街の灯 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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レビュー : 306
  • Amazon.co.jp ・本 (278ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167586041

作品紹介・あらすじ

昭和七年、士族出身の上流家庭・花村家にやってきた女性運転手別宮みつ子。令嬢の英子はサッカレーの『虚栄の市』のヒロインにちなみ、彼女をベッキーさんと呼ぶ。新聞に載った変死事件の謎を解く「虚栄の市」、英子の兄を悩ませる暗号の謎「銀座八丁」、映写会上映中の同席者の死を推理する「街の灯」の三篇を収録。

感想・レビュー・書評

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  • 読み始め…17.4.27
    読み終わり…17.4.28

    昭和初期の華族・士族のお嬢さまたちのお話ですが
    身分でこその品格のある世界観ではありながら
    才覚も持ち合わせたお嬢さまの好奇心が炸裂する探偵もの。
    「円紫さんと私」を思わせてくれるような軽快で微笑ましい謎解きを楽しみました。

    主人公・士族上流家庭の御令嬢は花村英子。
    明確ではありませんがたぶん14-5才でしょうか。
    こちらのお嬢さまがなんてったって好奇心旺盛の才女で、不思議と感じたこと
    疑問に思ったことはなんでも調べてみたくなる...というイメージの
    とても大人びた印象の少女です。
    そして相棒役となるのがお抱えの女運転手ベッキーさん。
    このベッキーさんこそが優れた才覚の持ち主で、ただの女運転手なかれ。
    なかなか侮れない頼もしい相棒なのです。

    そして時々にしか登場しないのですが、英子のお父さまが素敵すぎて...!
    娘を思う親心がなんとも紳士的で素晴らしすぎです♪

    そこかしこに散りばめられているユーモアや笑いには品格があってとても美しい。
    殺人事件が絡んでいてもどこかしら微笑ましくて爽やかです。

    北村さんの著作はこれで三作品目になりますが、いずれにも
    文学・芸術・芸能...それも伝統的古典的なものが必ず織り交ぜてあり
    恥ずかしながら知らぬものが多くて、このたびもしっかりと
    私に課題を与えてくださいました。
    「虚栄の市」....知りませんでした...。

    「虚栄の市」....サッカレーの文学より
    映画「悪女」をぜひ観てみたいと思います。

    「銀座八丁」....森鴎外「即興詩人」を絡めて
    時計台の中に入ってみたいな。

    「街の灯」....チャップリンの映画にちなんで
    映画をまたもう一度観てみよう。

  •  昭和七年、上流家庭の令嬢、英子とその運転手のベッキーさんこと別宮(べっく)くみこが様々な謎を解く連作短編。

     昭和モダンの雰囲気が漂う短編集。北村さんはよく女性の一人称で物語を展開させますが、その一人称がこれほどまでぴたりとハマった時代設定はなかなかないのではないでしょうか。

     魅力的ながらも世間ずれしてなくて、どこか浮世離れした印象の強い女性主人公が北村作品には多かったのですが、今回主人公を昭和の令嬢という設定にすることでその世間ずれしていない天真爛漫さがとてもその時代感を表しているように思いました。

     そしてベッキーさんもかなり魅力的なキャラ。頭の良さや冷静な性格面だけでなく、武芸にも秀でていて女性ながらそのカッコよさには何度も惚れそうになります(笑)。

     そして、二人が単なるホームズとワトソンではなく、ベッキーさんのさりげないヒントから英子が謎の真相に迫っていき、それによって世間ずれしていない英子が様々なことを知っていく、という構成になっているのも魅力的です。この二人の関係性は決して変わってほしくないなあ、と読んでいて強く思いました。

  • 2009.11.20 読了

    初めてこの作家さんの本を読んだけどおもしろかった。
    この世界観くせになる。

    ベッキーさんは何者なんだ。
    英子とはずっと一緒にいられるのか。

    あー早く続きを読まなくちゃ気になってしょうがない。

  • 昭和初期の上流階級の世界を描くシリーズの一冊目。2002年に書かれた作品「虚栄の市」「銀座八丁」「街の灯」3作収録。
    女子学習院に通う花村英子は社長令嬢。
    本好きで好奇心が強く頭の回転が速い。
    華族令嬢にも友達はいるが、それよりはだいぶ気楽な暮らしぶり〜といっても当然のように振袖を着て「ごきげんよう」と挨拶しあい、お供がいなければ外出はままならない。
    送り迎えをする運転手に女性の別宮みつ子が雇われ、仲良くなって、小さな事件を解決していきます。
    世間を知るクールなベッキーさんがやたらカッコイイ!優雅さ漂う暮らしぶりとちょっと懐かしいような銀座の風景などが楽しい。
    2作目を先に読んでピンと来なかったんですが、こっちが先の方が良いですね。

  • 安心してそして穏やかな気持ちで読書を楽しめる北村薫の作品、また一つ極上の時を過ごせた。

  • ひさしぶりにミステリを手に取ったが、しっとりと穏やかな筆致や些細な悪意を描きだす手法などはいかにも北村薫といったところ。

  • 別冊文藝春秋2002年1月号:虚栄の市、5,7月号:銀座八丁、9,11月号:街の灯の3つの連作短編を2003年1月文藝春秋から刊行。2006年5月文春文庫化。ベッキーさんシリーズ1作目。コージーミステリー。昭和初期の上流階級と東京が舞台なのが面白い。大大名のお家柄なんていうフレーズがポンポン出て来るのも、興味深い。桐原家の長男の無理から、ベッキーさんを護るお嬢様の英子の態度が、格好いい。

  • 今とは違う、少しゆったりとした空気を感じる小説。
    登場人物の上品な言葉遣いのおかげかもしれない。
    その中でベッキーさんはとても颯爽と映る。

  • ミステリーではあるものの、戦前という時代の空気感を楽しむ小説だと思う。シリーズものなので今後の展開に期待。

  • 昭和初期、まだ、明治維新前の大名家や華族家、などの出自の家柄が、上流階級だったんですね。
    別世界のお大尽の暮らしを読むのは楽しい。
    暗い時代とは言うけれど、ここに描かれる銀座も軽井沢も、溢れかえる平民に蹂躙される前の“古き良き佇まい”に思える。
    作品の種類はミステリーですが、そういう舞台を読むのが好きです。

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著者プロフィール

1949年埼玉県生まれ。高校教師を務めるかたわら、89年『空飛ぶ馬』で作家デビュー。91年『夜の蝉』で日本推理作家協会賞、09年『鷺と雪』で第141回直木賞、15年には第19回日本ミステリー文学大賞を受賞した。エッセイや評論、編集の分野でも活躍している。近著に『八月の六日間』『太宰治の辞書』『中野のお父さん』など。

「2019年 『覆面作家の夢の家 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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