妻恋坂 (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2007年11月9日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (288ページ) / ISBN・EAN: 9784167576059

みんなの感想まとめ

人々の悲喜こもごもを描いた時代短編集で、全八話から成り立っています。主人公たちは、主に女性であり、各々が自身の境遇に対するモヤモヤを抱えています。焦燥感を伴う心理描写が繊細に表現され、特に第三話「商売...

感想・レビュー・書評

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  • 市井の人々の悲喜こもごもが描かれた時代短編集。全八話が収録されています。
    主人公は、ほぼ女性(第六話「返討」のみ男性が主人公)で、共通しているのは皆己の境遇にモヤモヤしている人たち、というところです。
    人生において“一体、何が悪くてこんな状況になってしまったのだろう・・”という焦燥感的な心理が繊細に綴られています。
    個人的に好きだったのは、第三話「商売大繁昌」ですかね。話の序盤でいきなりの修羅場展開に、どうなることやらと思っていたのですが、意外にラストは後味が良く、ドライな出会茶屋の女将・おこうの粋な台詞がパシッと決まってました。

  • 北原亞以子、3冊目。
    短編集なのでいつものように作品毎に勝手にランク付してみる。寸評は評価A以上の作品のみ。
    【S=傑作、A=秀作、B=並、C=駄作 】

    ♦「妻恋坂」B+
    ♦「仇討心中」B+ 
    ♦「商売大繁盛」A- だまし騙され、商いに絡む男女関係を見事な筆さばきで描く
    ♦「道連れ」A 私娼同士の哀しい境遇を通じて一人で生きる女の寂しさが浮かび上がる秀作
    ♦「金魚」A- 己の境遇を飼っている金魚に投影する囲われ女の悲哀を描く
    ♦「返討」B
    ♦「忍ぶ恋」B
    ♦「薄明り」A- 誰も間違ったことをしていないはずなのに…、結末は哀しい

    低評価(並)作品は、おおむねやるせない内容が多かった。哀しみや試練の物語は、せめて転んでも前のめりに倒れる様な微かな希望が欲しい。

  • 悪くないけど、北原亞以子って期待して読んだから少し物足りない印象を受けた。
    それぞれの短編が悪いわけでないが、ガツーンと響く感じがなかった。傑作だ!とはならなかった。
    もう少し長い話が自分の好みなのかなと思った。

  • 江戸市井の喧騒の中を懸命に生きる七人の女たちの営みなどを艶やかな筆で人情の機微を描く八編の短編集。《妻恋坂》霞ヶ関の坂道で売り物の番附が風に飛ばされ拾った縁で、周二と知り合ったお町。男振りのいい周二から過去の話を打ち明けられたお町はいつしか恋心を抱いた。だが周二の話にはたった一つ、大きな嘘があった……亞以子さんの一番の特徴、お町の心情を見事に書き上げてる。《仇討ち心中》夫の西国某藩茶道役玉木宗庵に女敵討ち(不義密通)で、追われる登茂と中奥小性の文次郎。文次郎は、宗庵を返り討ちにすると言うが…。

    表題作《妻恋坂》ほか、8編、妻恋坂・仇討心中・商売大繁昌・道連れ・金魚・返討・忍ぶ恋・薄明り。発売:2007/11文春文庫 購入本。

  •  江戸時代において、離縁も不倫も裏切りも「あんたバカだね」と一言で切り捨てられる事柄である。いや、当人にとっては大変なことなんだけれども、よくある(よく聞く)話だったのではなかろうか。
     実際の所よくあるかどうかは知らないけれど、少なくとも現代の社会のように「普通の人生」というモデルを生きることは難しかった筈だと思う。(死にやすいしね)

     けれども、誰もが「普通の人生」というモデルを知っていて、それに沿って生きることは難しい現代から見ると、どんなにひどいことになっても、あたりまえのように「バカだね」と言われれば、それは大したことではなくなるのかもしれない。それに救われるところがあるのかもしれないな、と思う。
     ささいなこと、大きなことで傷ついているとしても、実は傷つく必要すらないことなのかもしれない。「傷ついた! 大変だ!」と騒がれるから痛さを感じているのかもしれないね。
     実際の江戸時代なめんなよ、って話だと思うけれどね。そう思いました。

  • 再読了。

  • L

    いろんな男と女の話。やるせない話もいっぱい。地獄や妾は今はないかもしれないけれど通ずるものがあるんだよなぁ。

  • 普通に面白い。江戸の女の様々な恋が描かれている。北原らしくハッピーエンドで終わらない

  • 江戸を舞台に描かれた、8つの恋愛短編集。
    歴史ものの感あり、舞台背景としてはなじみにくいものの、いつの時代も男と女は変わらない。
    いまより、もっと生活に密着している分、本来のシンプルな男女関係が描かれている8つの短編集だった。

    色々と考えさせられた。

    現代は選択肢が多すぎる。でも、選択肢の少ない江戸時代でも、女は男を追い、男は女を追う。
    生物としての自然な本能なんだ。

  • 久しぶりに北原亞以子先生を読みきった。
    収録されている話のうち、「本当にそれでいいの?」と言う
    ほんのささやかな不条理が多い短編集。
    そういう引っ掛かりが少し残るのは、慶次郎シリーズに少し通じるかも。
    現在よく読んでいる宇江佐先生や高田先生と比べてしまうと、堅いというか大人しめというか。
    『商売大繁盛』だけは、ピカレスク?みたいで胸の空くところもあり、思わずクスリと笑えるところもありで、私は好きです。

  • どうしちゃったんだろうなぁ<北原さん慶次郎縁側日記を書き始める前の頃の良さがすっかり薄れてしまった感じがします。慶次郎縁側日記を書き始める前は「どっこい生きてるお江戸のキャリアウーマン」て感じで、健気に、凛として、頑張りすぎて哀しい話が絶妙だったんだけれど、本作での登場人物達は頑張りが大分「人並み」になったみたい。北原さんもお歳を召したかなぁ。でも8作中後半の4作は良作。特に「薄明かり」が良い

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著者プロフィール

作家

「2017年 『化土記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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