後藤田正晴から鳩山由紀夫ブレーンまで わが「軍師」論 (文春文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (366ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167560164

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  • 危機管理の専門家である佐々淳行による政治論の本
    なお、本書で言う軍師とは、総理を始めとする政治家等を適切に導く役目を持った「秘書役」のことで、戦国時代とか三国志とかの軍師に関するものではない

    なお、収録されている内容が時間的に幅があり、また時系列順でもないことから時代背景等の説明がもう少し欲しいように感じた
    特に、鳩山元総理や村山富市元総理の失敗における軍師不在の状況などは考えさせられる論点でした。

    【なるほどな点】
    ・「秘書」は、綺麗で気が利いて頭のいい若い女性で結構だが、「秘書役」は役員である。「秘書役」には、戦略・戦術にたけ、知力体力抜群で、社会的に影響力のある「逆命利君」、すなわち総理にも幹事長にも「ノウ」といえて、結果的に総理を利する全人格的力量が要求される。こうした「秘書役」が軍師であり、こういう人材を得ることが必要であろう。(P20)
    ・(鳩山総理については)「友愛(ラブ)と子供手当で北朝鮮のノドン、テポドンから国民を守れるのか?」という国民の不信感が増大している。(P25)
    ・まさに「綸言汗ノ如シ」で、いったん不用意に口にしたことは、総理であるがゆえに、そうそう簡単に変えたり、撤回できるものではないことを、鳩山総理は銘記すべきだ。(P45)
    ・「国は何をしてくれると問うなかれ、国に何ができるかを己に問え」(故ケネディ米国大統領の就任演説より)(P51)
    ・「鳩山内閣は本当に国民を守ってくれるのか?大地震がきたら、ノドン、テポドンが飛んできたら、日本はどうなる?」との不安が募るばかりだ。(P54)
    ・「上司の慶事より部下の弔事」の心得は、上に立つものの危機管理の基本心得である。(P91)
    ・人はすべて「何になったか」ではなくて「何をしたか」の方がはるかに大切だ。(P146)
    ・(「コンプライアンス」について)真の意味はその第一義である「応諾」である。敏速適格に対応し、被害を最小限に食い止める着地点を探すことなのだ。(P160)
    ・「危機にめざめた日本が強くなること」、これこそ露中朝韓、そして米が本心で怖がっていることであることを、日本国民は認識しなくてはいけない。(P187)
    ・大国が起こるときかならず大きな国際紛争が起きる。(P226)
    ・「歴史認識の不足」と中国は日本を叱責するが、いまの「日中友好」はここ33年間の、むしろ異例の外交関係であり、過去二千年の日中関係は、異文明、異民族の不仲の関係であり、「同文同種」「アジアは一つ」というのは岡倉天心の願望であり、妄想であって、日中は価値観も言語も風俗習慣もまったく異なる。日中関係は長い歴史的視点から見れば、「敵対関係」か「無関係の関係」の連続である。(P228・抄)
    ・インテリジェンスに価値を認めない国では、カウンター・インテリジェンスは存在しない。(P258)

  • アウトソーシングの仕事に携わっているので、佐々氏の著書は参考になる所が多い。また、過去の事件・事故等の舞台裏が表現豊かに解説されている事も、とても読みやすい要因だと思う。

  • 19番乗り。有隣堂書店たまプラーザテラス店にて購入。未読。さっささんの本は、具体的も具体的だから、つい、買ってしまう。(2010/11/30)

    読了。この文庫も面白かった。連載、単行本、文庫と3回目の登場らしいが、色あせない。これくらい力強く生きたいものだ。まだ読み足りない。もっと佐々氏のものを読みたい。読もう。ほんと、興味深い内容で、仕事で疲れた身体と頭でも、電車の中でこれを読んでいると、眠くならない。(2011/2/3)

  • 小文のオムニバスに近いので、一冊の本としてのまとまりには欠けるし、石原との連帯感の描出にも臭みがある。
    組織論、危機管理論については唯一無二の佐々だが、石原とも共通する東京出身者の目線はいただけない。

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著者プロフィール

1930年東京生まれ。東京大学法学部卒業後、国家地方警察本部(現警察庁)に入庁。「東大安田講堂事件」「連合赤軍あさま山荘事件」等に警備幕僚長として危機管理に携わる。86年より初代内閣安全保障室長をつとめ、89年昭和天皇大喪の礼警備を最後に退官。2000年、第四八回菊池寛賞を受賞。2001年、勲二等旭日重光章受章。著書に『東大落城』(文藝春秋読者賞受賞)等がある

「2016年 『重要事件で振り返る戦後日本史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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