- Amazon.co.jp ・本 (453ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167602109
感想・レビュー・書評
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下巻は「どうしてこうなった?」の解説パートだったのかなと。
二人の女性を殺害した中国人の素性パートが意外と長いんですが、これもまたある意味で味わい深いものになっています。
前段でAです。と説明されていたことが、後段で実はBでしたみたいな感じで覆されることがままあり、「え??」と思うこと多数。伏線と回収の仕込みがすごいので、じっくり読まないといけません。
総じて面白かったとは思うのですが、表題の通りグロテスクなので、しばらくいいかなといった気分です。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
桐野夏生さん作品、初の読了。もっとイヤミスのドロドロした感じを想定していたが、思っていたほど読後の不快感はなかった。女性特有の心の中の毒っぽさが好きなので、上巻・下巻ともにするすると読めた。
下巻の佐藤和恵の堕落していく様、そして主人公の最後の展開も、非常に面白かった。
結局、女は容姿でマウントをとるしかないのだろうか…。恐ろしい。 -
ぐいぐいと物語に引き込む文章、構成。
まじめな会社員としての顔と、水商売をする女としての顔を併せ持った女性の内面を書ききったのは圧巻。
ただ、ひたすらに悪意に覆われた世界観が合わなかった。
また、上記の女性についてはあまり良い人物として描かれていないのだが、実在する亡くなった人物をモデルにしており、本当のところは当人しか分からず、確認すべくもないことへのもやもや感が残った。 -
H30.01.26 読了。
上・下巻通しての感想。
壮絶過ぎる。
世界観で言うとスケールは決して大きい様な話ではないんだけど、すごい。濃厚。
そして悪意、妬み等の「負」のエネルギーのすごさ。
今まで出会った事がないくらい満ち溢れている「負」感。
なのに現実的。
ファンタジーなくらいぶっ飛んでいても良い話のはずなのに、ノンフィクションでもおかしくないくらい現実的。
解説を読んで初めて知ったが、実際にあった事件を元にしていたのね。
とにかく、ずっと嫌〜な気持ちになりながらも「好奇心」で続きが気になり、なかなか読むのをやめられない作品だった。 -
佐藤和恵の考え方が自分と似てて、読んでるとチクチクした…笑
上下巻あるような小説を読み切ったのは久しぶり。
面白かった。 -
人の悪意に満ちた話。
現実も多かれ少なかれ、そうなのだろう、と思ってみたり。
日本に生まれただけて、すごいアドバンテージあるんだな、って反省しました。
桐野さんの本を読んで、いつも思うのが、作者は、読書を傷つけようと思ってるのかな、なんて。
もちろん、自分で選択して、読んでるんですけど。
再読したいか、と問われたら、返答に困るかな… -
心が貧しいが故に、周囲から人が離れる。寂しくなり、自分を必要としてくれる人を欲して、性交に走る。そして、自分を客観視できなくなり、見た目も中身も怪物になる。
私自身、かなり治安の悪い地域で働いていた経験がある。その時にどうしようもない人を何人も見た。そして私はその度に「この人たちは若い頃どんな日々を過ごしていたのだろう」と考えを巡らせていた。この作品は、その答えの一例を見た様だった。 -
登場人物の手記にしろ、主人公の語りにしろ
誰ひとり真実に聞こえない
自分勝手な語りのエグさ。
読んでてイヤーな気持ちになった上に
最後の章では、モヤっと感がマシマシ。
結構読むのがしんどかった作品だった。
文章は読みやすいんだけど、内容がしんどい。