お吉写真帖 (文春文庫 あ-32-3)

  • 文藝春秋 (2004年3月10日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784167597030

みんなの感想まとめ

幕末から明治初期にかけての激動の時代を背景に、人々の奮闘と成長を描いた短篇集。作品は、変革期に生きた人々が直面する葛藤や挑戦を通じて、日常が非日常に変わる瞬間を捉えています。安部龍太郎は、技術革新や社...

感想・レビュー・書評

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  • 安部龍太郎の作品は、何故か熱いものがこみ上げてくる。
    本作品は6篇から成る短篇集だが、一貫したテーマは幕末動乱である。幕末から明治初期にかけて日本を襲った一大変革期は、今まで持ち得た価値観が根底から覆り、昨日の常識が今日の非常識となるような時代である。そこに生きた人々にとって、その変革に対する動揺は想像に難くない。
    これほどの変革期にあっても日々の生活は営まれ、何事もないかのように振舞われる。それでもふとした瞬間に日常が日常でなくなり、変革が日常へと移り変わってゆく。その変化について行けるかどうか?それがその人の人生を飛躍させ、あるいはその人生を簡単に没落させてしまうのだ。日々もたらされる西洋諸文明の技術は、庶民に衝撃と羨望を与えるだけに及ばず、あらゆるものをもたらした。
    それらの荒波をくぐり抜ける人々の姿が生き生きと描かれ、混沌とした今の時代へと訴えかけるものがある。それが安部龍太郎であり、彼の作品なのだろう。

    2004年3月/文芸春秋/文春文庫

  • 長らくの積読本
    2009/10/5〜10/6

    帰りの電車内で安倍龍太郎著「お吉写真帖」を読了。
    明治維新前後に西洋技術に悪戦苦闘した人々を主人公にした短編集。安政の大地震で破損したロシアの軍艦ディアナ号の代替戦を建造せよと命じられた船大工・寅吉の奮闘を描く「ヘダ号建造」、絵師を志したものの挫折し、写真に活路を見出した桜田久之助を描く「お吉写真帖」、緒方洪庵の開く適塾で医学に精進しながらも片思いの相手に心を焦がす長与専斎を描く「適塾青春記」、欧州留学が決まり希望に胸を膨らませる西周が幕府の旧体制派との軋轢にもめげず旅をする過程を描く「オランダ水虫」、旗本の娘として生まれ新聞記者としての才能を開花させる向井春子を描く「まなこ閉ぢ給ふことなかれ」、幕末大聖寺藩での薩長に対抗するために贋金づくりにいそしむ人々を描く「贋金一件」。どの作品も何か一つのものに打ち込む人々の美しさが描かれている。その一途さが心をうつ。私も仕事柄そうしないといけないのだが、気が多いからなぁ。

  • 美味しいところをかっさらう、沢太郎左衛門が見られます。(「オランダ水虫」)

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著者プロフィール

作家。1955年福岡県生まれ。久留米工業高等専門学校卒。東京の図書館司書を経て本格的な執筆活動に入る。1990年、『血の日本史』(新潮社)で単行本デビュー。『彷徨える帝』『関ヶ原連判状』『下天を謀る』(いずれも新潮社)、『信長燃ゆ』(日本経済新聞社)、『レオン氏郷』(PHP研究所)、『おんなの城』(文藝春秋)等、歴史小説の大作を次々に発表。2015年から徳川家康の一代記となる長編『家康』を連載開始。2005年に『天馬、翔ける』(新潮社)で中山義秀文学賞、2013年に『等伯』(日本経済新聞社)で直木賞を受賞。

「2023年 『司馬遼太郎『覇王の家』 2023年8月』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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