人質カノン (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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レビュー : 380
  • Amazon.co.jp ・本 (317ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167549046

感想・レビュー・書評

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  • 短編集ですが、そのどれもが重厚で、どれをとっても「いい映画を1本見た」という気持ちにさせてくれました。
    不公平で理不尽な世界で必死に生きる人の姿がよくえがかれていると思いました。
    読後は心がきゅっとなります。泣けるといっても、じ~~ん!ではなく、じん…という感じです。

  • 短編集。

    短編集って読みごたえなさそうで避けてたんですが、なかなか悪くない。

    ちょっとした合間に一話ずつ読むのに適してました。

  • 2012/12

  • 読書録「人質カノン」3

    著者 宮部みゆき
    出版 文藝春秋

    p90より引用
    “こびとの帽子みたいな黄色いそのキャップ
    がそんなに髪にいいものならば、どうしてお
    まえはしょっちゅう枝毛とりをしているのか
    と尋ねたら、失礼だとむくれられ、小遣いま
    でせびられたという苦い記憶があるだけ
    だ。”

    目次から抜粋引用
    “人質カノン
     十年計画
     八月の雪
     過ぎたこと
     漏れる心”

     日常に近い事件をテーマにした、ミステ
    リー短編集。全七編収録。
     OLの逸子は少し早い忘年会の帰りにコンビ
    ニに寄った。午前一時という時間にもかかわ
    らず、顔なじみの少年が買い物に来た…。
    (人質カノンより)

     上記の引用は、(過去のない手帳)という作
    品中の、兄と妹についての一節。
    人は本当の事を言われると、どうも怒ってし
    まうのかもしれませんね。どんなに正しいと
    思っていても、口は災いの門と言いますから、
    発言には気をつけたいものです。
    本当の事を言った人が損害を受けるという、
    何とも理不尽なことを押し付けるような人と
    は、なるべく距離をとって過ごしたいですね。
     しっとりとした雰囲気の作品が多いように
    感じられますので、気持ちに元気と余裕があ
    るときのほうが読みやすいかもしれません。

    ーーーーー

  • 短編集。祖父の死をきっかけに過去を知り自分の怪我から立ち直る話(8月の雪)がすごくよかった。どの物語も、身内ではない他人との交流をきっかけに人生が良い方へ変わっていくことが共通していると思った。

  •  図書館より

     7編収録の短編集。

     単行本での出版が1996年なので、20年くらい前の作品集。でも宮部さんの本質っていうのは今も昔も変わってないのだなあ、と読み終えて思いました。

     表題作の「人質カノン」は、赤ちゃんのおもちゃの”ガラガラ”を落として去っていったコンビニ強盗の話。

     不可思議な強盗像から浮かび上がってくるのは、深夜のコンビニの常連客やバイトなど、顔だけ知っているけど名前すら知らない関係性や、
    都市部でかけがえのない自分が埋もれてしまって、替えのある労働力や人とみなされてしまっているように感じる無力感。

     かと言って、ではそこの人たちと親しく付き合いたいか、と問われるとそういうわけでもなくて、そういう現代の孤独を描き切っている短編だと思います。

    電車の網棚に置いてあった女性誌、その間に挟まっていた手帳の持ち主の謎をめぐる「過去のない手帳」

     手帳の持ち主を探すフーダニットかと思いきや、真実が明らかになると見えてくるのは人の機微。今の自分とそれと違う、もう一人の理想の自分を思う人の感情が上手く描かれていました。

     いじめを扱った短編も多いのですが、そこの弱者への視点の優しさも印象的。いじめっ子グループに追われている最中に自動車事故で片足を失った少年、
    いじめっ子の命令で深夜の小学校に忍び込み宿題を取りに行かされる少年などが登場する短編もあります。

     先述した短編にも共通することですが、そうした社会で孤独を感じる人や、いじめで味方が誰もいない、と感じた子どもたち、そういった弱者に対して、文章から感じられる視点の優しさが印象的でした。

  • 話のテーマ?がテーマだけに、どの話も救いのない話に感じた。
    灰色の文章にのっぺりと人やストーリーが張り付いている感じ。
    話の長さはそれぞれで電車の中で読むにはちょうとよかったです。

  • いじめ問題とか2・12事件、長編のネタ関連絡みか?
    どうも拍子抜けるとこがある。

  • タイトル作を含む、7編の短編が収められた短編集。
    深夜のコンビニ、タクシーの中、夜の学校、通勤列車の中、などなど舞台となっている場所の設定が、現代人の実に身近な場所となっているのがうまい。

    ちなみにタイトル作は、深夜のコンビニでコンビニ強盗に遭遇してしまうOLと小学生のお話。
    どれもミステリーというよりは普通の小説という雰囲気。
    「いじめ」がテーマになっている作品が多いのは、作者の関心の先が大人よりは子供、そして子供と大人の関係、大人になりきれない子供、たちへ向いているからなのだろうか。
    「八月の雪」という作品が非常に好きだ。
    どんな話なのかは、読んで知ってもらいたい。

    そしてだれか「人質カノン」の「カノン」は何の意味があるのか、教えていただけないだろうか

  • 7編からなる短編集。

    「人質カノン」
     コンビニで強盗にあったOLの話。犯人が落としていったガラガラから意外な展開に。

    「十年計画」 
    深夜タクシーの女性運転手から聞いた遠大な殺人計画。

    「過去のない手紙」
    電車の網棚に置き忘れらていた手帳にまつわる話。

    「八月の雪」
    いじめが原因で片足を失ってしまった少年が、祖父の残した文箱から光を見出す話。

    「過ぎたこと」
    探偵事務所に依頼に来た中学生にまつわる話。

    「生者の特権」
    彼に別れを告げられて、死に場所を探していた女性が一人のいじめられっ子と出会い、変わっていく話。

    「漏れる心」
    マンションの上階からの漏水をもとにだんだん判明してくる、上階の住人のこと・・・。

    短編なのにどれもしっかりした構成で読み応え十分。
    好きだったのは「生者の特権」と「漏れる心」。
    「生者の特権」は途中までドキドキさせられたし、「漏れる心」は終盤ゾクッとさせられた。

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著者プロフィール

宮部 みゆき(みやべ みゆき)
1960年、東京都生まれ。1987年に「我らが隣人の犯罪」でオール讀物推理小説新人賞を受賞し、デビュー。1992年『龍は眠る』で日本推理作家協会賞、1999年には『理由』で直木賞、2002年『模倣犯』で司馬遼太郎賞、2007年『名もなき毒』で吉川英治文学賞など、数々の文学賞を受賞。大沢オフィス所属。日本推理作家協会会員。日本SF作家クラブ会員。直木賞、日本SF大賞、小説すばる新人賞、河合隼雄物語賞など多くの文学賞で選考委員を務める。『模倣犯』や『ブレイブ・ストーリー』など、多くの作品がドラマ化や映画化などメディア・ミックスされており、日本を代表するエンターテインメント作家として人気を博している。2019年7月10日『さよならの儀式』を刊行。

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