大地の子 四 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 1684
レビュー : 146
  • Amazon.co.jp ・本 (361ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167556044

作品紹介・あらすじ

「宝華、万歳!」「初出銑、万歳!」万雷の拍手と大歓声が湧き起った。七年がかりで完成した日中共同の大プロジェクト「宝華製鉄」の高炉に火が入ったのだ。この瞬間、日中双方にわだかまっていた不信感と憎悪が消え去った。陸一心の胸には、養父・陸徳志の、「お前、いっそのこと日本へ-」という言葉が去来する。

感想・レビュー・書評

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  • 190829.4巻合わせると結構時間かかった。
    中国の上層部の名前はあまり入ってこなかったけど、主要人物はしっかり把握できたと思う。
    フリガナも繰り返し適切なタイミングで出てくれるのが有難い。
    描写が細かく正確。なんでこんなに詳しいの?というのはあとがきにあったように取材と勉強の賜物なのだろう。
    恐れ入る。
    この作品に出会えて良かったと思う。バランス的には日本人にも悪人がいても良かったと思うけど。
    中国の徹底っぷりはホントに胃が重くなる。嫌な緊張感の連続である。
    前半の徹底した落としっぷりから、後半にかけての逆転感はやっぱり読んでて楽しい。元カノが転じてくるのも良かった。
    松本さんは日本人特有のゆるさが一心の状況とうまく噛み合わずトラブルメーカーとなる。
    ラストの落とし所が題名だとは、、
    読みごたえありすぎですわ。

  • 日本人の妹や父との再会を果たすも、一心の苦労は消えない。
    様々な苦難が待ち受ける。
    そしてまた、プロジェクトから外され、僻地へ飛ばされる場面も。
    最後には日本へ行くか、中国へ残るかという選択も迫られる。

    この作品を書くにあたり、山崎豊子さんの苦労がどれ程のものだったかと思うと、その気持ちの強さが心に響く。
    戦争に対する怒りが伝わってくる。
    その辺りのことは、あとがきや解説でも紹介されていた。
    これからも、多くの人に読んでもらいたい。

    2019.4.21

  • 陸、そしてその2人の父親。辛い人生だと思う。戦争三部作全ての主人公が強く、信念を持っている。彼ら自身自らの人生を最終的に幸せだと思っていないと私は感じた。当然各局面にはドラマがある。その小さな幸せの積み重ねと、最後の幸せ。私自身どっちを選ぶべきかまだ分かっていない。
    山崎豊子さんの本は本当に考えさせられる。全く時代背景は逆だけど、命だけは保証されているが生き方を見失っている今の社会に対し、人としての人生を考える為のとても良い教示書だと思う。

  • 「宝華、万歳!」「初出銑、万歳!」万雷の拍手と大歓声が湧き起った。七年がかりで完成した日中共同の大プロジェクト「宝華製鉄」の高炉に火が入ったのだ。この瞬間、日中双方にわだかまっていた不信感と憎悪が消え去った。陸一心の胸には、養父・陸徳志の、「お前、いっそのこと日本へー」という言葉が去来する。

  • 先輩に勧められて購入したものの、長編のため長い間本棚にあったが、読み始めたら物語に引き込まれ一週間で読み終わった。

    中国残留日本人孤児のニュースは子供の頃に定期的に見ていたが、この本で初めて実態を知ることができ、驚いた。

    時代や国家間の考え方の違いに挟まれた孤児達の苦しみが本からにじみ出ていて、読み進めるのは大変だった。

    主人公と周りの人間の苦悩とひたむきさに感動し、教育の重要性を改めて感じるとともに、山崎豊子の細部まで描写した取材力に驚いた。

  • 山崎豊子さんの作品は「白い巨塔」「沈まぬ太陽」「不毛地帯」などどれも素晴らしいが、本作品はその中でも最高傑作。日中戦争の歴史に巻き込まれた過酷すぎる運命に愕然とする。日本人も中国人も必読の一冊。

  • 壮大な物語だった。

    ドラマ化された?らしいが全くの知識無しに会社の方からお借りし読み始めた。


    騙され、裏切られ、
    もうこの苦しみから何としてでも逃れたい。
    その一心で読み終えた。

    物語のスケールが大きく、それとともに心への響きも大きい。

    読み切り、しばし放心状態。。。

  • 人を育てるのは親ではなく、人。

    (以下抜粋)
    ○「われわれも、日方の先生ぐらい高給を支給されれば、
     夜昼なくはたらきますがねぇ」
     臆面もなく、堂々と言い返し、さっさと交替してしまう。
     これでは彼らを束ねる幹部たちの心労が並大抵ではないのも見当がつく。(P.303)

  • 中国残留孤児の話です。最近は聞かなくなりましたが昔はニュースなどでよく残留孤児と親の対面が取り上げられていました。彼ら残留孤児は、戦時中に満州へ開拓に出た移民の子であり終戦後、日本へ逃げ遅れて現地で生き延びたという経緯があります。終戦から20年以上経ち、中国と日本の国交正常化後に肉親探しが始まりました。このような歴史があるので、戦争孤児に対する中国あるいは日本での差別を描いた作品かと思ったのですが、全体を覆うテーマにはそれもありますが、それよりも日本と中国という二つの国と、親子の愛をテーマにした物語と言えます。どこで生まれたかによって人間性が否定されてはいけない、って当たり前の事を再認識させられます。山崎豊子さんの圧倒的な取材量には毎回驚くばかりですが、この作品も中国での取材は途方もない努力の積み重ねだったようです。このような作家が亡くなったのは非常に残念です。
    満州からの引き揚げがどれだけ死と隣り合わせだったかは、藤原ていさん著の「流れる星は生きている」が詳しいです。

  • どうしても山崎豊子作品の主人公は、正義感にあふれ公明正大な人物に描かれ、家族も愛情あふれ理解があり・・・というパターンで書かれるので、話自体は中国現代史を下敷きにした壮大な物語なのに感情移入が難しい。

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著者プロフィール

山崎 豊子(やまざき とよこ)
1924年1月2日 - 2013年9月29日
大阪府生まれの小説家。本名、杉本豊子(すぎもと とよこ)。 旧制女専を卒業後、毎日新聞社入社、学芸部で井上靖の薫陶を受けた。入社後に小説も書き、『暖簾』を刊行し作家デビュー。映画・ドラマ化され、大人気に。そして『花のれん』で第39回直木賞受賞し、新聞社を退職し専業作家となる。代表作に『白い巨塔』『華麗なる一族』『沈まぬ太陽』など。多くの作品が映画化・ドラマ化されており、2019年5月にも『白い巨塔』が岡田准一主演で連続TVドラマ化が決まった。

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