イギリスは愉快だ (文春文庫 は 14-3)

著者 :
  • 文藝春秋
3.74
  • (36)
  • (35)
  • (70)
  • (0)
  • (1)
本棚登録 : 334
感想 : 33
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (251ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167570033

作品紹介・あらすじ

テレビでのスポーツ中継を前におもいを巡らし、紅茶の時間にふと考える。はたまた個人主義の伝統とは……リンボウ先生の筆致が冴える、好評『イギリスはおいしい』につづく第二弾!

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 前作の「イギリスはおいしい」は、不味いとされるイギリス料理にフォーカスを当てたもの。ある意味、際物であった。本書はある意味では王道である、イギリスの文化・風習について述べているので読んでいて楽しい。特にイギリスでも最古の建物でホームステイしたことを述べているところは、イギリスの良き階級(あえてそういう)を描いていて秀逸である。

  • 「甘いクリスマス、辛いクリスマス」「勇気とは何か」が何回読んでもいい。ボストン夫人にマナーハウス。グリーンノウ物語もいつか読みたい。フセインに対するイギリス少年の話、豚の個人主義。

  • 『イギリスはおいしい』(文春文庫)につづく、著者のイギリス滞在記第二弾です。

    前作がもっぱらイギリスの料理事情にかんするエッセイが中心だったのに対して、本書では著者のイギリスでの暮らしが語られています。彼が暮らしていたのは、「グリーン・ノウ物語」シリーズの著者であるルーシー・マリア・ボストン夫人の暮らす古館で、彼女のひととなりをはじめ、著者が出会ったイギリス人とイギリス文化の諸相がユーモラスに語られています。

    最後は、ボストン夫人との別れのエピソードが収められており、とりわけ強い象的がのこりました。

  • 古い本だがイギリスにいきたくなる。
    欧米と十把一絡げに言う日本においてこのように本来の国の姿が、庶民目線でかかれたものにであうとほっとする。グリーンノウの屋敷に間借りする話などうらやましさも満載。
    昔ながらのイギリスに出会いたいかたにはおすすめする。
    クリスマスの話なども興味深い。また著者の日本語の扱いがけっこうきにいった。
    なかなかこういう書き物らしい文体がないこの頃なので書物に出会った感がえられた。

  • イギリス愛に溢れています。"おいしい"よりも面白かった。

  • 「イギリスはおいしい」の後に少しずつ読んでやっと読了。前作は食事について、今作はイギリスの生活や文化について面白くかつリアルに描かれていて面白かった。

    ボストン夫人とのお話が特に好き。優しくてお茶目なところもあって、林さんのお話からも素敵な人だと伝わってきた。梨木果歩さんの「西の魔女が死んだ」が大好きなので、あのおばあちゃんのようだなぁと思った。自然と一緒に暮らしている様子も本当に似てる。ボストン夫人のように年を重ねていきたいなぁ。

  • 林望さんのエッセイが面白いのは、イギリス人のものの考え方、文化、気候風土から不思議な伝統や習慣など卑近なテーマを取り上げていて、林望さん流に観察・分析している点である。時には辛辣なイギリス批判のようであっても、イギリスを理解し深く愛していることが伝わってくる。そのうえ、独特のウィットに富んだユーモアが散りばめられているから、面白さは加速する。

    このエッセイ集は、ケンブリッジの北西、ヘミングフォード・グレイのマナーハウス(荘園領主の館で、1120年築!)に8か月近く滞在していた経験が中心に描かれている。滞在先が見つからず、たまたま残っていた物件が、ルーシー・マリア・ボストン夫人(『グリーンノウ物語』の著者)が住むこの家だった訳だ。この不思議な「導き」により、「イギリス中で一番幸せな日本人」となるのである。

    ボストン夫人の豪快で優しい人柄が、随所に描かれている一方、最終章では足を挫いたのが原因で、闊達な大股歩きは影を潜め toddling しかできないほど弱々しくなり、そして亡骸となる夫人。人生の悲哀すら感じるのである。

    この書を通して、イギリスの美しい自然や白人の上流階級の人たちの生活を、軽妙洒脱な筆致を通して体感できる。まことに「愉快」である。

  • w

  • 日本では飲みニケーション、っつーくらいですから酒で親睦を深める慣わしがあるんだと思いますが、イギリスは茶の方が酒より上位に来るんだとか。といっても茶の全体で見れば上位ではないようで、気楽に仲良い人と過ごしましょうや、的なもんなんでしょうか。イギリスの庶民生活を描くバンド、キンクスにも酒や茶と名前のつく曲がありますが、この辺りの潜在的な使い分けを知ると、また歌詞の理解が深まるのかもしれません。

  • この直前に読んだ著者のエッセイ集よりは面白かったが、何か物足りない。イギリスに住んでみたくなるような素敵なエッセイであるのにどうしてだろうかと、本書を読み終えた直後にふと思った。
    「パブとビールの話がない」
    もしかして第1作目のエッセイに既に書かれていたりするのだろうか?いずれにせよ要は当方が美味くて安い食べ物・飲み物の話も(だけじゃないですよ)読みたかっただけですかな。
    ちなみにパブの食事はいけます、イギリスの食事は不味いという意見は誤りであるというのが個人的見解です。

全33件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1949年東京生。作家・国文学者。

慶應義塾大学文学部卒、同大学院博士課程満期退学(国文学専攻)。東横学園短大助教授、ケンブリッジ大学客員教授、東京藝術大学助教授等を歴任。『イギリスはおいしい』(平凡社・文春文庫)で91年日本エッセイスト・クラブ賞。『ケンブリッジ大学所蔵和漢古書総合目録』(Pコーニツキと共著、ケンブリッジ大学出版)で、国際交流奨励賞。学術論文、エッセイ、小説の他、歌曲の詩作、能作・能評論等著書多数。『謹訳源氏物語』全十巻(祥伝社)で2013年毎日出版文化賞特別賞受賞。2019年『(改訂新修)謹訳源氏物語』(祥伝社文庫)全十巻。ほかに、『往生の物語』(集英社新書)『恋の歌、恋の物語』(岩波ジュニア新書)等古典の評解書を多く執筆。『旬菜膳語』(岩波書店・文春文庫)『リンボウ先生のうふふ枕草子』(祥伝社)、『謹訳平家物語』全四巻(祥伝社)『謹訳世阿弥能楽集』(檜書店)『謹訳徒然草』(祥伝社)等著書多数。

「2021年 『古典の効能』 で使われていた紹介文から引用しています。」

林望の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
三島由紀夫
遠藤 周作
谷崎潤一郎
フランツ・カフカ
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×