蒲生邸事件 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 5691
レビュー : 593
  • Amazon.co.jp ・本 (686ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167549039

感想・レビュー・書評

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  • 終わり方が美しくて、快く晴れ晴れとした気持ちで読み終えられました。大好きな作品になりました。

  • 10年ぶりくらいに再読。

    670ページ超の長編ながら、引き込まれて読むのが止められなくなり、長さを感じない。個人的には宮部氏の作品のTop3に入る面白さ。
    歴史への立ち向かい方も考えさせられる。

    最後の手紙の場面もいいです。

    文庫の新装版も出ているみたいだが、それよりこの表紙が良い。

  • 心に残った記述

    歴史の意図も知らず、流れの中で、先も見えないままただ懸命に生きる人間に。
    明日消えるかもしれない自分の命を愛せる人間に。
    明日会えなくなるかもしれない隣人と肩をたたいて笑い合う人間に。
    それがどんなに尊いことであるか知りもしないまま、普通の勇気を持って歴史のなかを泳いでいく人間に。

    過去は直したってしょうがないものだし、未来のことを心配したって駄目なんだ、その時その時、精一杯やろうってさ。

    過去を差別しないという原点

  • 再読。たしか本書が出た時、すぐに読み、感動したことは覚えていたのだが・・・・。
    いや~ね、感動したはずなのに、忘れていました^^;
    再読して、なんだか余計に感動しましたよん。精力的にさまざまな分野の小説を書いていらっしゃる宮部氏ではありますが、初期作品もよかったよなぁ~と改めて実感している次第です。
    受験に失敗し、予備校の受験をしに上京する主人公は微妙~なお年頃。
    学歴社会の渦に片足をつっこみ、自分は何者?と悩んでいるわけなんです。そしたらそしたら・・・SFの世界に突入!
    若者たちが熱く国のことを思い、クーデターを実行するなんて、もう二度とないことなんだろうなぁ~なんて思いました。
    そういうσ(^_^; も無気力・無感動世代と呼ばれていましたからね。
    二・二六事件とかなんでそこまで熱くなれるの??なんて思いましたもん。
    主人公はタイムトリップして二・二六事件の関係者たちと接することになるのですが、彼自身も成長していく過程が書かれ、なんだかほのぼのとし、こんな青年がもしいたら、日本の未来も明るいよなぁ~なんて感じました。
    ラストや終章は感動ものですぞ!
    こういう歴史があり、今日の日本があるのだと、特に若い人たちにも知って欲しいものです。
    もちろん本書はフィクションですけど、これを切っ掛けに、二・二六事件をはじめ歴史に触れてみるのもいいかもしれません。

  • 何度目かの再読。最初のときはタイムトラベラー、二・二六事件の設定の巧妙さに圧倒されていたけど、何度も読むとそれぞれの登場人物の生き方に寄り添える。今回は蒲生邸のお嬢様珠子が未来から来た主人公の存在を知ってなお、暖炉の脇で刺繍をする姿に女性が人生を生き延びるしたたかな強さを見た。終章で登場人物がどんな戦中戦後を潜り抜けたのかが明らかになるが、何度読んでも号泣。ずるをせずに生きていくことの難しさと大切さを伝えてくれた。宮部さんと幸田文さんの共通点に触れた解説には「なるほど」でした。

  • 現代から、二・二六事件に係わる人物の屋敷へタイムトラベルしてしまったミステリー。
    二・二六事件自体を取り上げるのではなく、その時代に生きた人たちの思いや考え方を描いている。
    ありえないフィクションとして読みながら「終章 孝史」では、とても切ないラブストーリーとなり、また宮部みみゆき作品には珍しいかもしれない「ほっとした感」を味わった作品だった。
    最後で、ちょと泣いた。。。

  • 松本清張「昭和史発掘」高橋正衛「二・二六事件」を参考に、昭和史を発掘している。時間旅行者(time traveller)と同伴する主人公。最後の約束の待ち合わせが悲しい。会うまで調べなかったという気持ちが宮部流。人が大学や学力で育つのではなく経験で育つということが裏の主題かも。

  • 「3秒で泣くスイッチ」

    <マイ五ツ星>
    手紙:★★★★★

    <あらすじ>-ウラ表紙より
    予備校受験のために上京した受験生・孝史は、二月二十六日未明、ホテル火災に見舞われた。間一髪で、時間旅行の能力を持つ男に救助されたが、そこはなんと昭和十一年。雪降りしきる帝都・東京では、今まさに二・二六事件が起きようとしていた-。

    <お気に入り>
    「今カラデモ遅クナイカラ、原隊ヘ帰レ」
    ふきが右手をあげて、敬礼をしてみせるのが見えた。手の甲がぴんと伸びた、きれいな敬礼だった。

    ◎終章のすべて

    <寸評>(文中敬称略)
    出会ってよかった、心から思った一冊。

    タイムスリップ小説、ある意味定番の一つの形ではある。『戦国自衛隊』(半村良)に始まり、『時生』(東野圭吾)しかり、『君の名残を』(浅倉卓弥)しかり、『リピート』(乾くるみ)しかり……。

    だが本作は圧倒的である。
    「歴史」というものに対する登場人物たちそれぞれの考え方、読み進めるうちに自分はどうかと自問自答する。そして、それぞれは終章において、見事なまでにすがすがしく結ばれていく。ここに宮部みゆきの真骨頂がある。

    そして、そんな理屈抜きにしても、爽快で美しい感動の涙を誘ってくれる。『模倣犯』『火車』『理由』などの現代ミステリーや『日暮らし』などの歴史物で宮部みゆきを知ったという方は、ぜひ読んでほしい。全く違う彼女の魅力がここにある。

    タイトルからして「屋敷物ミステリー」っぽいが、誤解である。『二・二六事件』という歴史上の出来事が、主人公孝史にとっては「蒲生邸」という閉ざされた狭い世界の出来事であった、おそらくそんな意味のタイトル『蒲生邸事件』ではあるまいか。

    未読の方のためネタバレを怖れて、これ以上は書けないが、第五章の5~終章は、ぜひゆっくりと落ち着ける場所で、ティッシュ1箱用意して読んでもらいたい。

  • さすが宮部みゆき、という傑作。単なるSFでもミステリでもなく、読み終わって一晩たってもまだ切ない気持ちが冷めない…。
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    第18回(1997年) 日本SF大賞受賞
    出版社/著者からの内容紹介
    突如ホテル火災に見舞われた受験生・孝史。謎の男に助けられた先はなんと昭和十一年。当代随一の名手会心の日本SF大賞受賞作!

    内容(「BOOK」データベースより)
    予備校受験のために上京した受験生・孝史は、二月二十六日未明、ホテル火災に見舞われた。間一髪で、時間旅行の能力を持つ男に救助されたが、そこはなんと昭和十一年。雪降りしきる帝都・東京では、いままさに二・二六事件が起きようとしていた―。大胆な着想で挑んだ著者会心の日本SF大賞受賞長篇。
    内容(「MARC」データベースより)
    この国は一度滅びるのだ…長文の遺書を残し陸軍大将蒲生憲之が自決した日、時の扉は開かれた。雪降りしきる帝都、二・二六事件のただ中へ、ひそかに降り立った時間旅行者。緊迫の4日間を舞台に展開する極上の宮部ミステリー。

  • 2・26事件へのタイムスリップ。
    宮部さんはその時々の登場人物を介し、誰にでもある感情を掘り下げる。そういうところが好き。

    ちなみに恩田陸さんの「ねじの回転」を読むと、どうしてもこの作品も思い出しちゃうんだよね。全く違う話なのに226つながりで。

著者プロフィール

宮部 みゆき(みやべ みゆき)
1960年、東京都生まれ。1987年に「我らが隣人の犯罪」でオール讀物推理小説新人賞を受賞し、デビュー。1992年『龍は眠る』で日本推理作家協会賞、1999年には『理由』で直木賞、2002年『模倣犯』で司馬遼太郎賞、2007年『名もなき毒』で吉川英治文学賞など、数々の文学賞を受賞。大沢オフィス所属。日本推理作家協会会員。日本SF作家クラブ会員。直木賞、日本SF大賞、小説すばる新人賞、河合隼雄物語賞など多くの文学賞で選考委員を務める。『模倣犯』や『ブレイブ・ストーリー』など、多くの作品がドラマ化や映画化などメディア・ミックスされており、日本を代表するエンターテインメント作家として人気を博している。2019年7月10日『さよならの儀式』を刊行。

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