わたしの渡世日記〈上〉 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 225
レビュー : 17
  • Amazon.co.jp ・本 (367ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167587024

作品紹介・あらすじ

女優・高峰秀子は、いかにして生まれたか-複雑な家庭環境、義母との確執、映画デビュー、養父・東海林太郎との別れ、青年・黒沢明との初恋など、波瀾の半生を常に明るく前向きに生きた著者が、ユーモアあふれる筆で綴った、日本エッセイスト・クラブ賞受賞の傑作自叙エッセイ。映画スチール写真、ブロマイドなども多数掲載。

感想・レビュー・書評

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  • なんだこれは、べらぼうに面白いな!
    この面白さはなんなのだろう?書いてある内容をかいつまんで説明しても、この本の魅力はまったく伝わらないだろう。むむむ。
    そこんとこの考察はおいておいて、備忘メモ。

    上巻は、
    ・養母しげのおいたち
    ・秀子のおいたち
    ・子役デビューのきっかけ
    ・人気子役として、そして一族郎党の稼ぎ頭としての生活
    ・学校生活への憧れ、無学コンプレックス
    ・松竹から東宝への移籍
    ・たくさんの映画人、文化人との交流あれこれ、特に黒澤明
    ・戦時下の女優業
    といったところか。

  • 新刊コーナーで見つけて、あれっ同じ表紙で10年以上前に出たはずなのにと思いましたが、増版だったのでしょうか。

    この本については苦い思い出があります。

    目についた映画関連の本をかたっぱしから集めようと、何年か前までブックオフに毎日通っていた私は、およそ2,000冊に及ぶ映画に関係する書籍を集めましたが、きちんとリストアップして行ったわけでなくメモも取らなかったため、なんとこの本、といっても1976年に朝日新聞社から出た単行本ですが、下巻を3冊も購入するという“うっかり八兵衛”ぶりでした。

    それはともかく、俳優の書いた随筆・エッセイというと池部良や沢村貞子のものが絶品だとつとに有名ですが、戦前・戦後にわたる国民的大スターの高峰秀子も、歯に衣着せぬ個性的な屈託のない洞察眼で、俳優生活を回想した本を何冊も書いたことで知られているようです。

    日本の敗戦直後の男たちは、ただ放心して闇市を彷徨うばかりだったとか、映画界のパーティーは大嫌いだとか、天皇陛下はいい人だったとか、真の喜劇役者はたいてい孤独で生真面目だとか、女は宝石を身につけたくなったら最悪だとかなど、まあよくもこれだけ言いたいことをと思うほどですが、特に明確な主義主張があるわけではありませんけれど、たいした人間観察と驚嘆せざるを得ない断言に満ちていて感心します。

    なかでも私がもっとも気に入ったのは、「納得のいかない勲章などが家の中に舞い込んで来ては始末に困る」といって、紺綬勲章の授与を断ったというエピソードです。

    こういう常識的でない反骨精神旺盛な人物こそが、私がもっとも尊敬し愛する人なのですが、それからは、今まで見た明るく美しい実物をそのまま活かした役柄よりも、1960年の木下恵介監督作品『笛吹川』で85歳の老婆を演じた際の老醜の方が、みごとに美しく神々しいとさえ感じられる錯覚となって彼女を神格化させるほどになりました。

  • 満を持してまずは上巻、手に取る…と思ったら週末で一気に読みきってしまった!


    直接のきっかけは「カルメン故郷に帰る」(1951) をスクリーンにて再鑑賞できる機会があったから。自身のこの街での邦画鑑賞ブームは彼女が鬼籍に入ったことをきっかけに哀悼の意を込めて催された映画祭から全ては始まったのだということをいまさらながらに思い起こすと感慨深い。もうすぐ5年になるのか、早いものだ。その後彼女の出演作として鑑賞できたものを無粋ながら製作年順に書き並べてみると以下のような感じになる…

    東京の合唱(1931)
    マダムと女房(1931)
    宗方姉妹(1950)
    カルメン故郷に帰る(1951)
    二十四の瞳 (1954)
    浮雲(1955)
    流れる(1956)
    喜びも悲しみも幾歳月(1957)
    張込み(1958)
    女が階段を上る時(1960)
    笛吹川(1960)
    乱れる(1964)

    なんだかもっと観たような気がしていたのに並べてみるとこんなものだったのかと若干意気消沈気味…。実際これらのほとんどをスクリーン上にて鑑賞できたのだから贅沢なことだが、一方で彼女のながーい出演作一覧に目をやるにまだまだそれだけで満足していてはならないなと身が引き締まる思いである。

    異例のスピードで読み進めながら感じるのは、まだまだ数の上では十分ではないものの上述の作品群を鑑賞済みであるが故に本書を読む楽しみが数倍にも膨らんでいるという事実。また彼女のまわりに出てくる名だたる名俳優、名監督の名前もその識別可能度が上がっているが故にこちらも楽しさの加速を増すための添加剤として効き目を発揮してくれる。八雲恵美子とか岡田時彦とかの名前には数年前なら反応できなかったし、衣笠貞之助とか五所平之助とかの名前には昨年でも反応できなかった。

    そして本書は歴史資料としての価値も高い。似たような感覚を抱いたのは「少年H」を読んでいたとき。ある人に戦前戦後の世界を血の通った方法で語ってもらえる時、そこには教科書には書いていなかったことがたくさん出てくる。本書では更に加えて教科書で習った人名が急に血の通った「人たち」として浮かび上がるというおまけまでついてくる。新村出や谷崎潤一郎といった人達がその例だ。ありがたいことだ。

    さて下巻も一気にいきますか。

    そしてもっともっと彼女の出演作が観たくなるんだろうなぁ…。オンラインで買って自宅に送りつけて一時帰国の楽しみにしたりする日がそう遠くなくやってきそうな予感。

  • 偶然に5歳で映画界に入った著者の複雑な家庭環境を語り、義母との確執との決別を告げた自叙伝である。また、昭和の映画史としても貴重な記録でもある。評論家が語る映画史ではなく、現場での様子が生々しく語られている点に注目する。時代の世相と著者の心中が絶妙に語られている。谷崎潤一郎や梅原龍三郎をはじめ、各界の重鎮逹との交遊から見えてくるものも多い。
    著者が低落したと思う日本映画界への応援のエールである。
    ここまで身内や自分のことを赤裸々にさらすことは、余程の覚悟がいったことでしょう。脱帽。

  • でこちゃん!ラブ

  • 名前と顔は知っていたけど、こんなに壮絶な人生を送られていたことに衝撃。時代はあれど、天は二物を与えずという言葉がこれほど当てはまるとは…学校教育を受けずとも、これほどの文才に恵まれ、聡明で美しい女性に憧れを抱かずにはいられない。固有名詞の詳細はわからずとも、ぐいぐいと内容に引き込まれて2日で完読。プロであること、家族とは何かをまざまざと考えさせられた。自分がどれだけ生温い湯に浸かっていることか…改めて気合注入。

  • ほとんど学校教育を受けられなかった女史がこれだけの文才を揮えるのは、各界の巨匠と呼ばれる方から様々なことを貪欲に吸収したことと彼女の仕事の合間を縫っての独学によるところが大きいのでしょう。掲載されている写真は、子供から少女へそしてうら若き乙女へと変貌を遂げる姿をしっかりととらえています。その容姿のなんと美しいことか!最近の女優には感じられない美しさが感じられます。

  • 女優としてスクリーンにいる高峰さんから、この中に書かれてある全てのことが滲み出ているようです。

  • 高峰秀子が知り合いだったかのように感じられるから不思議。

  • ぐいぐいと引き込まれてしまった。

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著者プロフィール

1924年生まれ。日本を代表する名女優であり、歌手、エッセイスト。著書に『私の渡世日記』など。

「2018年 『あぁ、くたびれた。』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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