風味絶佳 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 2790
レビュー : 307
  • Amazon.co.jp ・本 (259ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167558062

感想・レビュー・書評

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  • わたしの中に渦巻くことばにしがたい想い。
    ことばという輪郭に収めがたい感覚・感情。
    それを原型に近づくように切り取るにはわたしには度量が圧倒的に足りない。

    小説家はそれをやってのける。

    山田詠美さんはこの短編集でそれを華麗にやってのけるのである。

    作家生活20周年に書かれた作品集というけれど、どれも安定感があり安心して読める。どの短編も味わい深い。
    まさに風味絶佳。

    「夕餉」と「アトリエ」が印象的。
    幸せの形はひとそれぞれだけど、そしてそれは確実に刹那的だけれど、確かに泣きたいほどの「幸せ」がそこにあった2編。

    ラストの高橋源一郎さんの解説がまたよい。
    (2016.6.26)

  • 「夕餉」の美しく流れゆく料理と物語に惚れ込んでしまった。おいしく完成していく料理に対して、崩れていく人間関係からの再生。とても美しく、おいしい。

  • 2016/5/5読了。
    間食:15歳年上の女性と暮らしながらも、年下の子豚のような子を可愛がり恍惚を得ている鳶職の男。15歳年上の女性もただ彼を愛しているというより食事を作ったり彼の世話を自己満足で行っているような感じでお互いのいびつさがぞっとした。読み終わってタイトルの意味がわかりそういうことかと。

    夕餉:ごみ収集の乗務員である不倫している男のために手の凝った料理を作る美々。料理やごみの分別をする描写が独特な怖さを感じ、文書が滑らかですらすら読めた。女性はいつまでも、褒めてほしいし女の子として見てて欲しいんだよなと思った。

    風味絶佳:70歳を過ぎても現役のグランマ
    。ガスステーションで働く孫の志郎の恋の話。志郎はとっても優しいけれど、それだけじゃやっぱり女性は物足りないものだなと思う。

    海の庭:年頃の娘からみた離婚をした母親と同級生の関係を描いた話。30年ぶりの再開でぎこちない雰囲気の二人やそれをみている娘の状況がうまく表現されている。

    アトリエ:汚水槽の清掃作業員の夫と暗く何をするのも不器用な妻の話。妻が弱ると元気にさせる夫は、自分が元気にさせられることに喜び、快感を得ている。妻を愛しているのではなく、そういう自分に酔っている。妻も不気味だが、夫が妻に注ぐ愛情が歪んでいて不気味で怖い。

    春眠:葬儀屋の父と息子の同級生で片思いの相手である女が結婚してしまう。亡くなった母の気持ちを考えず、若い女との生活で変わった父の姿に息子は苛立つ。 母の拾骨が終った時に、炉前にいる作業員に深々と頭を下げてお礼をいう姿、泣かずに礼儀正しく降るまう姿に父の母への愛を感じた。 女は息子に言う"死ぬ時に、一番幸せなのが勝ち"と。

    汗と臭いが伝わってくるような労働者の生活の中での様々な恋愛模様が上手く描かれていた。不気味で共感できない人ばかり出てくるが、考えさせられる本だった。

  • 孫に自分の事をグランマと呼ばせるおばあさんは読み手が若ければ反感を買うだろうし、読み手がおばあさん世代に近ければちょっと羨ましいと思うだろうな。 
    友達から勧められて、書店で装丁買いした本。

  • 読書録「風味絶佳」2

    著者 山田詠美
    出版 文藝春秋

    p76より引用
    “レードルやスクレイパーや菜箸、まな板や
    トングに至るまで、台所用具は、いつだって、
    私を快楽に導いてくれる。”

    目次から抜粋引用
    “間食
     夕餉
     風味絶佳
     海の庭
     春眠”

     恋愛をテーマにした、短編小説集。
    全六編。
     建設会社で働く雄太、イマイチ職場に寂し
    さを感じる彼にとって、職場で少し浮いた存
    在の寺内は気になる存在で…。(間食)

     上記の引用は、料理好きの女性の心の中。
    使い慣れて手に馴染んだ道具は、それを使う
    事自体が快感なのかもしれませんね。
    買って来た新品の道具を、自分の手に馴染む
    まで育て上げると、より一層仕事の能率が上
    がるものなのではないでしょうか。
     甘くて渋くて、少し苦い。そんな短編が集
    められています。私にはあまり合いませんで
    した。

    ーーーーー

  • 2013/05

  • 歪んだ愛の形
    アトリエがやばいぐらいにいいです。きれい

  • よくある山田さんの話。

  • ずいぶん前に買った本だけど、途中までは読んでいたんだな。「夕餉」は記憶に残ってた。キャラメルグランマの「風味絶佳」は、不二子ちゃんとボーイフレンドの関係が気になるところ。「海の庭」の初恋をやり直す二人のことはコドモにはわからないよね。二人だけの愉しみ、ほっといて。

    でも全然わかってないと思う、わたし。
    いつかもっとオトナになってハッとする日が来るかしら?


    NYCーDFW

  • ほろにが。
    「夕餉」「春眠」が好き。

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著者プロフィール

山田 詠美(やまだ えいみ)
1959年、東京生まれ。明治大学文学部中退。85年『ベッドタイムアイズ』で文藝賞受賞。同作品は芥川賞候補にもなり、衝撃的なデビューを飾る。87年には『ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー』で直木賞受賞。89年『風葬の教室』で平林たい子文学賞、91年 『トラッシュ』で女流文学賞、96年『アニマル・ロジック』で泉鏡花文学賞、2000年『A2Z』で読売文学賞、05年『風味絶佳』で谷崎賞、12年『ジェントルマン』で野間文芸賞、16「生鮮てるてる坊主」で川端賞を受賞している。その他の著書に『無銭優雅』『学問』『タイニー・ストーリーズ』『明日死ぬかもしれない自分、そしてあなたたち』などがある。

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