる、とても頼りになる本でした。『源氏物語』の副読本としておすすめです。

  • 源氏物語を読んだことはないけれど、光源氏が主役でモテモテの世界のお話?というイメージ。
    本書を読んで、源氏と関わる女性たちが主役に感じました。
    当たり前だけど、時代が違っても人間らしく憂いたり喜んだり…むしろ現代より気持ちの面では素直というか自由というか…各々の事情はあれど、何かを選択して生きる女性たちの姿に心を揺すられる思いがしました、、
    そして筆者が薫に厳しいのがなんだか面白かったです笑

  • ## 感想

    源氏物語は人によって見方が変わる不思議な物語だ。

    色々な本を読んできたけど、それぞれで見る角度が違って面白い。

    和歌は31文字の文字制限がある分、伝えたい気持ちが凝縮されるので、この和歌の中にこそ、キャラクターたちの本音が込められている。

    思えば、源氏物語にはたくさんの恋愛の形が描かれる。

    源氏物語が長く長く読まれているのは、誰もがキャラクターの誰かに感情移入できるからかもしれない。

    私は学生の頃学校で習ったときには正直「長いな〜」「すごい浮気するな〜」くらいに思っていた。

    しかし本を読むにつれ、色々な角度から見ることで、だんだんキャラクターたちの理解が深まっていった。

    これだけの本が今でもあって、考察されて、そんな物語は今後現れるのか?とさえ思う。

    こんな物語を書き上げる紫式部は一体どんな頭の中をしていたのだろう?

  • 「愛する源氏物語」俵万智著、文春文庫、2007.04.10
    332p ¥560 C0195 (2024.12.13読了)(2011.04.16購入)
    『源氏物語』には、795種の和歌が登場する、とのことです。紫式部は、物語の登場人物たちに成り代わって、よくもまあこんなにたくさんの和歌を創ったものです。驚きです。
    この本は、「個性的な登場人物たちの思いを凝縮した和歌の言葉を分析することで、千年前のこの物語世界における恋愛模様が、まるで目の前で起きていることのように生き生きと伝わってくるのである。」(324頁)と解説で東直子氏は書いています。同感です。
    『源氏物語』を読む前でも、読んだ後でも、同時並行でも面白く読める本だと思います。

    【目次】
    和歌は心の結晶
    あなたのために
    雨夜の品定め
    逃げる女
    末摘花のボキャ貧
    ああ、からころも
    文明と恋愛
    恋の分かれ道
    光源氏の下心
    朧月夜が一番
    同時進行恋愛
    会わずに口説く
    BC!な源氏
    朝顔の闇
    夕霧の初恋
    玉鬘の攻防
    破天荒な和歌
    和歌対決のゆくえ
    紫の上の悲しみ
    身分って何?
    引き止める心
    辛さくらべ
    口説き下手
    紫の上の死
    君亡き一年
    薫のはじまり
    ふたつのタイプ
    添い寝の効果
    薫の大作戦
    大君の絶望
    プレイボーイの言葉
    夫婦喧嘩の和歌で
    恋の人形
    匂宮の情熱
    浮舟の心
    あとがき
    解説  東直子

    ☆関連書籍(既読)
    「香子(一) 紫式部物語」帚木蓬生著、PHP研究所、2023.12.26
    「香子(二) 紫式部物語」帚木蓬生著、PHP研究所、2024.02.09
    「香子(三) 紫式部物語」帚木蓬生著、PHP研究所、2024.04.08
    「香子(四) 紫式部物語」帚木蓬生著、PHP研究所、2024.04.08
    「香子(五) 紫式部物語」帚木蓬生著、PHP研究所、2024.05.07
    「散華(上) 紫式部の生涯」杉本苑子著、中央公論社、1991.02.20
    「散華(下) 紫式部の生涯」杉本苑子著、中央公論社、1991.02.20
    「小説紫式部」三好京三著、鳥影社、2006.04.24
    「新・紫式部日記」夏山かほる著、日本経済新聞出版社、2020.02.21
    「小説紫式部 香子の恋」三枝和子著、福武文庫、1994.12.05
    「紫式部日記」紫式部著・山本淳子訳、角川ソフィア文庫、2009.04.25
    「入道殿下の物語 大鏡」益田宗著・赤坂三好絵、平凡社、1979.07.05
    「道長ものがたり」山本淳子著、朝日新聞出版、2023.12.25
    「新源氏物語(上)」田辺聖子著、新潮文庫、1984.05.25
    「新源氏物語(中)」田辺聖子著、新潮文庫、1984.05.25
    「新源氏物語(下)」田辺聖子著、新潮文庫、1984.05.25
    「新源氏物語 霧ふかき宇治の恋(上)」田辺聖子著、新潮文庫、1993.11.25
    「新源氏物語 霧ふかき宇治の恋(下)」田辺聖子著、新潮文庫、1993.11.25
    「蜻蛉日記・和泉式部日記」生方たつゑ訳、集英社文庫、1996.09.25
    「蜻蛉日記をご一緒に」田辺聖子著、講談社文庫、1991.09.15
    「小説かげろうの日記」三枝和子著、福武文庫、1994.11.05
    「桃尻語訳 枕草子(上)」清少納言著・橋本治訳、河出書房新社、1987.08.31
    「桃尻語訳 枕草子(中)」清少納言著・橋本治訳、河出書房新社、1988.12.20
    「桃尻語訳 枕草子(下)」清少納言著・橋本治訳、河出書房新社、1995.06.30
    「小説清少納言 諾子の恋」三枝和子著、福武文庫、1994.10.05
    「むかし・あけぼの(上)」田辺聖子著、角川文庫、1986.06.25
    「むかし・あけぼの(下)」田辺聖子著、角川文庫、1986.06.25
    「平安朝の女性たち(NHK文化セミナー)」服藤早苗著、日本放送出版協会、1998.04.01
    「サラダ記念日」俵万智著、河出書房新社、1987.05.08
    「ふるさとの風の中には」俵万智著・内山英明写真、河出書房新社、1992.11.30
    「短歌をよむ」俵万智著、岩波新書、1993.10.20
    「恋する伊勢物語」俵万智著、ちくま文庫、1995.09.21
    「三十一文字のパレット」俵万智著、中公文庫、1998.04.18
    「記憶の色 三十一文字のパレット2」俵万智著、中公文庫、2003.04.25
    「花咲くうた 三十一文字のパレット3」俵万智著、中公文庫、2009.03.25
    「ある日、カルカッタ」俵万智著、新潮文庫、2004.03.01
    「トリアングル」俵万智著、中央公論新社、2004.05.25
    「考える短歌」俵万智著、新潮新書、2004.09.20
    「かーかん、はあい」俵万智著、朝日文庫、2012.05.30
    「みだれ髪 チョコレート語訳」与謝野晶子著・俵万智訳、河出書房新社、1998.07.06
    「みだれ髪Ⅱ チョコレート語訳」与謝野晶子著・俵万智訳、河出書房新社、1998.10.09
    (「BOOK」データベースより)amazon
    源氏物語には795首の和歌が登場する。ここぞ、というときの和歌は、恋のゆくえを大きく左右する。心の結晶である和歌を、小石のように飛び越えてしまうのではなく、氷砂糖をなめるように味わったならば、源氏物語の世界はさらに豊かな表情を見せてくれるだろう。千年の時を越え、「万智訳」でよみがえる愛の物語。

  • 源氏物語の解説書の中でも、とても好きで何回も読んでいる本です 
    (この度再読したのですが、再読記録の方に記入してもブクログのタイムラインには載らないんですね 感想を記入したかったので、再読ですがこちらに書きます)

    源氏物語の作中に登場する和歌は実に795首におよび、それをひとりの作者が登場人物に成り代わり、詠んだことは実に驚異的であり、和歌をひとつひとつ読み解くことで、複雑な内面や物語の展開に与えた影響をより深く、面白く、感じることができるんだよ! という源氏物語の解説本として、とってもオススメの作品です
    数多ある現代語訳の中での和歌の取り扱いの比較と、それぞれの訳者さんの個性の面白さについての解説や、俵万智さんご本人の源氏物語に対する思い入れも書かれ、何より作中和歌を俵万智さんが現代語訳した作品が読めるのがいいです
    読み応えばっちりなのに、すごく分かりやすく、また源氏物語を読み返したくなる魅力にあふれています
    個人的に好きなのは、源氏物語における推し姫君である女三ノ宮の歌(歌を作るのにも時間がかかっていた拙い頃と、成長して詠み上げた渾身の作品の対比)の解説です
    この項目で女三ノ宮の良さがより掴めました
    瀬戸内寂聴さんとの対談で「どの女君が好き?」というお話をして楽しかった~! というエピソードもいいです
    著名な作家と歌人であるお二人がキャッキャしてお話してる様子が目に浮かぶし、お二人の推し姫君がいっしょだったのも、読んでいて嬉しくなります
    源氏物語作中で、登場してすぐに儚くなった桐壺の更衣や夕顔は、和歌を読み解くと意外な積極性や情熱を感じるという解説や、女君が詠みかけた歌を“詠み解けない”鈍感な男や、わざと”詠み違える”ずるく卑怯な男の心の解説もしてくれるところも、辛辣で小気味いいですね
    和歌を詠み解くことに含まれる心の綾にも、物語はひそんでいるのだと伝えてくれる、この本ならではの面白さです

  • 源氏物語は子供の頃から大好きで、いろんな方の訳を読みましたが、短歌は難しいので、わりと飛ばし読みしていました。源氏物語は795首の和歌が登場しますが、あらためてじっくり和歌にふれることで、紫式部から続く、言葉そのものの意味、言葉のに含まれた想い、教養、いえなかったことをほのめかす、その言葉に重なる別の意味の想いを感じることができます。すごくおもしろい。日本の心は本当におもしろい!
    先日、源氏物語の1つを鎌倉時代の歌人、藤原定家が書き写した写本が新たに見つかりました。しかも有名な「若紫」の帖!当時、定家のように位の高い人物しか使うことが許されなかった青墨も使われ、定家本といわれる青表紙。戦後初めての画期的発見で、教科書も書き換えられるかもしれないそうです。こちらも内容がたのしみです。

  • 私の言いたいことは、冒頭の「和歌は心の結晶」に綴られている。私が源氏物語(といっても現代語訳ですが)を手に取るとき、和歌の部分は理解が届かないこともあり、分かったようなふりをして済ませてしまっていた。あの文豪・谷崎ですら“私の技量では覚束ない”という。
    しかし、俵さんは短歌の部分に焦点を絞り、「自分流に詠み直し」「万智風の役をつけるという試みしてみたい」と言って、なるほどと納得できる姿に読み解いている。紫式部が登場人物のそれぞれになり、巧拙織り交ぜて歌いわけるという指摘も、今後源氏物語を読むうえで大いに参考になる。早速「寂聴源氏」を取り出した。

  • 源氏物語を現代の女性の感覚で、身近に捉えることができた。末摘花の和歌の下手さや野暮ったさ、明石の君のおっと思わせる歌のセンス、なかなか古典常識とか古典の経験値がないとわからないことがたくさんあるけど、そこを解像度高く面白く語ってもらえてよい。源氏物語に795首も和歌があって、恋愛に限らずいろんな情をその人の言葉で伝え合う、その和歌の面白さも感じた。夕霧がずっと根に持っていた「もののはじめの六位宿世よ」を、ずっと後に乳母にちくりと言い返すとか。散文だとただ角が立つものを、和歌だと機智をもって角が立たずに、でもちゃんと伝えられる。そう言う言葉の技術って、日本人が昔から培ってきたんだなと思う。

    かぎりとて別るる道の悲しきにいかまほしきは命なりけり
    限りある命だけれどどうしても今は生きたいあなたのために

  • 人生初の俵万智様の本
    源氏物語の光源氏を強烈に批判してた笑 いい意味で捉え方は一つじゃないと気付かされた本。

  • 世の中に源氏物語に関する本は数多く出ているが、作中の和歌まで七五調そのままに現代語に訳して紹介されているのは本書ならでは。

    歌人であり国語教師の経歴を持つ著者のポテンシャルが十二分に活かされており現代語のままに和歌の心地良いリズムを味わうことができる。

    さすが歌人という心の機微を扱う人、人の気持ち、特に同性である女心を推し量るのが上手い。
    登場する姫君たちが著者の解釈にそうそう、そうなのよ!と頷いているようだ。
    「ああからころも」には笑ってしまったがネタ要員(?)の末摘花や近江の君にも笑う事なく寄り添う著者のやさしさが感じられる。
     
    反面、著者の目も男性陣には厳しい。
    源氏物語、魅力的な女性が多いのに男性陣ときたら・・・娘同然の玉鬘への源氏の求愛にはドン引き。そもそも紫の上に対しても現代ならグルーミングに近いよなぁ。
    夕霧の落葉の宮への迫り方、薫→浮舟にもげんなり。
    みな口説く相手を傷付けて泣かせてどうするの。

    『幻』から『雲隠』がとても切ない。
    平安時代当時の読者も涙ながらに読んだ帖なのかもしれない。
    そして雲隠がまるまる空白となっているのもよい。紫式部の意図した事かは不明とのことだが、作者の演出説を支持したい。

    源氏物語は登場人物の呼称が綺麗だなぁと思う。
    花散里、朧月夜、末摘花、軒端荻、雲居雁、浮舟、落葉の宮…。
    紫式部が作中で付けた呼称もあるが(空蝉など)、殆どは後世の人がつけたものらしい。

    流石にあの大作を古語で読む気力はないが現代語訳はいつか読んでみたい。

    本書が気に入った方なら、姉妹本の『恋する伊勢物語』もおススメ。

  • 昔読んだ漫画「あさきゆめみし」で、なんとなく登場人物を知ってるかな、と思って手に取る。

    源氏物語の和歌が、俵万智の解説付きで載ってる。
    和歌って難しいとばかり思ってたけど、俵万智風の和歌が添えてあり、分かりやすい解説もあって、面白い。

    それにしても光源氏ってスゴイ。会ったこともない人に恋したり、何マタしてんだか数え切れないけど、ちゃんと連絡したり通ったり面倒みたり、マメだなぁーって感心する。紫式部がスゴイのかな。

    いつかまた、読み直したい。

  • 著者が源氏物語に登場する和歌を口語短歌に再構築し口語訳を付け独自の解釈を試みることで、源氏物語を紐解き、当時の恋愛模様や登場人物を立体的に立ち上げ、平安の時代にタイムスリップした感覚で身近の出来事のように感じ楽しませてくれる1冊。
    様々な登場人物になり代わり、その心情をキャラクターやシーンに応じて和歌に落とし込み、壮大な物語を創り上げた、紫式部の作家としての凄さを改めて実感させられる。

  • 短歌に着目した源氏物語。万智訳と解説で気持ちが伝わってきて、楽しく読みました。
    それにしても、登場人物のシチュエーションに合わせて短歌を詠みわける紫式部、すごい。

  • 浮気の考え方や制度の違いはあるけれど、
    昔も今も変わらない恋愛の形を実感しました。
    俵万智さんの男性に対する考え方や女性の気持ちに対して激しく共感する部分が多々ありとても面白かった。
    とっつきづらく、気になってはいたけどなかなか全文を読む気にならない(現代語訳でも)人にはとてもいい切り口の物語だと思う。
    大体の流れや面白さを感じ取れた。

  • 源氏物語は自分じゃ読めないしかといって誰の翻訳本がいいか…と図書館でウロウロしていた時に見つけた。とりあげる歌の解説がとても面白くて、古典と現代を楽しく行き来できた。背景解説もほどよく楽しい。俵さんによる現代の歌への読み替えも面白いし、知識がなくても古典に親しむことができて感謝。

  • 原文で源氏物語を読むとき
    主語が探せなくて挫折する
    俵万智さんがご自分の本道である和歌に沿って解説する
    源氏物語は秀逸であり
    解説書として優れている
    平安の世に感情を先ず和歌に落とし込んで表現する事は
    一見クールなように見えるが
    濃厚で感情的な一首一首に圧倒され
    そこに物語の全てを感じ取ることが出来て
    この手引きはありがたかった

    今更ながら紫式部の教養の高さ
    あるときは巧緻に
    あるときは稚拙に
    高貴に武骨にたおやかに下品に
    千年の時を超えて読者への和歌という挑戦状を
    受け取らねばと心新たに
    学ばせてもらいます

  • 源氏物語の和歌に焦点をあて、登場人物の心情を歌人の俵万智さんが読み解いている本です。

    平安時代は対面で交流というのは少なかったでしょうから、和歌(手紙)が気持ちを伝える有効な手段でした。その和歌の出来次第でモテ度も違っていたでしょうね。

    女三の宮の和歌が上手くなったのは柏木との密通に悩んだからだという話は、なるほどと思いました。意に染まず平和な日常が壊された女三の宮の苦悩と柏木との温度差がなんとも…。

    宇治十帖を読むのはストレスが溜まるという俵さんには共感します。

  • p.2024/3/8

  •  万智さんの文体がとてもチャーミングで、全く飽きることなく楽しめた。何より源氏物語やその登場人物達を万智さん自身がいかに愛おしんでいるのか鮮明に伝わってきた。
     和歌の観点から源氏を読んだことはなかったがハードルを感じさせない分かりやすさが、今後古典に向き合う参考にもなったし、他の様々な作家の源氏の和歌に対する意識も比較できた。

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著者プロフィール

1987年の第1歌集《サラダ記念日》はベストセラー。歌集に《かぜのてのひら》《チョコレート革命》《プーさんの鼻》《オレがマリオ》《未来のサイズ》《アボカドの種》、評伝《牧水の恋》、エッセイ《青の国、うたの国》など。2022年、短歌の裾野を広げた功績から朝日賞を受賞。読売歌壇選者のほか、宮崎で毎年開催される高校生の「牧水・短歌甲子園」審査員もつとめる。

「2023年 『旅の人、島の人』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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