永遠も半ばを過ぎて (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 986
レビュー : 98
  • Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167585013

作品紹介・あらすじ

「えっ。ユーレイが小説を書いたの!?」巨大タニシの母貝1個1億円の商談をしくじった三流詐欺師の俺にも、運がめぐってきたようだ。謎の原稿を出版社に持ち込んだところ、文壇の大事件に発展し…。うふふ。ここは腕の見せどころ。輪舞するコメディ。あふれ出る言霊。待ってましたの痛快らもワールド。

感想・レビュー・書評

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  • C'est la vie.

    ロマンティックって、
    こういうことを言うんだろうな。

    ちょっぴり涙したの、ら。

  • 永遠の半ば、この二律背反する時間概念が同居したタイトルを美しいと思う。プレゼン前、多少肩の力が抜けると思って時々開いて見るものの、そういう考えがある時はむしろ気負い込み過ぎている。

  • バリに行きたい。

  • 少し古いが、出版業界の話が詳しく書かれており、興味深かった。
    詐欺師ってのはやっぱりわくわくする題材だな。
    しかし、裏表紙に書いてあるような「抱腹絶倒」というものではない。
    そういうおもしろさではなかったように思う。

  • 男女三人。
    ある薬を飲むと無意識に文章を綴ってしまう、写植が本職の波多野。
    波多野の同級生でサギに生きがいを感じる相川。
    なんとなくもやもやしたものを抱えながら大手出版社に勤める美咲。

    この3人が大手出版社を騙すのだけど、そのヤマ場とも言うところがあっさり書かれていて「なんです~?」という感じ。持ち込んだ文章も、文章自体は素晴らしく、「ユーレイが書いた」というポイントだけが嘘。
    文壇の大事件にもならない。

    う~む、これは帯の書き方が悪いのか?
    美咲は最初に波多野・相川が持ち込んだ原稿を受付け、嘘を見破り逆に二人に仲間入りするのだけど、人を騙す緊張感がたまらないという相川が、あっさり美咲に嘘を見破られたりするのは「つめが甘いんじゃないの~?」という感じ。

    結局、波多野と美咲はそれまでの無感動な毎日から、少しだけ周りの景色が鮮やかになる。
    相川は懲りずに新たな詐欺を思いつく。

    人生の先が見え出した人物達のちょっとした冒険・・・そうとらえた方がいいのだろうな~
    タイトルも「人生も半ばを過ぎて」と置き換えてもいいかも。

    やっぱり帯が悪いかな?
    文壇の大事件なんて書いてあるから、そこを期待して読んだのに、実は主題がちょっと違ってた。
    それぞれのキャラは立っていて楽しいので、まっさらな気持ちで読めば単純に楽しめたかもしれない。
    残念です。

  • ―――「えっ。ユーレイが小説を書いたの!?」
    巨大タニシの母貝1個1億円の商談をしくじった三流詐欺師の俺にも、運がめぐってきたようだ。
    謎の原稿を出版社に持ち込んだところ、文壇の大事件に発展し…。
    待ってましたの痛快らもワールド。


    タイトルを見て衝動買い

    初めて読んだ中島らもやけど
    舞城王太郎的な迸る文章が現れたと思ったら
    突然ドキッとするような綺麗な日本語が見られる

    そしてこの文庫の解説を読まないことは許されない

    「マジで」ってなること請け合い

  •  道尾秀介原作の映画「カラスの親指」を観てきました。映画自体は前半が間延びしていて、もうちょっとまとめてくれた方がテンポでたのに…と感じましたが、筋は滅茶苦茶面白い! 何というか、捨てるところが一切無い鯨のように、全ての伏線がキレイに回収され、一切の無駄が無かったところにはただただ唸らされました。

     で、コン・ゲームもの(詐欺師の話)が読みたくなり、TSUTAYAでDVDを借りるわ、古本でコン・ゲームものの名作を漁るわとしていたのですが、ここで目を引く積ん読君が…。それが本書でした。

     著者の『明るい悩み相談室』や爆笑エッセイ・ネタ本はよく読んでいたのですが、小説は『人体模型の夜』と『ガダラの豚』以外、何となく手が伸びませんでした。自分の中で「らもさん=超絶的に無茶してる人の面白エッセイ」という妙な固定観念があったからかもしれません。
     が、今回読んでみて激しく後悔。「もっと早くに読んどけば良かった…」自分のすぐそこに、自分の好きな話が何年もあったとは…orz

     しがない写植屋・波多野の家に、三流詐欺師の相川が巨大タニシの母貝を持ち込むところから話がはじまります。1個1億円するといういかにも胡散臭いタニシの儲け話に、相川の人生の中で出てくる数々の詐欺ネタ。そうそう、こういうのが読みたかったんです!

     ひょんなことから、社史の受注をするためのプレゼンをすることになった相川と波多野。そこで語られる活字文化の話が、私自身日頃から思っていたことがそのまま書かれてあってびっくり。
     最近でこそ本は活字を大きくしてゆったり字間・行間を取ったレイアウトになっていますが、戦中・戦後の紙不足を引きずったような小さい文字を詰め込むレイアウトを見ると、もうそれだけで読む気を奪われることすらあります。
     電子書籍の登場で、こんな議論はタブレットの設定が全部忘却の彼方に押し流してしまうのかもしれませんが、復刊もされない昔の細かい字の本は、軒並み電子書籍化してくんないかなぁ…と、全然違う方向へ話が流れてしまいました。閑話休題。

     物語の中盤、波多野が意識朦朧としながら打っていた写植の機械から、全く覚えの無い文章が出てきます。
     この辺はラリリに深い造詣のある(?)著者の体験が生き生きと発揮されている箇所ですが、この幻想的な文章を「幽霊が書いた文章」として出版社を騙す詐欺に…。

     厳密に言うと純粋なコン・ゲームものとは少し違うのかも知れませんが、その分、あの頃の著者のエッセイで読んだエッセンスが詰まっていて、非常に良質なエンターテイメント作品として仕上がっています。

  • 中島らもの【永遠も半ばを過ぎて】を読んだ。

    率直にとても楽しい作品だった。

    中島らもの経歴を軽く紹介したいと思う。大阪芸術大学放送学科を卒業後、印刷会社、広告代理店を経て

    独立し小説家、コピーライター、エッセイストの肩書きを持つ。劇団「リリパット・アーミー」を主宰。

    1992年【今夜、すべてのバーで】で吉川英治文学新人賞を受賞している。

    この【永遠も半ばを過ぎて】は、写植オペレーターの波多野善二と三流詐欺師の相川真、そして大手出版

    社の編集者である宇井三咲の三人がそれぞれの主観から語り繋がっていくコメディともミステリーともい

    える作品だ。

    僕がこの作品に引き込まれた理由の一つとして挙げられるのが波多野が生業とする「写植オペレーター」

    の話があったからだと思う。

    写植とは印刷業界の言葉である。今でこそ、印刷業界は主にマッキントッシュを主として版下(印刷物の

    原稿)を組むデジタル化が進んでいるが、一昔前は写植と言い、何百種類とある鉄の文字盤を文章通りに

    組み合わせ活版印刷とよばれる方法で印刷していた。今は写植のデジタル化に伴い、印刷機の性能も進歩

    して、活版印刷(木でも金属でもその素材の突出した部分にインキを乗せ、紙に転写する印刷方法)では

    なくオフセット印刷(水と油の原理を利用したアルミ版を使う印刷)が主流である。波多野が使う「電算

    写植機」とはデジタル化の走りでいわゆるワープロの事だと思ってもらえるといいと思う。

    この用にこの小説は印刷業界の話であって、印刷会社に勤めていた僕にとっては勉強になり、とても

    興味が沸く題材なのだ。

    メインとなる騒動は波多野の写植機から始まる。いつものようにスーパーのチラシの文字を打ち込んでい

    た波多野は、眠れない為に飲んだ睡眠薬の量を間違え、写植を打ちながら意識が朦朧としてしまう。ふと

    気がつくとプリントアウトされた原稿には依頼された仕事ではなく、見覚えもない小説の一説。その原稿

    を巡り、詐欺師の相川(波多野の同級生)と編集者の宇井が絡み始め、事態はとんでもない方向へ。

    3人がそれぞれの事情を抱え、それが交差し交わっていく様は読んでいてワクワクした。

    はたしてこの謎の小説はどうなるのか?それはみなさんが読んでのお楽しみという事で。

    中島らも自身が印刷会社や広告代理店に勤務した経験があることでこの小説はリアリティが溢れている。

    納期を間に合わすために徹夜で作業、無茶な仕事を取ってきて工場の職人さんからクレームの嵐、思わず

    「ある、ある」と苦笑いしてしまった。

    内容も読みやすい文章も魅力的ですいすいと読んでしまった。僕はこの小説のようなエンディングが好き

    だ。思わずニヤケてしまうような最後。

    中島らも。もう彼の新作を読む事は永遠にできないが、彼の残した作品をこれからも愛読してみようと思

    える作品だった。

  • 写植屋の波多野、詐欺師の相川、大手出版社の編集部員宇井女史の三人が、詐欺紛いのとんでも本、ペイシェンス・ワースの霊述文学「永遠も半ばをすぎて」を出版するドタバタコメディ。

    三人の個性的で病んだキャラはいずれも魅力的。

    スカッとした読後感。面白かった!

  • ほんと申し訳ないですけれども、中島らもさんの小説は竜頭蛇尾のことが時々ありますが…この本は最後まで美しくてまとまっていると思います。雰囲気に浸りたくて、キャラクターに会いたくて、文章を、言葉を味わいたくて、何年か経つと読みたくなってしまう。

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著者プロフィール

1952年兵庫県生まれ。大阪芸術大学放送学科卒。92年『今夜、すべてのバーで』で第13回吉川英治文学新人賞、94年『ガダラの豚』で第47回日本推理作家協会賞を受賞。
主な著書に、『明るい悩み相談室』シリーズ、『人体模型の夜』『白いメリーさん』など。2006年7月に短編集『君はフィクション』を刊行。2004年7月逝去。

「2014年 『ロカ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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