安田講堂攻防七十二時間 東大落城 (文春文庫)

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  • 文藝春秋
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感想 : 45
  • Amazon.co.jp ・本 (332ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167560027

作品紹介・あらすじ

放水に煙る時計台、炸裂するガス弾……昭和四十四年一月十八日、学園紛争の天王山といわれた東大安田講堂の攻防を自ら投石を受けながら指揮した著者が再現したドキュメント!(早坂茂三)

感想・レビュー・書評

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  • 東大安田講堂事件
    から50年
    1969年1月18日〜19日、警視庁が学生によって占拠された安田講堂封鎖解除を。

  • 自分の親世代(いわゆるベビーブーマー)の人に「東大」あるいは「安田講堂」というと、かなり高い確率で興奮してこの事件のことを語ってくれる気がする。そんな世代の感想だが、具体的に何が起こっていたのかは詳しく知らなかったので、機動隊側の前線指揮官だったという著者の話は興味深かった。読んだ後に警察署とか機動隊の装備を見ると、こういう目的で導入されたのだろうと思われる物品が散見されるのもある意味新鮮だった。

  • 昭和44年、大学紛争が勃発する時代。全共闘の過激派学生たちは東大の安田講堂を占拠し、機動隊と衝突。当時の著者は警察官僚の中間管理職。現場の隊員と上層部に挟まれながら、催涙ガス弾の使用を発案し、マスコミ向けの対応や弁当を手配、時には個人で借金をしてまでも現場経費を作り出す。時にジョークを言い合いながら団結する機動隊の努力や苦悩は本書から痛いほど伝わってくる。

    で、彼らの戦場となった学園紛争とは一体何だったのか、誰が何の目的で行い、何が残されたのか。今の時代となっては理解されにくい。著者にとっても理解されていないというわだかまりがあるのだろう。が、その敵対する相手、全共闘が何を考えていたのかがよくわからない。しかも、逮捕された学生のほとんどは東大生ではなかった。モラトリアム学生の過激で大規模な自分探しとしか思えない。

    あさま山荘事件のように巨大鉄球という象徴的なアイコンがなく、死者も発生せず、首謀者名もよくわからない、東大安田講堂事件。時が経ても、理解されることのない過去の遺物として扱われるのはしょうがないのかも。

  • 佐々淳行氏がなくなった。
    もと警察官僚として危機管理問題についてTVでコメントする姿になじみがあるが、退官後の本業は作家。全共闘の安田講堂占拠事件を扱った本作を大学時代に読んで今も印象に残っている(以下、うろ覚えの記憶で書く)。

    反安保闘争が吹き荒れた年、学問の自由を守れ、警察権力をキャンパスに入れるな、と叫ぶ学生たちは研究室の設備を壊してバリケードを作り、貴重な文献を焚火にくべて暖をとった。大学に通う機会もなかった機動隊員こそ学術資料を傷つけないように搬出し、上空から浴びせられるガソリン、硫酸に立ち向かった、と著者は力説する。

    安田講堂では過激派側、警察側ともに死者が出なかった。これは当時の世界的な社会運動とその制圧と比較して稀有なことであった(Kidotai、のノウハウはその後世界に輸出された)。そこには、以前の抗争(神田カルチェラタン?)の中でコンクリート片の直撃を受けて殉職した警官の教訓があったようだ。

    葬儀のシーンが忘れられない。会場に参列している幼い子どもは遺族。並んだ警察官の列に白いさざ波が広がっている、よくみれば涙をぬぐう白い手袋が波打っているのだった。「ちくしょうバカ学生ども、こんな大きなコンクリートを頭の上に落として、当たったら死ぬに決まっているじゃないか。おれたにちも家族がいるんだぞ」。
    それだけに、この本のラスト近く、秦野章警視総監が皇居で顛末を奏上する場面で、昭和天皇が発した言葉が深く胸を打つ。

    もちろん闘争への評価は描く立場によって違うだろう。
    娘が読んでいた宗田理「ぼくらの七日間戦争」、どんな本かと覗いてみたら、中学生が学校に反抗して立てこもり、安田講堂での「学生放送」を今こそ再現する、という物語だった。

    この時代をどう捉えるか。ほんとうにひとそれぞれなのだった。

  • 私は、この時代を知らない、そして、私の大学時代は、平穏に流れた・・
    昭和44年1月大きな山場を安田講堂では迎える。

    日本が一番熱かった時代なのかもしれない。
    学生の生き様
    警察官の生き様

    ぶつかるべくしてぶつかり合ったのか、それとも・・・
    大義は私にはわからない。

    しかし、それぞれが、使命をもち、職務を全うした、その警察官の側から描かれた作品

    読んでいるとその場の臨場感というか、その時代の匂いというか、目の前に浮かぶその光景が
    鮮烈に表れるのを感じる1冊

  •  
    ── 佐々 淳行《東大落城 ~ 安田講堂攻防七十二時間 199601‥ 文春文庫》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/416756002X
     
    ── 佐々 淳行《連合赤軍「あさま山荘」事件 19990601 文春文庫》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4167560054
     
    (20181012)
     

  • 70年安保の際の東大安田講堂立てこもりに対し、鎮圧側の視点から見たドキュメンタリー。ちなみに、日大や東大でも他の建物の立てこもりの話も有り。

    70年安保闘争およびあさま山荘事件において、警視庁警備課長だった、テレビのコメンテーターでもおなじみの佐々氏。「異例の人事」から「常識を覆す解決法」「縦割りをぶち壊す」という幾つかの視点において、自分で見たとおりに書いているので、他の著作に比べてイキイキとした文章なのが第一印象。自ずとのめり込んで読んでしまう。

    現場の描写は、それなりに荒っぽく書かれていたりして、てんやわんやではあるものの、その辺が本書の良いところとも言える。

    全体に、根性論のようなものが支配しているところがあり、そういうものが嫌いな人には気になるかもしれない。また、時代背景を論じると宣言している割に、当時の安保闘争が暴力的だったことだけシカ印象に残らないところもあり、そちらに肩入れしてしまう人たちには、カチンとくる表現が多いかもしれない。

    ただ、実際に「全国の学生が一致団結して」というきれいな断面ではなく、実情は内ゲバだらけの矛盾ばかりの組織であったことは、現在のアンポハンタイ論者とも重なるわけで、こちらのほうが正確なのではないかと思う。

    思想だのとは関係なく、オモロイドキュメンタリーの1つだと思って読めば、かなり楽しめる1冊である。あさま山荘事件も買った。

  • 古本で購入。

    1969年(昭和44年)1月、東大安田講堂事件。
    学園紛争の「天王山」と言われるこの攻防戦を、警備側の責任者のひとりであった佐々淳行の実体験を基に描くドキュメント。

    「安田城籠城は彼らにとって疑似戦争体験だった。それはイデオロギーにゆがめられた、幼児的ともいえる憂うべき心理状態だった」
    と筆者が喝破する、本書に記された暴徒学生たちの振る舞いと他者不在とでも言える暴力は、実に幼稚で、身勝手である。筆者は彼らの行動の動機の純粋なる部分を認めつつ、やはり怒るのである。

    “最前線”で状況を見続けた当事者なだけに、その描写は生き生きとしていて、文章も読ませる。
    警察側の人々が魅力たっぷりに、かっこよく描かれているのは、その功績を知られることなく亡くなっていった「彼らを顕彰する鎮魂賦」として本書が書かれている以上、当然のことだろう。

  • 20141226読了。
    東大安田講堂で何があったのか。学生運動とはなんだったのか。
    テレビでそんな映像が映るたびに思っていて本書を手に取った。
    同じ佐々氏の書いた「あさま山荘」ほどの衝撃はなかったが、当時の状況がよくわかった。
    それにしても立てこもった学生たちの、人を人と思わない残虐な抵抗ぶりと、逮捕される時の幼稚さのギャップに驚いた。「学生」だから半人前、半分子どもだから何やっても許されるという甘さが感じられた。

  • 歴史小説の趣。現場にいた者にしか書けない臨場感ある戦いの裏側、ユーモアあふれるエピソード。

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著者プロフィール

1930年東京生まれ。東京大学法学部卒業後、国家地方警察本部(現警察庁)に入庁。「東大安田講堂事件」「連合赤軍あさま山荘事件」等に警備幕僚長として危機管理に携わる。86年より初代内閣安全保障室長をつとめ、89年昭和天皇大喪の礼警備を最後に退官。2000年、第四八回菊池寛賞を受賞。2001年、勲二等旭日重光章受章。著書に『東大落城』(文藝春秋読者賞受賞)等がある

「2016年 『重要事件で振り返る戦後日本史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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