後藤田正晴と十二人の総理たち もう鳴らない“ゴット・フォン” (文春文庫)
- 文藝春秋 (2008年3月7日発売)


- Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167560157
感想・レビュー・書評
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⚫︎やっぱり面白い。当時の国際情勢がよくわかり興味深い。もちろん政府やらも動いているだろうが、こういう裏も表も知り尽くして指示を出せる人間が少ないのだろうな。
⚫︎組織としていい結論と、個人で出すいい結論には差がある。ましてや減点主義の組織だとなおさら。やってる感を出してそつなく逃げるのが最適解になってしまう。だから外野の方がやりやすかったりもするのだろう。もちろんそれが激しくなるともうダメになるけれど。
⚫︎重厚感のある政治家が少ないと言われる。ただ、政治家は国民の質を表す鏡だから、我々が劣化して、目先の事しか考えることしかできない、文句ばかり言ってしまう小人に成り下がっているのかもしれないね。気をつけたいものです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
(ご存命だし失礼だろうけど)昔の人ってやっぱりパワーが違う。佐々さんや後藤田さんは東大行くほど頭がよかったから、頭脳もあるし、でもそれだけじゃなくって行動力が備わってるんだ。二人とも戦争を経験したし、佐々さんの場合は学生運動全盛期に東大に通っていてそこで巻き込まれたことも影響してるんだろうな。今ののほほんとした環境とは大違いで、食うか食われるかという状況で感覚が磨かれて、警察行った後もあさま山荘事件(佐々さんの著書を過去読了)みたいな、歴史に名を残すような凶悪事件も経験してるから。
だから今の人たちとはやっぱり違う。頭脳優先で、考えに考えを重ねて、でも煩雑な手続きや縦割り社会のせいで機動力が弱く、後手に回る。
後藤田さんと佐々さんのやり取りは、だから読んでいて気持ちいい。ゴット・フォンによる命をいやいやながら受けて、現場主義を貫く、機動性のある政治を進めてしまうのなんて、戦争なんておこらないよ、と間違った見解を抱いていている政治家に対し、独自の外交ルート(交友関係)を頼って、アメリカの動向を探る。つっついても出てこないような官僚組織の中でははあっぱれじゃない。縄張り意識が強い官僚社会の中で嫌われるって思ってても、型破りな方法を取るのは私益のためにやっているんじゃなくて後藤田さんの言葉を借りたとおり「国益」のためなんだから。
政治家ってこうあるべきじゃないのか、と思ってしまった。そんな一般人から見たらちっぽけな縄張り意識とか慣例とかを時には超えて、国の取るべき道を提示する。
後藤田さんが眼をかけていたらしい政治家が数人出てくるけれど、何よりも佐々さんを信頼していたに違いない。後藤田さんの名が冠されている本だ。後藤田さんの命令によって、佐々さんが実行したいろんな業績が詰まっている。それだけじゃなくて過去の上下関係、組織外でも続くその関係、そして友情まで感じ取れる、いい本だ。 -
佐々さんの書く後藤田さんはやっぱり好きですw
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佐々さんの事件簿という感じだが、時の総理のときにどのようなことが起こり政府がどのように対応したのかが内側から描かれており面白い
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後藤田さん逝去に伴い、歴代首相と佐々さん、後藤田さんの関係が築かれている。どちらかといえば佐々さんの自伝的要素が強いが、後藤田さんの意外な茶目っ気のあるエピソードも盛り込まれていて、面白い。
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東北東日本大地震の対応について考えさせられて読んだ
現役官僚にこんな人いるのだろうか?もっと、佐々氏を活用してほしい -
後藤田さんが生きていたら、危機管理のトップとして日本を立て直してくれたと思う。ここまでひどくなる前に。
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今までの著書と被る部分もあるが、重大事件は、時間を経ないと書けないモノばかりなので、こういった本はとても貴重だし、また面白い!
また、著者と後藤田さんの関係も、ジーンとくるものがあった。 -
危機管理とは?を理解したくて買った本。浅間山荘事件に対する指針が印象深い。
著者プロフィール
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