とり残されて (文春文庫)

  • 文藝春秋 (1995年12月8日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (368ページ) / ISBN・EAN: 9784167549022

作品紹介・あらすじ

婚約者を自動車事故で喪った女性教師は「あそぼ」とささやく子供の幻にあう。そしてプールに変死体が……。他に「いつも二人で」「囁く」など心にしみいるミステリー六篇。(北上次郎)

みんなの感想まとめ

日常の中に潜む怪異や怨念をテーマにした短編集で、全七篇の物語が描かれています。婚約者を事故で失った女性教師や、死者に取り憑かれた青年など、登場人物たちの執着が引き起こす不穏な展開が印象的です。特に、怨...

感想・レビュー・書評

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  • 宮部みゆきさんによる異形短編集、全7編。
    日常のなかにふっと入り込む怪異や怨念が描かれます。

    「とり残されて」
    婚約者を事故で失った女性教師。事故相手の女性への怨みが晴れず、その強烈な念は小学校に残る少年の怨念と共鳴してしまう。怨念の連鎖。

    「おたすけぶち」
    『あなたの不幸は、蜜の味』アンソロジーで既読。事故で死んだ兄を秘境の山で見つける物語。宮部作品はホラーであってもどこか優しさを感じることが多いが、本作は容赦のない厳しさがあり、とても好み。

    「私の死んだ後に」
    イップスに苦しむプロ野球選手が死の淵で見る幻想。彼を助けようとする何か。生と死の境界に漂う切なさが残る。

    「居合わせた男」
    特急列車に乗り合わせた女性たちから、職場で起こった社員の「自殺」について聞く男。だがその話は単なる自殺ではなく、背後に別の闇が潜んでいるらしい……。和やかな会話から一転して不穏さが増していく。

    「囁く」
    タイトル通り「ササヤキ」が迫ってくる。言葉にできない恐ろしさを孕んだ短編。

    「いつも二人で」
    自死した美女に取り憑かれた青年。彼は彼女の「思い残したこと」に付き合わされることになる。魂がジェンダーレスであるかのような、不思議な読後感が漂う。

    「たった一人」
    夢に見る場所の捜査を探偵に依頼する女性。時空の歪みか幻想か――導入部分からぐっと引き込まれる秀作。短編ながら構成の妙が光る。

    宮部みゆきさんらしく、穏やかな日常の風景から次第に異質なものへと踏み込ませ、静かな語り口に潜む冷たい衝撃を与えてくる短編集。どの作品も短さに収まらない厚みがあります。

    • おびのりさん
      そうなんですよ
      あと今は紙質がどこも綺麗ですけど
      昭和だと 差があったんですよ
      岩波と角川は茶色かったし
      文春はまだ発刊少なかったし
      背表紙...
      そうなんですよ
      あと今は紙質がどこも綺麗ですけど
      昭和だと 差があったんですよ
      岩波と角川は茶色かったし
      文春はまだ発刊少なかったし
      背表紙が揃っていたので ついつい新潮文庫
      2025/08/19
    • ともちんさん
      紙質の影響なんですね!
      なんか茶色くない?って思ってたんです
      管理が悪い?って謎だったんです
      そっかぁ  なんか スッキリしましたよ♡
      紙質の影響なんですね!
      なんか茶色くない?って思ってたんです
      管理が悪い?って謎だったんです
      そっかぁ  なんか スッキリしましたよ♡
      2025/08/19
    • きたごやたろうさん
      「いいね」ありがとうございます。

      この作品で宮部みゆきさんデビューしてみようかな。
      「いいね」ありがとうございます。

      この作品で宮部みゆきさんデビューしてみようかな。
      2025/08/23
  • 人がなかなか手放せないものの一つに「執着心」があると思っています。
    『とり残されて』には表題作を含め七篇の物語が収録されています。
    ある人や物に心が囚われていることを「執着心」というのならば、登場人物たちが、それぞれあるものに執着したがために起こってしまった物語、私にはそんなふうに思えました。

    たとえば、殺したいほどの憎しみ。
    たとえば、過ぎ去った十年の歳月。
    たとえば、お金、うしろめたさ、愛、夢のなかの記憶……
    それらを手放せなかった人物がたどり着く未来には、背筋が寒くなる結果が待っています。
    逆に囚われた心を解放できた人物には、希望がちらちらと見えはじめます。

    そのなかで中篇『たった一人』にあっては、主人公がこれから何処へ向かうのか、非常に気になる終わりかたでした。
    なぜなら、主人公が執着していたものが明確化され、ある人物へと定まります。
    私はその人物を取り戻すため、どこまでも追い続けようとする主人公の姿に怖いものを感じ、一歩引いてしまったのです。ところが解説には、それは主人公の力強さであると書かれていました。そうなれば、ラストの印象は自ずと全く別物へと変わっていきます。
    これは執着ではなく「執念」なのかな。

    全篇どれをとっても面白く、SF、ミステリ、ホラーな展開が用意され一気読みでした。
    宮部みゆきさんてすごいな。
    なんといっても物語の力が強くて、心を持っていかれてしまうのですから。

  • ちょっとずつ進めて読了。

    ファンタジーとリアルのバランスが丁度よく、見えないものを描く筆力と語り口は流石です。

  • 印象に残ったのは、「いつも二人で」と「たった一人」

    7つの短編なので分量が少ないので、この二つの物語を厚くしたストーリーにして欲しかった。
    宮部みゆきは、長編の方が好み^_^


  • 古典ホラーは正直、リング以外は少し退屈かなと思いながら、表紙からほぼ期待せずに辛抱の時間と思いながら読み進める。
    や、宮部みゆきは本当に文章がうまい。
    サクサク手が進む。

    表題作、学校でよくある怪談話から始まるのかと思いきや、子供の霊なんてよくある題材ではなく、屋上で誰か分からぬ溺死体が出てきてからの、まさかの過去の生霊とのシンクロで…
    ここまでは良かったのだけど、もう最後は、絵面を想像するだけで、いかにも当時の日本映画が好きそうな大量の遺棄兵器って…生霊のできるレベル超えすぎて…w

    そして、名作名高いラストの一編「たった一人」。
    現実世界での夢の話をなぜ探偵事務所に?
    と読み進めると、世界がねじれてねじれて…
    まるで海外小説の短編集のような世界観を見せつけられて、タイムリープの、
    「過去を改変する是非」
    を提示しながら、最後には希望を提示する、
    これはホラーではなく、ファンタジーSFだったのかという、なんともいえぬ余韻を残して終わる。
    当時の作品としては、秀でた世界観なのは間違いなく、これが後の宮部みゆきワールドへ…
    と思ったら、まさかの名著「火車」の次の作品なのか…なるほど。
    ホラーというよりは、えんどこいちの「死神くん」テイストと思うが、30年前の良作。

  • 宮部さんの短編小説。ホラー感が強めの不可解な現象。過去と未来の不思議な行きき…。不思議な感覚でよみましたぁ〜

  • 久しぶりの宮部みゆき。少し地味だけど、等身大の普通の女性を描くと抜群にうまいと思う。話しとしては現代の怪談、或いはSF的な味付の物が収録されている。

    個人的には長編の方がいい作品が多い気もするが、短編も改めて読むと良い。デビューして30年くらい経っていると思うが、正に、現代版清張という感じがする。

  • 「たった一人」は伏線も多く、切ないラストもよかった!
    どの話も伏線による盛り上がりがよいけど、その分オチへの期待が大きくなりすぎたところもあったかも

  • すごくよかった〜*⸜( •ᴗ• )⸝*
    7話の短編集だけど
    面白いとかいうより
    全部すごくいい作品でした ·͜·♡

    今までの宮部みゆきの短編の中で一番好きです✩︎⡱

    どれも読み応えありました₍₍( ´ ᵕ ` *)⁾⁾


  •  終始不気味だった 独特の世界観がすごい

  • 表題含めて7つの短編集。その中で2作目『おたすけぶち』の途中で、読んだことを思い出した。たぶんブクログ登録前だったのでレビューは残っていない。全作品を読み終え記憶にあるのは『おたすけぶち』のみ、読書も数じゃない再読も大事。

    ネットフリックスオリジナル作品/2023年ブラック・ミラーシーズン6『ジョーンはひどい人』と、短編集の『たった一人』が重なる。ネトフリオリジナルドラマは平行世界を更にバージョンアップした仮想世界の話だ。一方こちら当時としては、かなり挑戦的で不思議な味わいとなっている。宮部みゆきの文章のねちっこさが、このお話にはマッチしていた。

  • 郷内作品を読んでる途中に並行して読んでた
    通勤時間でしか読まないからかやたら読み終わるまでに時間がかかった
    文体がやけに90年代っぽくてあまり得意ではないから読みづらかった。

    「囁く」は好き

  • 16/08/28
    表紙がださい。。
    けど中身は極上です。SFミステリーというのかな。どれもドラマにできそうだ。

    ・「九歳のときの僕──二人の先生を殺してやりたいと願っていた僕は、ずっとここにいたのかもしれません。とり残されて、ずっと待っていた。誰かが来て掘り起こしてくれるまで」(P61-62 とり残されて)

    ・訴訟とは、原告と被告の争いではない。それぞれが時と争うだけのことだ。(P79 おたすけぶち)

    ・運命を変えてはいけないなんて、戯言だ。それじゃ生きる価値もない。
     どうしよう?どうしたらまた彼を取り戻すことができる?
     どこを見たらいいのだろう。どの角を曲がれば、一度手放してしまった、彼の住む次元へ、彼が生きてあの事務所を開いている、あの褪せたカーテンの脇に立って窓から外を見おろしている、あの時間軸の支配するところへ戻れるのだろうか。
     一度できたのだ。もう一度できる。梨恵子は思う。かならず彼を探しだしてみせる。きっと、きっと。あきらめずに目を開いていれば、ある日突然、ふと振り向いた拍子に、梨恵子が通りすぎた街角を左に折れてゆく、あの前かがみの肩を見かけるかもしれない。そうしたら、追ってゆこう。かならず追いつける。(P350-351 たった一人)

  • ホラーでもなく、サスペンスでもないような、不思議な短編集。
    「囁く」「いつも二人で」は時間の関係で読めなかったが、「おたすけぶち」以外は、どの話も【人の想いの強さによって引き起こされる超常現象】という印象を受けた。

    ・とり残されて:一番不気味で怖い。殺された教師夫婦は、気の毒だけど半分自業自得。
    ・おたすけぶち:他の短編集で過去に読んでた!主人公が目を覚ました後、兄と同じように村人に言いくるめられるとは思えないけどなぁ。
    ・私の死んだ後に:悲しさはあるけど、唯一希望が持てる終わり方だった気がする。
    ・居合わせた男:最初不思議でよかったけど、オチがそっち!?
    ・たった一人:一番不思議、怖さはあまり無い。主人公が認識しちゃったから、現在が変わっちゃったのかなぁ。主人公の想いの強さを最も感じた。

  • 図書館にて。
    この本は初版当時ハードカバーの本を持っていた。
    多分実家にあるのだが、久しぶりに読み返したくなって手に取った。

    短編集だが、私は1つ目の表題作がずっと心に残っている。
    過去の恨みが本人も知らないうちに積もり積もっていくということは、特にホラー小説であったようなテーマだと思ったが、着眼点として新しい、そしてすごく好きな要素が昔の姿で復讐を完遂するところだった。
    宮部作品でいつも思う秀逸なところ、エピソードに説得力があるところがいかんなく発揮されていて、登場人物たちの辛い気持ちが迫ってくるようだった。
    相川刑事の子どもの頃の辛い記憶もそうだが、なんといっても主人公の婚約者を車でひき殺した女がその後、鼻歌を歌いながら車を洗っているシーン、いやもう殺意倍増。
    こういうの本当に、どうして思いつくんだろう、宮部作品の他のものを読んだ時にも思ったが、あまりにリアルで実はこの人性格悪いんじゃないかと思った笑
    「とり残されて」のもう一つ好きなシーン、ラストの、彼が復讐を完遂できたのだから、と自分の分身もどこかにいるはずと暗い希望を燃やしてこれからも生きていこうとするシーンがとても好き。私もきっとそう思うだろう、そんなことがあったらそれを拠り所として生きていくだろう、なんならそう思って生きてもいいんだというような道しるべのようなラストに思えて、人を恨んだり、復讐なんてダメ絶対!みたいなのより本当に好きだなと思った。
    久しぶりの再読だったけれど、これだから宮部作品はやめられない。

  • 7作の短編集
    学園ものだったり、幽霊が出てきたり、ちょっとSFっぽい話もあったりとバラエティにとんでいる

    おたすけ淵で事故で亡くなった兄の供養で訪れた妹が10年の時を経て真相を知る「おたすけぶち」がゾッとするオチで1番面白かった

  • なぜ今この作品を手にしたのだったか…
    不思議な作品だった。

  • 面白かった。宮部さんの語りのうまさは素晴らしいと思う。7編の中では「たった一人」が一番のお気に入りかな。

  • 『たった一人』が好きです。
    今生きてる世界も、生きてきた世界も、どちらも現実なのではないでしょうか。
    もしかしたら、未だ見えていない世界も。

  • 宮部みゆき先生、初めて読みました。短編集。
    私は読むのに現実的ではないので入り込むことができず、読むのが大変でした。
    無駄な表現が多いのか、つっかえるところがあって読み返しを何度かしました。
    読み返したところで重要じゃなくて、そこがなんとも無駄な描写を感じた。

    これが宮部みゆき先生の描写なのかしら。

    今では変わり映えのない話の短編。
    先読み出来ました。

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著者プロフィール

宮部 みゆき(みやべ・みゆき):一九六〇年東京都生まれ。八七年「我らが隣人の犯罪」でオール讀物推理小説新人賞を受賞しデビュー。『火車』で山本周五郎賞、『理由』で直木三十五賞、『名もなき毒』で吉川英治文学賞、ほか多数の文学賞を受賞。『霊験お初捕物控』『ぼんくら』『三島屋変調百物語』シリーズ、『きたきた捕物帖』シリーズなど著書多数。


「2025年 『東海道綺譚 時代小説傑作選』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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