ナポレオンの皇妃からパルマ公国女王へ マリー・ルイーゼ 上 (文春文庫 つ 9-5)

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (414ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167574055

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  • ナポレオン、ライヒシュタット公、メッテルニヒ、ヴェルディまで、マリー・ルイーゼより周囲の人々に焦点が当たっている。彼女については、父や夫に従う従順な女性であり、女性(もしくは一代限り)であったからこそパルマを平和に統治した良き領主だった、ということだけが印象として残り、特に魅力的には映らなかった。■全体としては、著者が語りたいことを前面に押し出したい(またはそこに早く話を持っていきたい)がために説明を端折ったようなところが散見される。息子の「ローマ王」って名前は何?本名?あだ名?勝手に王に即位?妄想?とか、モスクワからの敗走時に「ナポレオンはここで書類を処分した」って何で?どうして?というような背景が全くわからない記述に面食らう。■また、ちょいちょい出てくる著者自身の経験談がとてもウザい。どこかの土地について「現在は~なっている」ではなく、「私は~に行った時、そこの~に感動した」とか、ひどいものは「戦時中の新聞にその地名がよく出てきたことを覚えている」とか、興味ないからっ!■物語風で登場人物の心境も描かれているが、史料に残っているエピソードなのか著者の創造なのかが読み取れない。著者が望む人物像になっている気がして、客観性には全く欠ける。ツヴァイクには程遠い。

  •  ヨーロッパ大陸がナポレオンという一代の英雄にして戦争屋により蹂躙され、かつてヨーロッパを支配していた王朝が右往左往していた頃、フランス・ブルボン王朝の王妃として断頭台の露と消えたマリー・アントワネットを大叔母に持つ皇女が、ハプスブルク家にいた。それがマリー・ルイーゼだ。
     ナポレオン戦争によりウィーンを追われ、戦乱の中で困窮した少女時代を過ごした彼女は、17歳の時に、憎き皇帝ナポレオンの皇妃となることを、父であるオーストリア皇帝フランツと、その外相メッテルニヒによって要請される。

     水回りに出没する黒い昆虫の様に、ナポレオンのことを嫌っていたマリー・ルイーゼだったが、フランスへの嫁入りの道中、ナポレオンによる彼女の寝所への奇襲攻撃を受け、パリで暮らすようになってからは、一転して、ナポレオンを熱愛し、彼がいなくては寂しくては暮らせないような状況になってしまう。
     一方でナポレオンも、先妻のジョセフィーヌとは違い、高貴な生まれながら家庭的で、飛びぬけた美人ではないながらもやさしいマリー・ルイーゼを愛し、初めて家庭の安らぎを得るのだった。

     しかし、本来の気質である戦争屋としての生き方は変えるべくもなく、彼女をパリにおいての戦争三昧の日々が続く。そして決定的な失敗であるロシア遠征、ライプツィヒの敗北によって、二人の間は引き裂かれるのであった。

     そんなマリー・ルイーゼを主役にした本なのだが、特に前半は、ナポレオンとメッテルニヒが主役といった方が良いような歴史物語となっている。ナポレオンは軍事的に、メッテルニヒは外交的に対抗し合い、それがナポレオン側に傾けばマリー・ルイーゼが嫁に行き、メッテルニヒ側に傾けば二人が引き離されるという感じだ。
     しかし、引き離された後のマリー・ルイーゼが悲嘆にくれてばかりかというと、そういうわけでもない。まだ当時22歳の若き女性なのだ。それに、深窓の令嬢として育てられたわけだから、急激な政治情勢に容易に順応できるわけでもない。
     寂しさを紛らわすように、オーストリアから監視役として派遣されたナイペルク将軍の愛人になってみたり、ナポレオンからエルバ島に来ないかと誘われても色々と理由をつけて結局は行かなかったり、状況に流されるように生きている。

     上巻はナポレオンがワーテルローで敗北し、セント・ヘレナ島に流されるところで終わる。一代限りの女王としてパルマ公国に赴くマリー・ルイーゼと、その息子の元ローマ王の運命がどうなるか。それは下巻で描かれるだろう。

  • (*-゛-) う゛~ん ナポレオンのお嫁さま しかもハプスブルク家のかた
    どんなドラマチックな人生が・・と思って 期待して読んでいたけれど
    史実に基づいて書かれたからか だいぶ皇妃さま像が凡庸。
    下巻に期待したものの それほど 魅かれることなく サラッと
    読み終えてしまった。 ワタシ的には あまりココロに響かず。
    ・・っていうか 主役はマリー・ルイーゼではなく どぅ考えても
    この場合 メッテルニヒだよね・・?。。

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