快楽の動詞 (文春文庫 や 23-3)

著者 :
  • 文藝春秋
3.14
  • (17)
  • (35)
  • (208)
  • (22)
  • (4)
本棚登録 : 675
感想 : 45
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (197ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167558031

作品紹介・あらすじ

なぜ女は「いく」「死ぬ」なんて口走るのか? 奔放きわまる文章と、繊細緻密な思考で日本語と日本ブンガクの現状を笑いのめす深淵かつ軽妙なるクリティーク小説集。(奥泉光)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 文章を読むことを楽しませてくれた作品。
    小説か、批評文か。どちらとも取れる山田詠美氏らしさが爆発した一冊。

    言葉、文章、表現…に対するとても批評的な目線は痺れた。読んでいて刺激的であり、時にはその痛烈さに笑ってしまったほど。
    捻くれている、と言って仕舞えばそこまでだがここまで直球で清々しく、だけどなんとも洒落た文章に心が踊った。

  • 小説…、なのか?解説の「文章」であり、「小説」って感じがまあしっくり。
    どう楽しめばいいか最初は戸惑ったけど、まあまあおもしろく読めた。
    『ベッドの創作』が一番そうそう、って楽しく読んだ。

  • 手にとった時の薄さを裏切る、内容の濃さ。
    久々に「これは面白い」と感じながら読み進めました。

    個人的なお気に入りは、文体たちの話。
    文体の擬人化という発想はもちろん、軽快に進む擬人化達の会話に、ふふっと笑いながら読みました。

  • 久しぶりに好き!と思える本と出会った。下調べもせず小説だと思って買ったから、予想外でさらに面白く感じたかも。

    がまんさんとふらちさんの対談が一番印象的。純文学も、突き詰めたら快楽。つまり娯楽文学とそう変わらないから、偉そうにしたり娯楽を批判するのは違うと。確かに、本当に社会問題とか人の不幸とか死について突き詰めたら宗教と政治しか残らない。文学とある時点で快楽が必ず含まれている。素人の戯言だけど、エロスのない芸術は存在する意味があるのか?とも思う。

    へらず口くんとふえず口くんの章は、リア充に文学はいらないと言う言葉を思い出した。

    擬人化がとっても上手くてとにかく楽しかった。

    ところで、この本を読んだ人はAのつもりで買ったのかBのつもりで買ったのか。どっちにしても裏切られたと思うけど。

  • セックスの最中に「死ぬ」とか口走るかなぁ?というのが正直な感想。なんとなく嘘くさい気がする。

    最初はエッセイ?で、後半は短編集な感じなんですが、あまり面白くはなかったです。

    駄洒落なんて、正直私にはどうでもいい。
    駄洒落ばっか言ってる人がそばにいたらうざいけど。

  • 肉体の快楽…。
    恋愛…。

    • 9nanokaさん
      なんかもう、帯からして凄そうですね笑。
      komoroさんの感想が何かを含んでいる気がします(^^)
      なんかもう、帯からして凄そうですね笑。
      komoroさんの感想が何かを含んでいる気がします(^^)
      2015/04/23
  • 主人公たちへの好悪は別として、細やかな心の揺らぎやためらいの描写は素晴らしいと思う。

  • ベッドの上の描写について、真面目に、メタ的に、エッセイ風に、しかも的確に論じていて結構面白かった。
    普通に山田さんの小説を読みたい人には合わないかも。

  • 性と文学が知りたければこの本を読むしかない

    特に快楽の動詞,ベッドの創作は考え深い。
    そっち知識がついてくると普段使っている会話や言葉の中にもなんとまあ卑猥な別の意味があるのだろうと思うがそれをエッセイとして考察した本なんて他にあるだろうか。

    私は前から官能小説と官能的なシーンが多く書かれている純文学の具体的な違いは何なのだろうと思っていたけれどこの本を読んですこし謎が解けたような気がする

  • 「私はいく」=「私は恋人と寝床に入り幸福のきわみにまでのぼりつめ涙する」


    「いく」という言葉が、快楽の絶頂を表す言葉なのは、この年になればわかるけど、これって不思議だよね。



    同じように「死ぬ」という言葉も


    ポルノ小説になんかよく使われたりするし、実際使う場合もあるんだろうけど。


    日本語の絶頂感は、点であり、刹那的であり、快楽用語に死というイメージを使うのはいかにもであると山田さんは書いています。

    日本語は、賢いぞ!


    そのほかにも知性とセックスは両立するのか?
    ブンタイって一体何なんだろう?
    否定形の肯定?

    作者独自のものの見方によって、日本語と日本ブンガクの現状について書いたクリティーク小説集。

全45件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1959年東京生まれ。85年『ベッドタイムアイズ』で文藝賞受賞。87年『ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー』で直木賞、89年『風葬の教室』で平林たい子文学賞、91年『トラッシュ』で女流文学賞、96年『アニマル・ロジック』で泉鏡花文学賞、2000年『A2Z』で読売文学賞、05年『風味絶佳』で谷崎潤一郎賞、12年『ジェントルマン』で野間文芸賞、16年「生鮮てるてる坊主」で川端康成文学賞を受賞。他の著書『ぼくは勉強ができない』『姫君』『学問』『つみびと』『ファースト クラッシュ』『血も涙もある』他多数。



「2022年 『私のことだま漂流記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

山田詠美の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×