プーさんの鼻 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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レビュー : 18
  • Amazon.co.jp ・本 (161ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167548087

作品紹介・あらすじ

短歌は、私のなかから生まれるのではない、私と愛しい人とのあいだに生まれるのだ-新しい生命を授かり、育てる喜びに満ちた日々。一日一日変化していく子どもの成長を追いかけ、初めの一歩の驚きを、言葉の反射神経を使って三十一文字に刻む。子ども・家族・恋人、愛しい人と生命を詠った三百四十四首。

感想・レビュー・書評

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  •  以前はハードカバーで読んで、今回は文庫で購入。
    子供を生んで育ててる女性には共感を持てる短歌がたくさん。
    「バンザイの姿勢で眠り入る吾子よ そうだバンザイ 生まれてバンザイ」
    バンザイっと一緒に思ったら、楽しめる。

    育児日記をずっとつけているけれど、クドクドと書いた文章より、俵万智の短歌1つの方がその場面や、一瞬を鮮やかによみがえらせる。
    さすが!
    上記の歌でなんとか育児のつらい時期を乗り越えた。

  • 第4歌集。
    これまでの歌集と異なり、かなり円熟したやうな印象を受ける。同じテーマが続いてゐるといふのもあるだらうが、短歌が自然と馴染んできたのだらうか。さっくりと切れるナイフのやうな鋭さはなく、ことりと机の上に置かれたマグカップのやうな生活感がある。
    このひとの生活は気づけば31文字で満たされてゐるのだらう。短歌的な思考とでも言はれるものだらうか。折に触れて心の動きを捉へた時、それが31文字になつてゐるのだと思ふ。よくも悪くも、短歌が当たり前になつた感覚。
    やはり子どもをもつたといふことは短歌を詠むといふ行為に少なくない影響を与へたのだらう。この身に宿した子どもといふなんとも不可解でそして愛おしい存在を詠む。自分の中にゐるといふのに、自分の力の到底及ばない存在。自分の感覚が最も通じない相手。だからこそ詠む者は心の動きに敏感でなければならなかつたのだらう。
    子どもは日々刻々と変りゆく。昨日できなかつたことが今日できるやうになつてゐる。日常といふ流れの中にはまつてしまへば見過ごされてゆくさうした驚きを捉へやうとすれば、じつくりと自分の中に沈み込んでいくやうな思考、切れ味はするどくもさつくりと深く傷を与へてしまふやうなことばでは、子どもを詠めない。話す人間を前にしてことば遣ひを無意識に変へるやうに、短歌もまた変はつてゆく。関係の中で生まれる短歌とはさういふことではないか。
    また子どもが成長していつたり、自身が老いてゆけば出会ふものもかはつていくはずである。さうしてまた、短歌は見せ方を変へる。

  • 詩や短歌の読み方というものは知らないけれど、ある日懐かしくて『サラダ記念日』を手に取った。中学?か高校?の教科書で見かけて以来。それから、俵万智さんの詩集は時々読むようになった。簡潔で、優しいのに、鋭い言葉の数々。浮かんでくる情景はくっきりと鮮明で、まるで写真を見ているよう。でも写真とは違い、いつまでたっても色褪せない。たった31文字の中に、これだけのものを込められるなんて、素直に、すごいな、と思う。

  • キョンキョンの書評の本を読んで,興味を持ったので図書館から借りてみた。

    興味深い表現がいっぱい。

  •  子どもに関する歌が多い歌集。「とりかえしつかないことの第一歩 名付ければその名になるおまえ」にハッとさせられた。その子が一生背負うことになる名前を決めるって大それたことで怖い、と正直に思った。とはいえ私は子育て未経験者なので、今は恋愛に関する歌の方がグッと印象的。
     「三文小説に三文の値打ちあることを思いて人と別れゆくなり」や、「留守電にメッセージなく真夜中に君が残した着信履歴」が絶望的に心に響く。読む時によって印象に残る歌は変わるだろうけど、特に母になった時がきたら必ず読み返したい歌集。

  • 万智さんのお子さんに対する深い愛情と優しさが伝わってくるとても良い歌集でした。読んでいると温かい気持ちになれる。ほっこり。ほんわか。
    私はまだ子どもはいないけど、いつか会える(と信じている)我が子を想い、そして私を生み育ててくれた母を想いました。
    一方で恋愛の歌もやっぱり素敵。耳が痛くて切ない。

  • 母になってみると、わかるわかると思う歌ばかり。
    「どれもどれもよし」とか、とても納得。充実した時間を送って子どもが着々と育っていると、自分が何者かになれたかのように思えるから。
    10才以上年配の方が出産されたのは、本当にすごいなぁ。よくできたなぁと思うばかり。
    そういう意味では、「自分の時間がほしくないかと聞かれるけど、その時間を子どもと過ごしたいよ」みたいな歌には共感しかねた。自分の時間ほしいよー!
    年齢重ねてから母になったら、こう思ったのかも知れない。

  • 20代『サラダ記念日』の鮮烈なデビューから『チョコレート革命』を経て、『プーさんの鼻』。俵万智さんの歌は今、円熟期。子どもがお腹にいる時から歌い始められ、誕生後は日々の成長を、溢れるばかりの愛情と感嘆を込めて歌い上げて行く。「ろうそくの炎初めて見せやれば『ほう』と原始の声をあげたり」

  • プンプンの合間の箸休め的な一冊。

    ”アボガドの固さをそっと確かめるように抱きしめられるキッチン”

    サラダ記念日といい、チョコレート革命といい、
    この女性の食べ物の歌はなんというか、愛おしい。ずるい。笑



    ”まっすぐに怒るあなたに背中から毛布をかけるように愛した”

    良いなぁ、こういうの。



    ”言葉ではなくて事実を重ねゆくずるさを君と分かちあう春”

    やばいなぁ、こういうの。



    でも、この歌集のキモは、シングルマザーになってからの様々な歌。

    ”どこまでも歩けそうなる皮の靴いるけどいないパパから届く”

    ずるくて、でも愛おしくって、やばい良いなぁ。

  • 妊娠・出産・子育てなど、生活の何気ない感動一つ一つを、こんなにも鮮やかに切り取ってくださいました!
    さすが、俵万智さん☆

    母になった私達の気持ちを、驚くほどリアルに表現されてるのは、きっと短歌ならではかと。
    ドキッと気付かされたり、共感できて癒されたり…
    「ちょっと子育てに疲れちゃってるなぁ…」という方には特に、オススメしたい一冊です♪

    短歌どっさり!な代わりに、歌だけなので、かなりの想像力と解釈力が求められるかも?
    ちょっと大変〜という方は、『たんぽぽの日々』の方が、エッセイでもあるので、読みやすくてオススメです(^O^)

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著者プロフィール

俵万智(たわら まち)
1962年大阪府生まれの歌人。同四條畷市、福井県武生市で育ち、福井県立藤島高等学校を経て早稲田大学第一文学部に入学。
1986年『八月の朝』で角川短歌賞受賞。1987年『サラダ記念日』を刊行し、空前の大ヒットとなる。他の歌集に『かぜのてのひら』『チョコレート革命』『プーさんの鼻』『オレがマリオ』など。他の著作に『愛する源氏物語』『俵万智訳 みだれ髪』など。2018年に『牧水の恋』を刊行。

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