おいしい人間 (文春文庫 た 37-9)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 18
  • Amazon.co.jp ・本 (313ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167587093

感想・レビュー・書評

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  • 高峰秀子が出会った、気の合う人達、憎めない人達がつらつら書かれている。
    並行して、食べ物やサービスのことなども。
    怒ったり、いらいらしたりもするけれど、楽しかった思い出や、一期一会の出会いだからこそ、大切に接したい、というような気持ちが伝わってくる。
    こんな大人になりたいなあ。こんな、っていうのは、足るを知り、思い上がらず、好きなことができるように努力をして、ユーモアを忘れない、というかんじかしら。

  • 高峰秀子さんは私の大好きな女優さんです。スクリーンでは可愛らしかったり、妖艶であったりどの役柄も素敵でした。彼女の書いたものを一度読んでみたいと思っていたので、『わたしの渡世日記』はずーっと後の楽しみに置いておくとして、まずは手始めにこのエッセイを読みました。 感じたことを一言でいえば、彼女はとても気風が良いということでしょう。もちろん文章はうまい。気品の奥に若干の反骨心が隠されているのが心地いい。彼女は大女優にして、一流のエッセイストだと思います。

  • すごく自分(作者)の言葉で書いてある本です。
    そしてその作者の気持ち、感性の豊かさに羨ましいという感じを受けます。とっても正直で、飾らない。
    80過ぎまで、そんな気持ちで生きて行かれた・・・、さぞ、ステキな方だったのでしょう。

  • 一流の女優にして、一流のエッセイスト。
    ユーモアあふれる筆致と、巧まざる人物評。
    読んでいると、心がホッコリするのは読書子だけだろうか。

  • 久しぶりに高峰秀子さんのエッセイ。やっぱりこの方いいな。会ってお話ししたい。とてもさっぱりしてて、ご自分の意見もあって、美味しいものが好きで、口が悪くて。全部魅力的。

  • 高峰さんの言葉は無駄の無い感じがしてかっこいいです。

  • 高峰秀子さんの観察力

  • 「こんな、ふつうぢゃない体験しちゃって」

    「こんな有名人と交流があってさ」

    「こんな高価で美味しいもの、あるいは高価ではないけれど、なかなか食べれないものを食べてさ」

    「世界の、あんな土地、こんな土地に行ったことがあって。外国行くのが普通のことで。こんな面白い体験がありました」

    エトセトラ、エトセトラ、、、


    表向きは「わたしの失敗談」という体を取りながら、結局は自慢。あるいは「ほら、私ってこういう変わった人だからサ」という、誰に聞かれたわけでもない、自意識の垂れ流し。せいぜいが相田みつをさんもどき、誰でもなんにでも当てはまる人生論を…。

    芸能人さんの著述にしばしばある傾向ですが、SNS時代になると、自分も含め無名の市民でも、その奈落にいつでも陥る(すでに墜ちている?)危険性が、ありますね。怖いものです。

    ところがそれが。
    書きようによっては、愉しい文章になる。
    スーパーにでも売ってるような安物の煎餅なのに。やめられない止まらない、というようなポキポキした文章になったりします。摩訶不思議。

    #

    高峰秀子さんは、俳優としても大好きなんですが、物書きとしても個人的には「殿堂入り」です。

    「わたしの渡世日記」(文春文庫 上下)をかなり以前に読んで。真夏の茹だる昼下がりにゲリラ豪雨を無防備に浴びたごとく、ココロ撃たれました。日本映画のファンとして軽い気持ちで読んだのですが、読み物として、至近距離から砕かれた感。
    それ以来、折に触れて高峰さんの文章は楽しんでいます。

    #

    「おいしい人間」文春文庫。高峰秀子さん。

    恐らく1980年代〜90年代あたりに、高峰秀子さんが雑誌などに載せたエッセイをまとめたもの。
    同工の本に「にんげん蚤の市」「にんげんのおへそ」「にんげん住所録」などがあります。

    この「おいしい人間」は、大まか、前半は著名人との交遊録、思い出集。
    後半は、旅行記や食べ歩き、食生活に関するエッセイなどが入っています。

    #

    1つ1つを取り上げて、どうのこうのではないけれど。(読了後、一週間くらいしてますので、だいぶ忘れていますし)
    軽く言っちゃえば「趣味・好み」なんですが。
    高峰秀子さんの文章は、自慢に聴こえない。ポキポキの煎餅。

    ものごとをなるたけ悪口にせず、批判にしない。ネガティブ発言をするときは「それが正義の理屈であるから」とは言わない。ただたんに「私の感情である」という率直さ。フェアな精神。
    イデオロギーや信念ではなく、現実的であることの誠実さ。
    描写のありようの腕前、という技術論とも背中合わせなんですが。

    「この世界は8割方は、ただの偶然と流れによって作られている。正義や論や思想や誰かの、自分の意思や能力というものは、そんなに強くない」

    という皮膚感覚が血に足ついて、高峰さんの中にあるのではないでしょうか。そういう意味での誠実さ。

    そうであるからこそ。
    愉しかった知人友人との交流とか、美味しかった食事。
    そこにいたる段取りや手作業。
    そういう細部を軽視しない、地味な積み重ねの味わい。自分のココロモチのコントロールが、ゆるぎなく落ち着いています。そう読めます。そういう文章の品格。気風の良さ。
    (ま、会ったことはないので、本人さんがどうだったのか知りませんが)

    フェアネス、誠実さ、無力さを直視するリアリズム、と考えていくと。
    村上春樹さんや司馬遼太郎さんの文章にも共通するし、谷崎潤一郎さんとも。そして、かなり変化球だけれども安野光雅さんとも。

    #

    文章の具体で言うと。
    後半の、食事や健康についてのエッセイが特に面白かったです。
    おいしいものを食べたという話や、連れ合いや自分の健康病気談義。

    中国の友人との交友記では、政治の非情に転びまろびつの人物たちの運命に寄り添いながらも、「評論家風」「正義感風」に流されることのない背筋の伸び方。パチパチ。
    また、子供を産まなかった生き方を、「男性優位、主婦当たり前の昭和時代」に貫いた、フリーランスの職業婦人、という立ち位置、引き出しもあります。それも飾らず気負わず声高にせず。文章を芳醇に味付けていると思います。

    #

    高峰さんの文章は、日本映画風俗の記録であり、昭和の生活感についての読み物であり、一級のエッセイ、文学でもあります。

    無論の事、日本史上最大の映像女優である、という初期設定があるからの読み応えではあるのですが、そこを逸脱した歯ごたえがあります。
    まだまだ残された、未読の高峰さんの本を、まだまだ味わって行ける、というシアワセな薫り。
    肩の凝らない、リラックスしながらも姿勢を正す。そんな読後感、清涼感でした。

    (女優・高峰秀子の、マイベストは何か?うーん。「二十四の瞳」は外せないか。「流れる」「浮雲」も無論ですが、意外と加山雄三さんと道ならぬ禁断の恋に溺れる「乱れる」もスゴかったと思います)

  • 本屋でパラッとめくってみたら、
    「司馬遼太郎先生は美男である(いささか蒙古風)。」
    「安野光雅画伯も美男である(いささかインディアン風)。」
    という二文が目に飛び込んで来た。
    私の二大好きな人が同じページで並べて語られている。しかも、確かなリスペクトと若干のユーモアと共に。これは読まねばなるまい。
    肝心の高峰秀子サンについては、大スターだったらしいということしか知らず、映画も二本くらいしか観たことがない。まいっか。あ、というよりもそれこそ、何冊か読んだ安野光雅のエッセイ(とりとめのない)に、たびたび登場していたような気がする。イイ女、というよりは、健康的で老いてもなお可愛らしい、みたいなイメージ。

    読んでみたら、意外と男前というか、気っ風の良い奥さんである。幼い頃から芸能界に生き、家族関係も麗しくはなかったようで、結婚してからは病気の多かったらしい旦那さんをよく支え、出会いもあれば別れもあり、という人生を。美談っぽくも哀れっぽくも語れるけれど、気取らずシャクシャクと書かれていて好きでした。淡々と、という感じではなく、けっこう怒れる女優サンなところが多く、それを取り繕おうとしないところがまた素敵でした(笑)。
    冒頭で挙げたお二人もそうだけど、高名な方々との社交録という面もあり、私としては不勉強だった画家さんたちの名前を知るきっかけになって面白かった。
    電子書籍で読んだので、読みながら指一本でぴぴっとググれて作品の画像もなんとなく見れちゃう。便利。

  • 名エッセイストとしての高峰秀子の軽いエッセイ集。人物観察の的確さや軽い皮肉的表現はさすがに面白い。映画関連の文章が(大河内伝次郎以外は)少ないので映画ファンには物足りない本である。

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著者プロフィール

1924-2010 北海道生まれ。子役時代から晩年まで一貫して日本映画界を代表する名女優として名を馳せた。出演作は300本以上。代表作に『二十四の瞳』『浮雲』『名もなく貧しく美しく』など。確かな審美眼を持ち、絵画骨董にも造詣が深い。名文家としても知られ、『わたしの渡世日記』で日本エッセイストクラブ賞受賞。ほかに『にんげん蚤の市』『台所のオーケストラ』『コットンが好き』『いっぴきの虫』など著書多数。夫は脚本家・映画監督の松山善三。養女は文筆家の斎藤明美。

「2022年 『高峰秀子ベスト・エッセイ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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