菊の御紋章と火炎ビン 「ひめゆりの塔」「伊勢神宮」で襲われた今上天皇 (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2011年10月7日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (352ページ) / ISBN・EAN: 9784167560188

感想・レビュー・書評

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  •  ワークライフバランスなる概念がまだ世に存在しなかった頃,公私のすべてを警備と国家安全保障に捧げた警察官僚による各種左翼事件の顛末。全編を通して,また同氏の他の著書を通して感じるのは,人事査定や処遇に対する思い,長官や警視総監に値する功績が組織から正当に評価されなかったことへの忸怩たる思いの強さである。
     保身と事なかれを至上命題とする人間はあらゆる偏差値層,階層にいる。むしろ大多数はそうした自己利害を最優先する人びとであり,官僚といえど免れないが,佐々氏は哀しきその事実を最後まで受容することができなかったのだろう。正当な人事を期待するならば外資か成果主義の民間企業が最善だっただろうが,天下国家だけを見ていた同氏にははじめから存在しない選択肢だった。
     もう一つは,「敵はいるが味方も多い(尖っていること)」より「味方はいないが敵もいない(凡庸・中庸であること)」の強さである。採用・人事全般に言えることだが,この局面では後者が圧倒的に有利となる。これは「無難」を旨とする組織(府省庁や大学など)における真理だと思う。佐々氏の押し・アクの強さは,私のような支持者を多く生むとともに反発者も生み出し,組織の傍流に押し出す。こうした人こそ,有事の際,前例踏襲を外れることができるのだが…。

  • ⚫︎内部告発ではないが、実質告発になっているという笑、まあ、著者はこうやって発表できる場所があるからいいよね。
    ⚫︎やっぱり大幹部はどうしても減点主義で生き残ったやつになるからどうしようもない。旧軍時代からの悪弊。
    ⚫︎沖縄県警も罪はないがしかしなあ…奈良県警もそうだけど、やっぱり経験がないなら指導を受け入れるべきだよね。人が死ぬからな…
    ⚫︎ここまで使い倒された役人も珍しいのではないか。

  • ★3.5くらい

    沖縄時間なんだなと遠まわしに言ってみる
    奈良時代くらいはさほど本州と違いがなかったとしても
    琉球なんだなという印象
    暖かい場所の人々ってなんか似ている
    いい意味でも悪い意味でも
    私の感想です
    佐々さんは悪く書いていませんでした

    警備の人数を半分に減らしたのは三木内閣
    また三木武夫
    短い政権なのにやらかす

    成田闘争の話がチラッと出てきた
    28歳独身N巡査部長が全身大火傷で
    耳、鼻、手指焼け溶け、手指10本手術で切り落とし
    相手からの婚約破棄の目に合うが
    「この巡査部長のことは部外秘。機動隊に伝わったら
    みんな辞めてしまう。マスコミへの発表など、とんでもない」と極秘扱い
    三井警備局長他課長

    このN巡査部長はその後どうなったんだろうか

    やっぱりサヨはクソ

  • ブント」なんて言葉も分からない世代の方が多いのだろうな。「アジビラ」とか
    「パイプ爆弾」とかもそうか。

    今じゃ見る影もないが、左の方たちが元気な…否、元気過ぎた時代があった。
    東大安田講堂、あさま山荘等で警察側の指揮を執ったのが著者である。

    そんな危機管理のプロフェッショナルが、今度は今上天皇が皇太子時代に
    遭遇したふたつの事件を柱に語っている。

    返還から3年目の沖縄で、伊勢神宮参拝で、「火炎ビンが飛びます」と言う
    著者の言葉を誰も信用しない。「そんなこたぁないだろう。大袈裟な」。

    でも、それが本当に飛んで来ちゃうのが凄いし、飛んで来ることを前提と
    した訓練を施しているのもさすがだ。

    数々の修羅場を潜り抜けて来た著者ではあるが、官僚組織の中では
    出世コースに乗ることなく警察を去っている。

    その恨み節が随所に見られるのはミスター「危機管理」もお年を召された
    ということか。まぁ、警察に限らず組織なんてものは「出る杭は打たれる」
    のだけれどね。

    著者の皇室への思いを読んでいると、この先の皇室の在り様を憂いて
    いるのが分かるし、ある部分への批判と読み取ることも出来る。「文庫版
    あとがき」では民主党政権への危惧も記されている。尚、菅直人について
    書かれている部分は笑いながらもかなり納得出来たぞ~。

    危機管理とはいかにあるべきかを考える為の良書である。

  • 警察庁等で危機管理を担当した佐々淳行氏の回顧録。
    なかでも、あさま山荘事件、金大中事件が終わり、沖縄が復帰を果たし、また、反皇室闘争が燃え上がった昭和50年に佐々氏が経験した、沖縄海洋博ひめゆりの塔事件、三重県警本部長として警備を担当した三重国体での伊勢神宮放火と皇室警護についての記述が詳しい。
    個人的な回顧録の性格も強く、時の上司や県警、現場との軋轢等一方的な視点からかかれていると思われる個所もあるが、当事者としての記録はなかなか興味深い。
    より客観性が必要と思えば、それ以外の資料で補えばよいと思う。
    実務的な視点から書かれた、危機管理の経験談は、様々な事態に対処しなければならないものにとっては、参考になると思う。

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著者プロフィール

1930年東京生まれ。東京大学法学部卒業後、国家地方警察本部(現警察庁)に入庁。「東大安田講堂事件」「連合赤軍あさま山荘事件」等に警備幕僚長として危機管理に携わる。86年より初代内閣安全保障室長をつとめ、89年昭和天皇大喪の礼警備を最後に退官。2000年、第四八回菊池寛賞を受賞。2001年、勲二等旭日重光章受章。著書に『東大落城』(文藝春秋読者賞受賞)等がある

「2016年 『重要事件で振り返る戦後日本史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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