運命の人(三) (文春文庫)

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  • 文藝春秋 (2011年1月7日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (304ページ) / ISBN・EAN: 9784167556082

みんなの感想まとめ

テーマは、主人公の記者が「知る権利」を巡る裁判を通じて直面する葛藤と、彼の職業に対する強い思いです。主人公は、新聞記者としてのアイデンティティを失い、家族との関係も絶たれてしまった孤独な存在として描か...

感想・レビュー・書評

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  • 「知る権利」を争うの裁判で一時は勝訴したが、逆転敗訴。敗訴する前から主人公は新聞記者としての自分を亡くしていました。それ以上に大切な家族とも絶縁状態になっていました。

    ペンと紙を武器として戦ってきた主人公にとって記者以外の仕事は仕事ではないのだと思いました。本当にわずかの人かもしれないが、自分の好きなことを趣味だけにとどめず生業として生きていく人がいます。そんな人がこの主人公なのでしょう。天職というものは本当にあるんだなと。

    羽があるけど飛べない鳥のように空を見続ける主人公は実家の家業にやる気が出ず、生きていくことさえあきらめて・・・これからどうなるのかが気になるところです。

  • 「大野木です。最高裁から通知が届きました」?
    いつもと変わらぬ静かな声に、上告が認められたのかと体を乗りだしかけたが、大野木弁護士はそれから長い間、沈黙していた。
    「先生ー」
    「決定は上告破棄です」
    「そんな!そんな馬鹿な」

    沖縄返還密約事件を描くTBSの「運命の人」プロデューサーの瀬戸口克陽氏はこのドラマの本質に付いて「マスメディアも本来は闘うべきだったのに防戦一方になり、本質がすれたまま、男女の問題として展開していった。国民にとってもっとも大事なものはなにかという大きな視点に立つことは出来なかったのか。きちんと検証すべきだと思います」原発問題で、真実を自ら明らかにしようとしない政府や官僚らの姿に「40年経った今も、基本的構造は何も変わっていない」と語ります。(赤旗日曜版1月29日号)
    ?
    第三話が終わった。弓成記者はあっさり逮捕された。これからしばらくあまり面白く無い裁判劇になるが、果たしてどのように料理するのか。?
    ?
    さて、第三巻は丁寧に裁判経過を追っています。判断は読者が出来るぐらいの材料は出ている。

    TVの問題意識は良し、もう同じ轍は踏んで欲しくない。

    「もっとも大事なことは何か」

    沖縄の人々の命の問題である。
    沖縄の人々の地方自治の問題である。

    そして、それを突きつめていけば必然的にアメリカのいうなりに、沖縄を犠牲にしようとする、琉球のときから繰り返し繰り返しつかわれる「捨て石」という位置づけ。これにきキッパリ、ノーという人が求められている。

  • <社>
    運命の人 は2005年から2009年まで 文藝春秋に連載されていたらしい。その後同2009年には単行本として上梓された様子だ。僕が読んだ文藝社製の文庫本は2011年に第1刷が発行されているが、読んだのは第9刷。2012年の印刷製本版だ。僕が町のフリーマーケットで全4巻を手に入れたのは確か2020年だったか。
    と言う事で、感想にはなってない感想文を終えて第4巻へとづつく。すまぬ。

  • 弓成は果たして有能だったんだろうか。
    敏腕記者であったが、途中変な理想に目覚め野党議員に密約の証拠となる文書を渡すも、野党担当の記者を介してやり取りしたため詰めが甘くニュースソースが明かされてしまう。
    大変な苦労をかけた奥さんにきちんとした謝罪や労いの言葉もなく別居。
    果ては亡くなった親の会社を継ぐも頑固さから合併の話を蹴り倒産に追い込んでしまう。

    だが思うに、弓成に限らず、人間には核となる特性みたいなものがあり、それが周りの環境とうまく噛み合えば「有能」ということになるし、合わなければ「無能」ということになるんじゃなかろうか。

    フィクションであれば最後に弓成の再起が描かれるのだろうが、どうなるのだろうか。気になる。

  • 弓成は無罪、昭子は有罪に。
    東京地裁の判決が下された…

    判決直後に、昭子の手記が週刊誌に公表される。
    窮地に追い込まれる、弓成…

    上告後の高裁の判決は…

    なぜ…
    国家権力の機密情報に触れたことが、弓成をここまで追い詰めるのか⁇

    弓成はなぜ昭子に対して、反論しないのか…
    弓成はなぜ由里子に対して、昭子とのことをちゃんと話さないのか…

    男として、反論をしたくないのか…
    反論が言い訳がましくなるのが嫌なのか…

    これが昭和の男なのか…
    何か自分よがりすぎないか、周囲に対して…

    このままでいいのか。

    弓成に一矢を報いてほしい。

  • 3巻は、一冊を通して裁判の経過が描かれています。

    地裁から始まり、高裁、最高裁まで、登場人物のみならず読み手の私も驚く判決でした。
    女性事務次官の手記には、同じ女性として辟易しましたが、そういった人物像を作り上げた作者が凄いと思いました。

    いよいよ次で最後。
    どんな結末を迎えるのでしょうか。

  • (一巻から四巻まで合わせたレビューです。)

    大好きな山崎さんの(もしかすると最後になるかもしれない)長編小説。

    沖縄返還時の機密文書漏洩事件(西山事件)をテーマに、
    相変わらずの取材力&構成力で読者をぐいぐい引っ張っていきます。

    この分野は完全に無知でしたが、小説を通じて、
    昔の自民党の政治のやり方を目にすることができました。
    主人公の機密文書を入手した手段は、
    倫理的によい方法だとは言えませんが、
    それ以上に、臭いものに蓋をする昔の自民党の政治家や官僚にも、
    沖縄の人たちだけでなく、日本人全員が
    もっと憤りを感じるべきなんでしょう。
    現在も普天間基地移設問題で民主党が揺れていますが、
    少しばかり当事者意識を持って
    この問題を受け止めれるようになった気がします。

    山崎さん、もう一冊書いて欲しいなぁ。。

  • 弓成の凋落ぶりが、憐れを通り越してもはや情けない

    週刊誌の手記なんぞに言われっぱなしで黙りとは
    読みたくもない手記を長々と読まされるこっちの身にもなってください
    三木昭子の魔性を今さら感じるとか遅いわ

    次巻こそはペンで戦ってくれると願う

    山部記者はカッコいい

  • 東京地裁の判決では、毎朝新聞記者は無罪、元外務省事務官は有罪(懲役6カ月・執行猶予1年)と明暗を分けたが、検察側が控訴におよんで、弓成(西山)の行動は「そそのかし」行為に該当するとして、逆転有罪(懲役4カ月・執行猶予1年)となる。毎朝(毎日)新聞の販売部数は50万部減少し、弓成亮太は辞職を余儀なくされる。三木(蓮見)は、『週刊潮流(新潮)』に告白文を掲載し鬱憤を晴らす。最高裁への上告は棄却され、弓成の有罪が確定する。裁判制度の舞台裏を知るにつけ、人の運命の脆さと儚さを痛感した。

  • 外務省機密文章漏洩事件の公判がすすむ。一審で弓成は無罪、三木は有罪。新聞記者を辞めた弓成は家業の青果商を継ぐが事業は衰退、さらに再審では有罪判決を受け控訴するが棄却され有罪が確定する。妻子とは別居が続く。
    キャリアが閉ざされた弓成はどん底に落ちていく。

    複雑な裁判の経過だけど、すっきりと読ませる筆力がすごい。

    【同僚Tさんから拝借】

  • 一人の人生を真実に程近い形で切り抜き、心情まで顕に描写する。山崎豊子は天才だし、努力の人だとも思う。しかし、マスコミと政府。この関係性におけるベストな距離感とは一体どこにあるか。悩まされる。

  • 最高裁の上告棄却により、弓成の裁判での戦いは、ついに敗北に終わる。
    密約漏えい事件は、ここで世間の話題から消え去るが、小説は、主人公のその後を、描いている。
    続けて第4巻を開く。

  • 判決が出たがまだまだこれからの展開が楽しみ!

  • 東京地裁が下した判決は二人の被告の明暗を分けた。毎朝新聞記者の弓成亮太は無罪、元外務省高官付き事務官・三木昭子は有罪に。週刊誌に発表された昭子の手記は波紋を広げ、妻の由里子はある決意をかためる。「知る権利」を掲げて高裁を闘う弁護団の前に立ちふさがる強大な国家権力。機密は誰のためのものか?緊迫の第三巻。

  • 4巻に記載

  • 新聞の政治記者として駆け回っていた弓成亮太が高裁で有罪判決を受け、引き継いだ青果卸会社も衰退の一途となり競合に吸収合併される。競馬に明け暮れる亮太の自堕落ぶりが哀れであり情けなくもある。それにしても三木昭子は何をしたいのか?

  • 弓成の落ちぶれ方も実話なのだろうか。
    しかし、新聞記者としては頑張っていたかもしれないが、人間としてはひどい男だな、という感想。

  • いわゆる『外務省漏洩事件』、『西山事件』を題材にする本作。

    ・・・
    第一巻・第二巻で、特ダネ記者弓成の、過剰気味の自信を実績で証明するかの仕事ぶり、外交官や政治家への食い込み、外務省事務官との情事、情報漏洩による逮捕、警察への尋問、そして起訴までの様子でした。

    第三巻は、概ね裁判の様子にあてられます。そして主人公弓成の境遇が右肩下がりに落ちてゆきます。

    結果的に一審は勝訴(無罪)ながら、三木は有罪とされ、情報源の秘匿をできないという記者としての誇りをもズタズタにされた弓成。会社でも疎まれはじめたことを察し、職を辞する。そして家庭に顔向けできないと実家の九州へ単身戻り、実父の会社へ入社。最悪やな。

    その間、控訴審が進行し、控訴審では有罪。
    弓成側の大野木弁護士、もう一方の被告の三木と弁護士の坂本。加えて裁判官の様子がドラマティックに描かれます。端的に言えば、今度の裁判官は保守側ということでした。
    なお最高裁では控訴棄却ということで、弓成=悪者、の印象が確定。三木の手記が週刊誌に掲載され、あることないことが流布されることになります。

    こうして失意の中、実家の仕事にも身が入らず、博打にうつつを抜かします。
    自暴自棄になりつつある弓成の様子は、幾許か自業自得的に私は感じます。でも一層気の毒なのは奥様と子どもたちでしょう。このあたりは夫婦にしか分からないこともあろうかとは思いますが、胸が苦しくなります。

    ・・・
    ということで第三巻。

    裁判といえども、ポジションを取る(つまり裁判官の意見も相対的正しさ)ということが良く分かります。また、家庭をないがしろにする感がなかなかひどく、ショーワという過ぎし時代を感じました。

    裁判の様子、ジャーナリズム、社内政治、家族とは何か、等々に関心のかる方にはお勧めできる作品であると思います。

  • 超一流の新聞記者弓成は国家機密漏洩に関する裁判を通して逆転有罪となってしまう。
    父の青果会社に入り悶々とした日々を過ごす。
    結末が読めない終わり方の3巻、全4巻のこのシリーズだが、タイトルの運命の人とこれまでのストーリーも結びつかない。どのような結末が来るか楽しみです。

  • 裁判の判決、一転して有罪へ。
    そして、4巻へ続く。

    まあこの辺で、この本の題材となってる「西山事件」について。。。

    1971年当時の総理大臣、佐藤栄作がアメリカからの沖縄返還を実現し、その後、それを讃えてノーベル賞も貰ったわけだ。
    その時、アメリカが地権者に対して支払った金は、実は日本が肩代わりしていたと。
    要は、金で解決した部分がある事は、秘密だったが毎日新聞社の記者(名前が西山だから「西山事件」)が、その情報を国会議員に漏洩した事が有罪となった事件があった。
    その機密情報の入手経路が、女性秘書で、まあ、ビジネスマンガによく有るドロドロした男女関係。
    毎日新聞は、そのスキャンダルから倒産まで追い込まれてしまったため、これを期に、大手メディアは国家機密に関わる事項についてスクープするということがなくなった、要は骨抜きになったという訳だ。

    (かなりすっ飛ばしてるので間違いがあるかも。気になる方は、Wikiででも調べてみてください。)

    山崎豊子の小説は史実に基づいている物が多く、主人公は大概立派な方で読者としても思い入れが沸く物だが、この「運命の人」の主人公は「西山事件」の西山(本の中では弓成(ゆみなり))なので、どうもイカン。
    まあ、4巻も続けて読むけどね。

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著者プロフィール

山崎 豊子(やまさき とよこ)
1924年1月2日 - 2013年9月29日
大阪府生まれの小説家。本名、杉本豊子(すぎもと とよこ)。 旧制女専を卒業後、毎日新聞社入社、学芸部で井上靖の薫陶を受けた。入社後に小説も書き、『暖簾』を刊行し作家デビュー。映画・ドラマ化され、大人気に。そして『花のれん』で第39回直木賞受賞し、新聞社を退職し専業作家となる。代表作に『白い巨塔』『華麗なる一族』『沈まぬ太陽』など。多くの作品が映画化・ドラマ化されており、2019年5月にも『白い巨塔』が岡田准一主演で連続TVドラマ化が決まった。

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