東京駅物語 (文春文庫)

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  • 文藝春秋
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感想 : 19
  • Amazon.co.jp ・本 (383ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167576073

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  • 明治の時代に、新橋から横浜までの鉄道が初めて開通した後
    新たな路線の開通に伴い建設されることになった東京駅。
    その時代の東京駅を行き来きした人々の物語です。

    その時何が起こったのか....
    その頃(過去)に起きたいくつもの惨事は、すでに知っているだけに
    結末を読まずともどういうことが起きたのかわかってしまうと
    こればかりは、塗り替えることも作り替えることもできないせつなさに
    衝撃が走ります。それは人々の人生を狂わせてしまったと同時に
    東京駅の歴史をも狂わせてしまったのですね。

    九つの短編で語られる人生物語は、連作していてどこかで誰かと繋がっています。
    こういったお話はよくありますが、この構成を「グランドホテル形式」というとは
    初めて知りました。

    ステーションホテルの部屋から改札口が見える部屋。
    泊まってみたいですね~。でもきっと高そう。

    ステーションギャラリーの方は観覧すると、一つ高い位置から
    改札の往来を見降ろすことができます。そして、開通当時の
    レンガにも触れます。

  • 東京駅は八重洲口から見ると平凡な駅であるが、丸の内口から見るとレンガ造りのドームが偉容を誇っている。

    恩田陸さんの「ドミノ」は主に東京駅の内部が舞台の面白い話だった。
    この北原亜以子の「東京駅物語」はそのレンガ造りの建物が主役だ。

    主にその待合室にての人生模様がせつなく描かれている。東京駅が中央停車場としてまさに誕生しょうとした明治30年代から、昭和の敗戦一年後までを9話の章立てで物語が進む。

    第一話が時代物のようで、平凡だなーと思いつつ読み進んでいくと、どうしてどうして二話、三話と複雑に絡み合った人々の運命が時代とともに流れていく「グランドホテル形式」というらしい。ああ、こういうミステリーもあったのだと思う。

    第七話の主人公鳥尾須磨子が登場すると、その哀切にじーんとする。

    新しくなった丸ビル、「オアゾ」などが出来てますます変化していく丸の内側、駅舎も改修するとか…。よく利用する私が、図書館で題名に引かれて手に取った本だが、東京駅の歴史を垣間見せてもらった。

    初北原亜以子さんでもあった。

  • 東京駅の歴史を、明治大正昭和と、短編集で繋ぐ。
    「東京駅が見ていた人々」?
    建築にまつわる話、待合室、ステーションホテル…戦争、空襲…
    登場する人々の、ささやかなつながり、すれ違いなど。
    イケメン結婚詐欺師のなれの果てがコミカルでした。
    もっとこう、気取った本なのかと思ったら、私の好きな感じの、明治大正昭和でした。

    新しくなった東京駅、まだ行っていないなあ…
    今度ゆっくり行きたいと思います。

  • 少しずつ繋がっていて興味深く。

  • 短編ですが、繋がっている部分もあったり、一冊で年月の流れを感じられました。

    面白かったけど、どれも切ない終わり方でした。
    中でも『終着駅』が一番切なかった。

    どの登場人物もみんな幸せになって欲しいと思いました。

  • 東京駅を起点に、いろんな人の人生が交差して明治~昭和まで進んでいくお話です。

    終着駅が一番好きでした。
    一つ一つのお話は、ちょっと好みではないものもありましたが、他の話しで登場人物同士が絡んだりするので読み終えることが出来ました。
    ちょっと難しいところもあって、最後の時のかけらはよく分からずだったので、時間が経ったら再読してみたい一冊です。

  • 20160926読了
    #鉄道

  • 今の東京駅の話ではなく、東京駅創建の頃から、第二次世界大戦後の辺りまでのお話。創建に関わった人物に絡む人々、出来事が物語を織り成していく。

    不思議な感じの物語です。駅が旅や人生の起点・終点の象徴なんですね。

  • いいお話のように思いましたが、いまひとつ入り込めませんでした。いろいろな生き方があるんだな、と感じる一冊です。もう一度いつか読んでみたいと思います。

  • 2012年に改装され、1914年の竣工時そのままの姿で「東京の表玄関」の役割を担っている東京駅駅舎。新幹線利用時やショッピングなどで、東京駅を訪れることがあったが、中の電車のプラットフォームばかりでなく、ちょっと丸の内側へ出て、駅舎の外観を見たくなる。

    赤レンガの大きな駅舎。
    ほとんど竣工時そのままの姿と材質を使って、原型に忠実に再現されているという。見る人に旅の始まりと終わりと、すれ違う人々の人生ドラマを感じさせると思っていた。そんな東京駅を舞台にした人生ドラマの本が本当にあったので、驚いた。

    「東京駅物語」。
    まずは題名に魅かれて読んだのだが、時代小説の温かい人情小説を感じさせる文章でとても読みやすかった。

    1902年(明治35年)横浜から上京した25歳のパン職人立花新平と、有名女学校に入学したくて家を飛び出した萩本妙子が、東京駅で出会うところから物語は始まった。汽車にあこがれる妙子は当時「中央停車場」(東京駅原型)の建設現場で働きたいと想い、成り行き上、新平が工事現場で働くことになる。二人で落ち着いた生活をしていた頃、新平に召集令状が来て、新平は東京駅から戦場へ旅だった。残された妙子と工事にかかわった人たちが、東京駅の駅待合室で顔を合わせ、お互いにお互いの事情を知らぬまま、物語は新平・妙子・中央停車場の3つ要素でつながっていき、やがて終戦を迎える。

    それと並行して、駅の工事は、1908年(明治41年)から本格化し、1914年(大正3年)12月20日に開業。中央停車場は皇居(宮城)の正面の原野に設定され、「東京駅」と名付けられたという。その駅は、1945年(昭和20年)の東京大空襲により、一部が焼失した。その後、市民の熱い想いがあり、2003年には国の重要文化財になり、「赤レンガ駅舎の復原」になったという。

    東京駅の歴史もなぞりながら、そこで知り合い人生を交錯させた人たちの人生ドラマが面白く読みとれた。駅で起こる一瞬の出会いと別れ。駅のみが知る大切なドラマがいっぱいあるんだなと思った。

    ※余談※
    「丸の内再開発事情」もあり、赤レンガ駅舎が復原されたあとは、オフィス街の丸の内が見間違うばかりのショッピング・観光街になっている。

    駅舎オープン記念のときイベントの中にあった、映像作品「記憶~丸の内から未来へ~」を観た。
    幕末から現代にかけての丸の内の様子を8ミリビデオで撮影されたものを編集した映像作品だった。映像の中にはこの作品の人たちがいたのだなあと、今感慨深く思い出した。

    (東京駅ばかりが人生の出会いと別れの場、とは思っていない (^_^;)。念のため捕捉。)

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著者プロフィール

作家

「2017年 『化土記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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