- Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167560096
感想・レビュー・書評
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⚫︎後藤田正晴の的確な指示はすごい。人心掌握技術も筆舌に尽くし難い。
⚫︎政界は嫉妬も半端ないから、中途半端に目立つと潰されるというのも大切な教訓
⚫︎政治決定のプロセスは意外と人間臭いもの
⚫︎大きな組織で働いたらわかるけど、たとえ相当真理をついたことでも内部で通るかはまた別問題。
⚫︎筆者はタイミングで上司に見放されるけど、最終的にはトントンみたいだと。
⚫︎とにかく精神論を説きがちな上司と違って、指示が具体的なのは、わかってるな〜って感じだね。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
カミソリ後藤田について書かれた本ではあるが、どちらかと言えば佐々淳行の自伝の要素の方が強い。しかも自慢が大半。
後藤田互訓はサラリーマンにとっても非常に示唆に富んでいる。
1.省益を忘れ、国益を想え
2.悪い、本当の事実を報告せよ
3.勇気を持って意見具申せよ
4.自分の仕事でないと言うなかれ
5.決定が下ったら従い、命令は実行せよ
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「さっさ」と言っても、「サッサ」ではなく、「佐々」と言えば、戦国時代末期の武将「佐々成政」。
豊臣と徳川の、その後の運命を決定してしまった「小牧長久手の戦い」に参加しようとしたものの、その前に秀吉・家康が和睦してしまったので、進退窮まって「アルプス越え」を決行したことで有名な、織田軍団きっての猛将。
その直系ではないらしいけれど、一族の末裔に当たるのが、本書の筆者、佐々淳行。
我が国における「危機管理」のエクスパートであり、初代の「内閣安全保障室長」。
その方が、立場はいろいろ変わったものの結果的に長く仕えることになった後藤田正晴(元内閣官房長官、副総理)との関係を中心に、危機管理にまつわるさまざまなエピソードを紹介している。
今から見ても、本書には読みどころが多い。
いちいち紹介するときりがないが(できれば本物をお読みください。)、やはり注目いたしたいのは、後藤田五訓(140頁~)。
中曽根内閣時に内閣官房を強化するためとして、新たに5室(内政審議室、外政審議室、安全保障室、情報調査室、広報官室)を設置した時の、後藤田官房長官の訓示がそれ。
本書によると、これを「五訓」にまとめたのは筆者で、後藤田長官本人が「後藤田五訓って、何だ?」といった感じだったらしいのだが。
1 省益を忘れ、国益を想え
2 悪い、本当の事実を報告せよ
3 勇気を以て意見具申せよ
4 自分の仕事でないというなかれ
5 決定が下ったら従い、命令は実行せよ
(注:原文は漢字+カタカナ)
確かに、この簡潔な指示がきちんと守られたら、多くの「組織病」が解決してしまうだろう。
しかし、現実にはそうではなく、149頁にあるとおり、
1 国益をそっちのけにして省益を争い
2 悪い本当の事実は報告せずに上司に心地の良い情報ばかりあげ、
3 大事なときには意見具申せず沈黙して不作為を守り、
4 何か起きると「オレの仕事ではない」と消極的権限争議に耽り、
5 決定が下っても従わず、命令はなし崩しにうやむやにする
という、官僚主義が横行している。
本書には、その「現実」に対する悲憤慷慨がこれでもかこれでもかとばかりに詰め込まれている。
そのためか、あちこちに、ちょっと「?」を付したくなるような記述も見られるが、この手の本の宿命としてそれはそれで受け止められるべきであろう。
まさにジェットコースターのような、上がり下がりの激しい役人人生であるわけだが、しかし、このような本を出せたということは、やはり、それなりに幸せな役人人生だったのではないだろうか。
ところで、プロローグには、後藤田官房長官の退任挨拶が紹介されている(15頁)。
涙を流さずに読めなかったのでありました。
「一将成りて万骨枯る」とは対照的なリーダーがここにいるではないか。
50年近い私の公職人生の中で、私には、大きな心残りがあります。
それは、過ぎし第2次安保闘争という騒乱状態を鎮めるため、警察は延べ600万人の警察官を動員し、殉職者十有余名の負傷者を出しました。
なかには生涯なおらない後遺症をのこし、今も苦しんでいる人々がおります。
私は警察庁長官として、警察官たちに「忍耐」を求め、必要以上の実力行使を慎むように命じ、この騒乱を鎮めることができました。
だが、その蔭にこうした大きな犠牲を警察側に課したということについて、私は心が傷み、これからも私にとっての心の重荷となることでしょう。
混迷の世を憂える世の中の方々に一読をおすすめしたい。 -
佐々淳行が上司として仕えた後藤田正晴について書いた本。後藤田五訓はいつの時代のどんな組織にも通じるものであり、勉強になった。対照的に宇野宗佑の小物っぷりが際立って描かれており、短命内閣になるべくしてなったのかもしれないという印象を受けた。
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元警察官僚の著者による後藤田正晴の評伝…というより仕事場日記といった方が良いだろうか。著者も後藤田氏も実際に一緒に働いたら振り回されて大変だろうし、脱落者も出るだろう。ただともに働き抜いた後の達成感は凄いものがあるのだと思う。
多少脚色は入っているのだろうが、彼らはとても無骨で格好がいい。
ただし割と人の好悪が激しい人なのは注意すべきかな。加藤紘一嫌いすぎだろうこの人…。
あと時々出てくる橋本龍太郎がキザ過ぎる。なんなんだこの人笑。 -
面白いけど、自慢話が多すぎて
どこまで信じていいんだろう?
というのはある。
後藤田5訓と、非常時に
腹心を現地に送る、は参考になった -
本書は、上司、後藤田正晴を佐々氏が語ると言うより、佐々氏の波瀾万丈な役人人生の後半部を、後藤田氏を絡めつつ語った書、と言った方がしっくりする。著者は、上司から嫌われ、陰湿な嫌がらせを受け、左遷されること数度。警察機構や防衛庁のどろどろとした人間関係に翻弄されるものの、本人の実力とそれを理解する心ある上司に引き立てられ、初代の内閣安全保障室長(次官級ポスト)まで登り詰めた。著者の潔い身の振り方は、後藤田の切れ味のよい差配とも通じるところがあり、読んでいて気持ちいい。
著者は、カミソリ後藤田から「抜身の日本刀みたいな奴だ」と言われたという。二人は同類ということなのかもしれない。 -
佐々淳行相変わらずの自分語り。面白いから全然いいけど。
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