怖い絵 (文春文庫 く-17-1)

  • 文藝春秋 (1997年1月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784167581015

みんなの感想まとめ

怖い絵をテーマにした短編集は、幻想的な雰囲気と共に、昭和20年代の私小説風の語り口で展開されます。読者は、作者の学生時代と自身の経験を重ね合わせ、不思議な共感を覚えることでしょう。特に「陰獣に追われ追...

感想・レビュー・書評

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  • 怖い絵をテーマにして展開する短編集。昭和20年代を舞台にした私小説風の書き方なんだけれど、読んでいるうちに幻想小説に思えてくるこの妖しさは何なのだろう?「陰獣に追われ追われて」と「誰かサロメを想わざる」がとりわけ気に入る。作者が背景にしている学生時代とぼく自身のそれでは30年ほどの開きがあるわけだけれど、それにもかかわらず不可思議な共感がある。あるいは10代の終わりから20代の初めにかけての一種の暗い熱に浮かされたような記憶は男性共通のものなのか。挿入されている絵ではカバーにもある高島野十郎の「蝋燭」というのが興味深い。「蝋燭劇場」のなかで紹介されている小酒井不木の「死体蝋燭」が妙に生々しいせいでもあるし、その画家が生涯にわたって蝋燭の絵ばかりを執拗に描き続けたというこだわりのせいでもある。一枚の絵画に込められた情念というものは、小説のように頁を費やして語られるものではないだけに、場合によっては深すぎるほど深く見る者の心に刻み込まれるものなのではないだろうか?(

  • 限りなく私小説っぽいエッセイ。
    かつての幻視した少年時代を思い起こし、男は今何を見るか…。
    久世光彦の領域展開全開って感じだ…。

  • 怖い絵の通り、暗い話が多い。
    青春時代の少し大人びた、エロスを感じる絵との出合い。
    そんな中で、何とも形容しがたい青春の経験と想い出から、怖い絵の真相に迫る。
    作者独自の絵に対するアプローチが、非常に独特のものであると感じる反面、何となく理解出来る部分もあった。
    ただ、個人的にはテーマが青春の陰に焦点が当たり過ぎているようにも感じた。

  • モネの睡蓮を見ながら育った子とモローのサロメを見て大きくなった子とでは、その後の人生に計り知れない隔たりがある…。乱歩の「陰獣」の挿絵を描いた竹中英太郎、クノップフの「愛撫」、ベックリンの「死の島」等の“怖い絵”を横糸に紡ぎ出される世にも不思議な久世光彦版「ヰタ・セクスアリス」。(裏表紙)

  • 2010/08/24

  • 戦後という時代は知らないのに、その湿った匂いが鼻先に漂うような気がした
    ひとり延々と独白をする語りと、絵から思い出す幼少期や思春期の怖さ=生とか性が印象的
    同タイトルの絵画ガイドと同じ絵も、こちらに挙げられていた
    怖さを想起する絵には、どんな共通した雰囲気があるのか

  • 初めは普通にホラー作品かと思った。
    本の購入は、本屋で見かけるものとネットで題名だけでさっさと購入する。
    この作品も、ネットで題名だけ見て(カバーも作家名も見てない)購入したのだ。

    読み始めて、
    ん?っと、思ったのだ。

    この本はホラーではなく、
    本当に題名通りの内容だった。

    絵画に絡んだ思出でのようなエッセイ集のような感じだ。
    著者の思いでを書いているようにも読めるが、
    そうなると、この方の思春期はとにかく”性”と波乱になってしまい
    いくらなんでも・・・と、感じる。
    なので、
    少しの事実がエッセンスだと思えばよいかもしれない。

    9つの短編からなっていて
    特に、わたしが気になったのが
    「姉は血を吐く、妹は火吐く」
    このお話を簡単に説明すると
    浪人生の主人公が、知り合いの姉妹どちらかと”やりたくて”
    手紙を送ったら、妹の方が会いに来て・・・であるが、
    読み進めていくうちに、姉妹の驚きの結末が・・・であるが、
    このないようというよりも、
    この物語にでてくる絵画が
    「二人道成寺」というもので、
    わたしは、絵画は恐怖の対象ではなく、
    どんな図柄でも憧憬の対象でしかない。
    ただ、
    一つだけ、トラウマとしてもっているのが
    以前、蛟堂報復録で描いたが
    安珍清姫の清姫が蛇となり火を噴きながら安珍を追いかける絵巻である。
    そこで、この作品がなんとなく心に残った。

    あとは、
    「陰獣に追われ追われて」
    話の内容的には、それほど印象にのこらないのであるが、
    この題名は
    江戸川乱歩の「陰獣」という作品からきている
    わたしは、江戸川乱歩が好きで
    江戸川乱歩の全集を持っていて、
    出版当時の挿絵を使用している
    なので、この本でかかれている竹中英太郎氏の挿絵だ。
    江戸川乱歩のエログロな世界観を引き立てる挿絵だった。

    「豹の眼に射抜かれて」
    こちらも、昭和初期の小説の挿絵画家さんの絵に絡んだ話。
    この中で紹介されている伊藤彦造さんという挿絵画家さんの絵が非常に好きだ。
    そもそも、昭和初期の挿絵自体が非常に好きだったりする。

    基本的に、絵を怖いと思ったことはないが、
    この本を読むと、改めて絵画鑑賞したいな~と思った。
    紹介したのは日本の絵ですが、
    この本には、洋画もたくさん紹介されてます。

  • 耽美的
    久世ワールド
    怖い絵=美しい女 

  • 昔ハードカバーで「怖い絵」という本を立ち読みした覚えがある。
    その本の文庫版かと思ったのだけど違うらしい。
    大学時代に読んだような、退廃的というか、若い男女が出てきても希望などなく破滅に向かってるようなお話ばかり。

    硫酸浴びるとか怖いよ!

    挿入される絵がまた不気味。
    見たことある絵もあったけど。
    ビアズリーのサロメは高校時代に画集みた。
    曲線が綺麗だけど表情が怖いんよなぁ。。。

  • 久世光彦の青春(女性遍歴)と結びつく絵の数々。
    甲斐庄楠音の大正でろり!
    ビアズリーのサロメ(この章の女の人とのくだりがすごく怖かった。長くなった指はどうなったのか、それでも付き合う2人……怖い)
    高岡華宵ほか彦造の妖しく美しい少年絵(マゾヒズム的な)。
    謎の男に追いかけられる章も怖い。
    久世光彦は女の人と同等に、それ以上に男の人が好きなのだろう……。

  • 肖像画。
    よく考えると、ルーブルなり、美術館にあるのは、
    今はもう死人の顔。画家も死んでいる。
    色んな思いが込められてそうで怖い。

  • 怖い絵の話。。表紙が内容のイメージにぴったりあってる。

  • 同名の本を探していた時に見つけた一冊。絵の怖さというより、それにまつわる物語の怖さを感じることができます。
    掌の水かきを切られた指って。。。痛いです。

  • 名画にからめた、おどろおどろしい異形な、あるいはエロチックな心象風景が展開されている。

  • 面白かったです。
    著者は異性愛者だけど、この本を読むと
    同性に憧れをいだいていることが解って興味深かったですね〜。

  • 高島野十郎の絵が表紙だ!というだけで衝動買いしたのですが、内容にもキチンと出ていました。その「蝋燭劇場」の内容については個人的にちょっと考え方が違うのですが…
    他に絵にからんだほのぐらい情念を感じる話が8つほどはいってます。

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著者プロフィール

久世光彦

一九三五(昭和十)年、東京生まれ。東京大学文学部美術史学科卒。TBSを経て、テレビ番組制作会社を設立、ドラマの演出を手がける。九三年『蝶とヒットラー』でドゥマゴ文学賞、九四年『一九三四年冬――乱歩』で山本周五郎賞、九七年『聖なる春』で芸術選奨文部大臣賞、二〇〇〇年『蕭々館日録』で泉鏡花賞を受賞。一九九八年紫綬褒章受章。他の著書に『早く昔になればいい』『卑弥呼』『謎の母』『曠吉の恋――昭和人情馬鹿物語』など多数。二〇〇六年(平成十八)三月、死去。

「2022年 『蕭々館日録 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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