桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 296
レビュー : 31
  • Amazon.co.jp ・本 (414ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167580032

作品紹介・あらすじ

人気ユーモア・ミステリー、待望の文庫化!大学の怪事件に挑むヘタレ教員・クワコーと奇人ぞろいの文芸部員。教員の自虐と女子学生の暴言が衝突するとき謎は解かれる。全3編。

感想・レビュー・書評

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  • 奥泉光氏は芥川賞作家である、作家としてのスタートはミステリではなかったようだが、作風として「作品はミステリーの構造を持つものが多く、物語の中で次第に謎の位相をずらしていき、虚実のあわいに読者を落とし込む、といった手法を得意としている。」wikiより と、ある。

    今作との出会いはブクログ上での情報だったが、今年のベスト3には入るであろう大傑作だった。

    短編3作からなる連作であり、ミステリ的謎解きに特別な仕掛けがあったり、アクロバティックな叙述トリックが仕掛けられていたり、そんなことはない。ただただ主人公桑潟幸一准教授(通称クワコー)と彼を取り巻く文芸部の面々のキャラ造詣と、彼らの織り成す舞台劇ともいえるドタバタスラップスティックに、笑いころげるだけなのだ。

    いわゆるユーモアミステリの範疇に入るのであろう、探偵役はホームレス女子大生神野 仁美(通称ジンジン)が勤める。主人公クワコーは様々な事件に巻き込まれる被害者であり、ジンジンを始とする文芸部の面々に助けられ、その対価として部費をせがまれるのがパターンである。

    なんといってもクワコーが愛しすぎる!努力が嫌いなのに人並みに見栄はあり、プライドもそれなりに高いくせに、長いモノには巻かれるチキンだし、ありついた准教授のサラリーが想定外に低くても低いところで落ち着いてしまう、そんな適応力だけはある。そんなクワコーが大好きになる。これが芥川賞作家のキャラ造詣なのだ!ほとほと感心するばかりであった。そして現代の若者たちの会話をこれほどまでに熱心に研究されていることがスゴイ!もう笑って笑って…

    長編を含むシリーズになっているようだ、これはシリーズ全制覇しなくては!そう思える傑作だたった。

  • 沈没寸前の短大から何とか抜けだし、千葉の底辺大学の准教授として赴任したクワコーこと桑潟幸一。
    相変わらず風采も上がらずやる気もないクワコーだったが、教授職とは思えない超低収入に節約生活を余儀なくされ、顧問となった文芸部の生徒達に研究室を占拠されたり、教授達の派閥抗争に巻き込まれ使いっぱしりをしたりする毎日。
    そんなクワコーを、怪事件が毎月のように襲う―。

    ああ…クワコー面白すぎる!
    学園を舞台にしたライトミステリなのですが、クワコーの小説を楽しむにあたって、わたしにとってミステリ部分はメインではありません。

    クワコーシリーズの最大の魅力とは、彼の煩悩のかたまりのような俗人っぷりなのです!(たぶん)

    何しろ彼ってば、卑屈なくせに努力も大嫌いだし、無駄にプライドも高いのに意志薄弱で長いものにすぐ巻かれるし、思うようにいかないことは全て他人や環境のせいにするような、ネガティブで打たれ弱いどうしようもない人間。
    ほんと、すごく共感できる(笑)し、読み進めていくうちにクワコーがだんだんいとおしくなってきちゃうのです。

    人間の醜い部分をぐりぐりとほじりながらも自虐がくどくなりすぎないよう調節される、綿密かつ闊達にすべっていく筆とあいまって、彼の冴え渡る自虐の詩をあますところなく楽しめる、奇跡のようなシリーズなのです。

    そしてまた、ゆとり世代のオタク文芸部員たちの人物造形も秀逸でした。
    彼女たちの言動もすごく自然で、まるで目の前にいるみたい。
    クワコーと彼女たちの噛み合わない会話もシュールすぎて、おかしい。

    タイトルからして、スタイリッシュって・・・。脱力するわ!

  • 「電車の中では読まないほうがいい」

    このアドバイスに従ってよかった。本書を読みながら何回吹き出したかわからない。
    読みどころとしては謎解きではなく、著者の語り口である。学生の話し方をよく観察されているのだろう。「なんかこういう喋り方のヤツいるよな」と思わせるほど、学生とは何十歳も離れているのに、うまいのだ。また、古典的な語り口がしばしば見られると思うのだが、エンタメとの組み合わせが妙に笑える。

  • 初めて奥泉さんを読みました。

  • 第9回毎週ビブリオバトル

  • 3流私大准教授のドタバタ自虐コメディ風ミステリ
    「なんか、この話し知ってるぞ!」と途中で気付いた
    前にドラマ化してたんだよね
    主演が佐藤隆太で倉科カナと桜庭ななみが出てたやつ

    教師陣はまともな人間がいない(笑)
    学生も学生でFランの大学生のイメージそのまんま

    太文字になっているところがあって(ありすぎる感もある)
    どこが面白いところかはわかりやすいけど、全てが面白いわけではない

    ま、ライトな読者にはよいのではないでしょうか

  • 最初は、桑幸の影がうすいと思ったけど最後まできたら開き直って泣いたり、生徒に助けを求めたりが可愛く見えてきた。内容は結構、本格。

  • 本格的なミステリではあるのだけれど,あの無意味な太字の連続に辟易.読み難いったらありゃしない.若い人向けなのだろうな.
    以下あらすじ(背表紙より)
    地位も才能もないが、やる気もなく志も低い准教授・桑潟幸一、通称クワコーを、毎月毎月、襲う怪事件。何とかしないとヤバイじゃんクワコー、と首をつっこむ文芸部の変人女子たちにいじられながら、首吊り幽霊の謎ほか、春のキャンパスを騒がす3つの事件にクワコーが挑む。芥川賞作家が贈る脱力+自虐のユーモア・ミステリ。

  • 文が面白い。ストーリーやトリックなどは月並み。

  • 【人気ユーモア・ミステリー、待望の文庫化!】大学の怪事件に挑むヘタレ教員・クワコーと奇人ぞろいの文芸部員。教員の自虐と女子学生の暴言が衝突するとき謎は解かれる。全3編。

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著者プロフィール

奥泉光(おくいずみ ひかる)
1956年山形県生まれ。1986年に『地の鳥 天の魚群』でデビュー。1993年『ノヴァーリスの引用』で野間文芸新人賞、1994年『石の来歴』で芥川賞、2009年『神器』で野間文芸賞、2018年『雪の階』で毎日出版文化賞文学・芸術部門をそれぞれ受賞。

「2018年 『夏目漱石 増補新版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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