棚から哲学 (文春文庫 つ 11-5)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (301ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167588052

感想・レビュー・書評

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  • エッセイ集。一文一文にいちいち笑う。物事の着眼点、文章の表現力が面白く、くすくす、ニヤニヤしながら読めました。哲学者だからかはわからないけど、言葉の限界、影響、有効範囲、よくわかって書いてあるなぁって感じの文章。言葉をおもちゃのように使いこなしてるわ。こんな文章書けたら楽しいだろうな。でもきっとこのようなタイプの人と接していると全ての言動に揚げ足を取られて身ぐるみ剥がされるかもしれんから友達にいてほしくはないかも笑

  • レトリックに溢れていて読んでいて楽しかった。特に奥さんに対しての文章は秀逸である。

    "賞味期限が「おいしく食べられる期限」という意味なら、我が家の家庭料理は、どれもこれも作った瞬間から賞味期限切れだ。"

    "わたしは最初、女は天使、女神、観音様と同類かと思っていた。悪くても犬やネコの仲間だろうと思っていた。その後、幾多の苦い経験を重ね、ライオンかハイエナの仲間ではないかと疑う段界を経て、ゴジラの仲間だと気づいたとき、ついに真理を見出したと思った。暴れるゴジラ相手に打つ手はない。"

    とても面白い会社の先輩と話している気分にさせてくれた。ユーモアは基本的に毒舌と相性が良いのである、ということを再確認させてくれた。

  • お茶の水女子大学名誉教授で哲学者の土屋賢二教授のエッセイ。

    哲学者のせいか文章がうまく、論理性と非論理性の間で笑わせてくる。
    正しい論証で間違った結論を導きだしてみたり、誤った一般論や自明の理をおもしろおかしく書いている。

    土屋教授以外にも、助手や学生、土屋教授の母などが出て来るが、彼らとの間で交わされるユーモアたっぷりのやりとりもおもしろい。
    本当にこんなに面白い人たちが集まっているのかと疑ってしまうほどだ。

    とはいえ、一発で爆笑をとるタイプではなく、数を打って笑わせてくるので、初めは「なんだこのおやじ」と思うかもしれない。
    それでもページをめくっていくと、だんだんとニヤニヤしていくことだろう。

    男性の胸毛に魅力を感じる女性がいる理由を、「暇なときに抜いて遊べるから」と書いていたのには声を出して笑ってしまった。

  • 積読から一冊。初めはその言い回しについていけず、最後まで読み通せるかどうか不安でしたが、
    慣れると意外にもスラスラと読めました。結構、中毒性があるのかもしれません。69

  • 「言」「語」「道」「断」の4つの章に分けられていますが、とくに意味はなく、いつも通りの人を食ったようなエッセイが68本収録されています。

    「首相からの電話」と題された一編は、『人間は笑う葦である』(文春文庫)に収められている「首相になれといわれたら」を読んだ当時の小渕首相が、著者の自宅に電話をかけてきたときのエピソードです。首相を動かした著者のエッセイの腕前を褒めるべきか、中身も何もない文章を読んだだけでわざわざ著者に電話をかけてきた「ブッチホン」の機動力に感心すべきか、迷うところです。

    巻末には、著者の母親の語りを文章にまとめたという体の「解説」が置かれています。これは、著者本人が書いているという理解で正しいのでしょうか。本当に著者の母もこんなギャグ・センスの持ち主だったら驚きなのですが。

  • 底本2000年刊。御茶の水大学教授による週刊文春掲載随筆録。かなり面白いが、あざとさを感じなくはない描述。本書の面白さは①常識(多くの人に妥当する共通認識や期待)を、(一気にもしくは徐々に)ずらし、予期しない結末を提示すること、②行間に、アイロニー・皮肉もしくは比喩を滲ませるが、その真意は多義に解釈でき、著者の本音をいかようにも想像でき、結果、著者の文体に幻惑される点にあるのでは、と感じた。こんなことが出来るのは、実は言葉の定義を徹底して厳密化する著者ならでは。特に「悲観・楽観」の解釈でそれを感じた。
    こういう文章が書けること自体、驚異的なことであり、実は羨望の眼差しで読破したところ。ただ、著者、かなりの「ニヒリスト」という気がしないではない。

  • 肩から力の抜けたエッセイ集であまり哲学的ではない。面白く無いわけではないが、話のオチが比較的ワンパターンで少々飽きる。従って、☆3つ。

  • いや、数を重ねても面白い。
    今回いっとうハッ(°_°)と思ったのが以下。
    =====
    多くの男が納得できないのは、一部の男ばかりが不当にモテるということである。正確にいうと、一部の男だけがモテるということに納得できないのではなく、自分がモテる側に入っていないところが納得できないのだ。
    =====
    思わず付箋にビックリ顔を書くほど、目からウロコが…(笑)

  • 超超面白かった!
    めっちゃ吹き出しちゃった!笑

  • 読書録「棚から哲学」4

    著者 土屋賢二
    出版 文藝春秋

    P128より引用
    “だれのことばなのか忘れたが、「だれのことばか分からないと
    きは、バーナード・ショーがいったことにすればいい」という格
    言(これもだれのことばなのか分からないから、バーナード・シ
    ョーがいったのだろう)があるから、バーナード・ショーのこと
    ばだろう。”

     哲学者である著者による、身の回りのことについてひねくれて
    考え抜いた一冊。
    目次から抜粋引用
    “無駄なものが多すぎる1
    何のために眠るのか
    荷物の法則
    バレンタインデーに思う
    人類が進歩しない理由”
     腕時計の竜頭についてから小渕首相からの電話についてまで、
    些細なことまで考え抜いて書かれています。

     上記の引用は、文章作法について書かれた項での一文。
    本当のことをいうと、バーナード・ショーが何をした人かよくわ
    からないのですが、格言を言いまくって生きていた人なのでしょ
    うか。
     仕事とはいえ、これだけ色々考えながら日々を過ごすのは、疲
    れて仕方なさそうな気がしますが。考えるのが好きだから、哲学
    者なのでしょうけれども。

    ーーーーー

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著者プロフィール

1944年岡山県玉野市生まれ。玉野市立宇野幼稚園、宇野小学校、宇野中学校と、とんとん拍子に宇野地区きっての名門校を進み、中学2年生のとき岡山市立丸の内中学校に転校。岡山操山高校を経て、官僚を目指して東京大学文科一類に入学。2年後、方針転換して文学部哲学科に進学して大学院博士課程中退。東大助手を務めた後、お茶の水女子大学に着任。35年にわたって哲学を教え、現在、お茶の水女子大学名誉教授。 哲学のかたわら、五十歳のときユーモアエッセイ集『われ笑う、ゆえにわれあり』(文春文庫)を出版したのを皮切りに、『妻と罰』『ツチヤの貧格』(文春文庫)、『ツチヤ学部長の弁明』(講談社文庫)など多数のユーモアエッセイ集と、『ツチヤ教授の哲学講義』『ツチヤ教授の哲学入門――なぜ人間は八本足か』(文春文庫)など少数の哲学書を発表、いずれも好評のうちに絶賛在庫中。他に『幸・不幸の分かれ道――考え違いとユーモア』(東京書籍)、『われ悩む、ゆえにわれあり―― ツチヤ教授の人生相談』(PHP)などを矢継ぎ早に発表し、在庫に花を添えている。週刊文春とPHPに連載中。

「2013年 『哲学者にならない方法』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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