汝みずからを笑え (文春文庫 つ 11-6)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 23
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  • Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167588069

感想・レビュー・書評

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  • 汝みずからを笑え

  • 今回は、雑誌『文芸春秋』の連載以外のエッセイが多く集められているため、硬軟とりあわせた仕上がりになっています。

    著者の教え子である柴門ふみの『あすなろ白書』(小学館文庫)の解説も収められているのですが、この著者は何を書いても自分のペースにもっていかないと気がすまないのか、と少々呆れてしまいます。

    そういうわけで、大部分は屁理屈全開、いつもの土屋賢二なのですが、「合理的疑い」と題されたやや長めの文章は少し趣を異にします。野矢茂樹の文章よりも若干ジョークの配分が多いかな、といった程度で、ユーモア・エッセイというよりも哲学的エッセイというべき内容だと思います。こういう文章を読むと、あらためて著者が哲学教授だったことを思い出します。あるいは著者自身も、たまにはこういう文章を書かないと自分が哲学教授だということを忘れてしまうのかもしれません。

  • 読書録「汝みずからを笑え」4

    著者 土屋賢二
    出版 文藝春秋

    P90より引用
    “さいわい、人間は疑いに関しても、いいかげんである。圧倒的
    な証拠に基づいて築かれた自然科学を信じない人が、非常に薄弱
    な証拠を基にして超常現象を信じていたりするのだ。”

     目次から抜粋引用
    “文章の書き方
     ダカツのように
     ユーモアエッセイの読み方
     哲学の授業風景
     ユーモアエッセイと哲学論文の違い”

     哲学者である著者による、あちこちの雑誌等に書いたエッセイ
    をまとめた一冊。
     文章力の低下についてから心の和みについてまで、自筆のイラ
    ストを添えて書かれています。

     上記の引用は、人間の三歳児、オランウータン、犬を使った実
    験について書かれた項での一文。いい加減で自分に都合のいいこ
    とばかり信じるから、それがうまくいった時に爆発的に増えてし
    まったのかもしれません。
     初出を見ていると、著者の多忙さがよくわかります。というよ
    りも、原稿を依頼する方たちが無理を言っているのではないかと
    おもうくらい、いろいろな場所で掲載されています。

    ーーーーー

  • お茶女哲学科の名物教授のユーモアエッセイ。紀伊国屋の本のまくらフェアで興味を持って購入しましたが、とっても面白かったです。
    至極真面目そうにテキトーを書いています(笑)

    どんなに偉大な哲学者も、突き詰めれば全て屁理屈こねくりマンなのかもしれないなぁと思わされました。
    それなのになぜか哲学に興味がでてきました。どうしよう。

  • 紀伊国屋書店の「ほんのまくら」フェアで購入しました。
    面白かったです。

  • いつもどおり。

  •  ユーモアについて

     笑いは人間関係を円滑にするのに、最も有効な手段である。少なくとも、笑いが起こるような関係性というのは好意的なもであることは間違いない。(ただし冷笑、嘲笑、権謀術数の限りをつくし、勝利の瞬間にでるニヤリという笑いなどは除く。)
     そして、その笑いの根底にあるのは、ユーモアの精神だ。著者の考えによれば、ユーモアとは自分にも、他人にも、またそれ以外の何者にも特別な価値を認めない精神であるという。ユーモアはなんでもこきおろすことができる。犯してはならない聖域というものが存在しない。例えば、何かをこきおろす手段として、批判や批難というものがあるが、それらは特定のイシューに対して、何か守られるべき価値が侵犯されているといってこきおろすのである。だが、ユーモアは特定の価値を認めないのだから、生だろうが、死だろうが、男だろうが、女だろうが、なんでも対象とすることができる。何ものも守らないという態度がそこにはある。そこにはただ破壊があるだけである。常識や価値の破壊こそユーモアの真骨頂だろう。批判や批難も破壊行為であるという点では同じだろうが、ユーモアが楽しいのに対して、批判は決して楽しいものではない。前者は幾分平和的で、人間関係を円滑にする効用があるのに対して、後者は、人間関係を悪化させる効用がある。本書を読めば笑いというのが、いかに人間生活の中で重要なものがわかるだろう。

  • 自虐ネタは大スキです♪

  • ユーモア・エッセイと言うよりも屁理屈エッセイだ。哲学も屁理屈も変わらないんだな。

  • ・4/15 かなり久し振りだ.新刊が出てたので思わず買ってしまった.「坂の上の雲」と平行して読むことにした.それにしても相変わらずだ.このごろは落ちも大体想像できるようになってきた.意外性がこの人の面白さだとすれば、ちょっとがっかりだが、今度はどんな意外性で笑わしてくれるのか楽しみだ.
    ・4/15 などと言っているうちに読み終えてしまった.本当にあっという間で冊数を稼いだようなもんだ.今回のは思ったよりユーモアよりもまじめな哲学的考察の方が多かったかもしれない.

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著者プロフィール

1944年岡山県玉野市生まれ。玉野市立宇野幼稚園、宇野小学校、宇野中学校と、とんとん拍子に宇野地区きっての名門校を進み、中学2年生のとき岡山市立丸の内中学校に転校。岡山操山高校を経て、官僚を目指して東京大学文科一類に入学。2年後、方針転換して文学部哲学科に進学して大学院博士課程中退。東大助手を務めた後、お茶の水女子大学に着任。35年にわたって哲学を教え、現在、お茶の水女子大学名誉教授。 哲学のかたわら、五十歳のときユーモアエッセイ集『われ笑う、ゆえにわれあり』(文春文庫)を出版したのを皮切りに、『妻と罰』『ツチヤの貧格』(文春文庫)、『ツチヤ学部長の弁明』(講談社文庫)など多数のユーモアエッセイ集と、『ツチヤ教授の哲学講義』『ツチヤ教授の哲学入門――なぜ人間は八本足か』(文春文庫)など少数の哲学書を発表、いずれも好評のうちに絶賛在庫中。他に『幸・不幸の分かれ道――考え違いとユーモア』(東京書籍)、『われ悩む、ゆえにわれあり―― ツチヤ教授の人生相談』(PHP)などを矢継ぎ早に発表し、在庫に花を添えている。週刊文春とPHPに連載中。

「2013年 『哲学者にならない方法』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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