- 文藝春秋 (2008年1月10日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (304ページ) / ISBN・EAN: 9784167602116
AIがまとめたこの本の要点
この本を表す言葉
みんなの感想まとめ
多様な形式で構成された本作は、ショートコラムやエッセイ、短編小説を通じて、著者の独自の視点と深い洞察が光ります。特に「白蛇教異端審問」と題された部分は、読者に強い印象を残し、著者への尊敬の念を抱かせる...
感想・レビュー・書評
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作家が何を言わんとするのかは、その作品から知るのである。作家のエッセイなどは読まないほうがいいかなと思っている。
しかし、時には読んでみたくなる。読んで補足された気になるというか、ああそうだったのかと理解が進むというか、ぞき趣味というか、ようするに楽屋裏、屋敷内を知りたいというのである。作家自身の「苦手だ、あまり書かないなどという」フレーズが付いたものはなおさらだ。
エッセイだから日常生活、直木賞を受けた時のこまごました日記、執筆に当たっての姿勢、逡巡、苦労などもちろん面白く読んだ。
読み進むうちに桐野さんの「書評・映画評」の章で愕然となった。う、うまい。当然本職の物書きさんなのだから比べようも無いのだけれど、自分のがいやになった。
「『<詩>の誘惑』井坂洋子」の書評で桐野さんは
『書評することが気恥ずかしくてならない。いくら分析をしても的が外れているのではないかと疑い、どんな言葉を遣っても言い足りないのではないかと何度も後ろを振り返る。』
と書いていらっしゃっるにもかかわらず、その書評の的確さ、テーマを展開させる面白さ、筋の通った論理に圧倒された。私の読書感想なんか、もうやめようかしらとまで思いつめてしまった。
が、そこでちょっとうまいことが頭に浮かんだ。ネットで流している書評ともいえない感想が、本職の作家さんよりうまく書けていたら、職業を圧迫してしまうではないか。
このエッセイ集にも「知」は対価を支払って手に入れるもの、新古書店のごときはなにごとぞ!と怒っていらっしゃる場面もある。(いわゆる105円で手に入れ、ほくほく状態になってる私たちはちと恥ずかしい)図書館も「知」の濫費に手を貸しているとおっしゃっている。(それはちょっと意味が違うと思うが…)からして、ネットという垂れ流しの場合は下手のほうがいいんだもん。
私のささやかな家庭菜園は農業流通をば、つゆほど圧迫しないと思おうよ。気を取り直した。
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本題になった最後のエッセイ「白蛇教異端審問」は桐野さんの気迫に満ち満ちていて思わず拍手する。
少しも知らなかったが、直木賞の「柔らかな頬」を駄作だといった批評があり、江戸川乱歩賞の「顔に降りかかる雨」に関するバッシングもあったらしい。論点についてはともかく、きっちりと反論するということはいいことだ。しかし、日本の文化はそれを異端とする。なさけないことに。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
桐野夏生さんの作品はすごく面白くて好きだったけど、ご本人も好きになった。
いくつかの小節にわかれているのだが、タイトルにもなっている白蛇教異端審問が1番面白く、桐野さんを尊敬した。
あと私もアウト的な、危ない主婦の方なのだろうかとぼんやり考えていた。反省。
東野圭吾さんの解説、寄稿も面白かったです。インタレスティング的な意味で。
桐野夏生を好きな人も嫌いな人も、一度読むべきではないだろうか。
にょろ。 -
OUT、玉蘭、柔らかい頬あたりを読んでからのほうが楽しめると思う
東野圭吾さんの書評も良かった -
数日前には「この強い女性の言葉は今読めない」と感じた文章だったが、今は読み易い。
何度か引用している、大江さんのいうところの「読書のタイミング」が、まさしく今だったようだ。
コラムの中に、お母様を亡くした時のことが書かれており、それも今ドンピシャだと感じる。
その文章に触発されて数日前「なにをみてもなにかをおもいだす」という文章を書いたけれど、それはまだ公開していない(ちなみにこの言葉は、横田創の『亡霊カフェ』という文章の一文で、そこでの表記は「何を見ても何かを思い出す」だが、音として想起したので、ひらがなになっている)。
読めばしゃべりたく(書きたく)なり、書きながら続きが読みたい文章。
大江さんの文章以来の興奮じゃないだろうか。
坂本龍一と村上龍の対談を読んだときもこんな感じになったかな(『EV.Caf´e』)。
分野の区別でなく、「あっ」と思った文に出会うとどこかに写しておくことにしている。
小説の時でも、対談やエッセイの時でも、詩でも、台詞でも、誰かが口にしたことでも。
そうやってクリップしておきたくなる言葉があっても、それによってしゃべりたく(書きたく)なるとは限らない。いまは公演の製作日誌を書いてた余波で手が饒舌なのか、もう眠ろうと思ってベッドで本を読んでいると、興奮してリビングに戻り、パソコンにメモし、こんなことをしてる始末。
いま早急に、かつ慎重に考えるべきことがふたつあって緊張してるせいもあるだろう。
桐野夏生の小説は過去に借りた『魂萌え!』しか読んでおらず、それがあまりしっくり来なかったので余計に、この本が今これだけ自分にヒットしたことが驚きだ。
ショート・コラム、エッセイ、短編小説、表題の「白蛇教異端審問」と通して読んでみての感想。
この作家さんのは、小説よりも、コラムとかエッセイの方が好きだ。小説も決して悪くないけれど、硬質すぎるように感じる、少なくとも今のわたしには。 -
ショートコラム、日記、エッセイ、ショートストーリー、表題作となっている論戦などが収録されている作品。
やはり桐野夏生さんは、とてもまっとうな方なのだと納得した。こういう人間としてのまっとうさを抜きにして、「OUT」や「グロテスク」のような圧倒的な作品は書けないだろう。
それにしても方々で絶賛されるハイスミス作品、私は10年以上前に放り出していた。珍しい。でも今なら読めそうだ。 -
桐野エッセイ。
割と普通の人だなぁ。という感想。
もう少し若い人かと思ってた。
表題作は読み応えありました。
他人の喧嘩は他人事なので。
私は本は買う派です。
売りません。 -
著者初のエッセイとショート・ストーリー集。作家さんのプライベートに物凄い興味を抱く私としては必読の本です。この本で桐野先生の家族のこととかが知れて嬉しかったです。
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意外!
桐野ねーさん、主婦だったんですね!
いやーなんか、自分の母がこんな文章書くってw -
緑川先生から賜った。pp.16-17に図書館について言及がある。
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やっぱりこの人素敵。
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にょろ。桐野夏生、\"苛烈\"です。WEBで一文レビューしました。http://www.first-priority.yi.org/~siza/blog/2008/12/post_89.html
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大好きな桐野夏生なのですが、初のエッセイ集?あ、こんなのあったんだ、と手に取りました。どれも非常に短いけどパワフル。いつもどうやったらあんな世界を書き描くことができるんだろう、この人の頭の中はどうなっているんだろう、と思っていたので、彼女が書いている様子をちょっと覗けたみたいで嬉しくなりました。最終章の、彼女及び作品に対する不当な書評や無責任な非難に対しての、断固たる反論は非常に読み応えあり。まわりにもずいぶん「そんなものは放っておけ」と言われたらしいし、私も桐野さんほどの人がこんな軽い書評無視すればいいのに、と思ったが、あえて反論するところが彼女らしさなんだろうな。作家をするということがどれほどの覚悟が必要で苦しい作業なのかということが少しだけ想像されます。だから私は彼女の作品が好きなんだ。そして、安易な文章や安っぽい本が嫌いなんだ、と実感したのでした。
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読み物としてどうかとかよくわかりませんが、
桐野ねーさん、応援してますっ!!!!って言いたくなりました 笑
いつもとても真剣で、生真面目に正直に生きている人なんだろうと思います。
そんなあなたが大好きです。 笑
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私は今一番会ってみたい人ってこの人だと思う。
頭の中を覗いてみたい。
一体どんな毒がそこにはあるのか。
どんな闇が隠されているのか。
エッセイが出たと聞いた瞬間、夢中で本屋に走った。
少し分かった気がする。
彼女は怒っているのだ。
自らの芯を持ち、しっかりとたって。
ふがいない世の中を嘆いてるのかもしれない。 -
桐野夏生の白蛇教異端審問を読みました。桐野夏生のエッセイ・日記・短編集でした。あとがきで東野圭吾が「このエッセイは彼女の口から吐かれた怒りの炎なのだ」と書いているように、桐野夏生の歯に衣着せない意見がこれでもか、と書かれていました。女性の視点から感情的で理論的な、そして結構過激な論説が展開されています。(と、書いたとたんに女性の視点とは何か、定義してから論説しろ、といわれてしまいそうですが。)このエッセイ集で主張されている意見は、私が日頃感じているものも多く、応援したくなります。表題作の白蛇教異端審問は、直木賞を受賞したときに、匿名の評論家からあしざまに批判されたことに対して、反論したエッセイでした。例えばmixiなどの議論でも、卑怯にも匿名でコミュニケーションを荒らす人はいくらでもいるので、そのような輩は無視するのが一番なのでしょうが、律儀な桐野夏生はまじめに反論したのでした。結果的には、反論は空を切って論戦自体が成立しなかったらしいのですが、桐野夏生の主張と苦闘は面白く読みました。にょろ。
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この著者の小説は好きではないのですが、タイトルに惹かれて買ってしまったエッセイ集。表題作は『OUT』に対して「不当」と著者が思う批評に対して正面から闘う連載をまとめたもの。私にとっては、『頬に降りかかる雨』も『OUT』も最初は面白いんだけど、読んでいるうちに主人公の心情がどんどん私の手の届かないところにずれていって、あれあれと思う間に物語が終わる、常に着地点の違う作家――そういう人だ。これは読者である私の好みの問題なので、責められても困るが、批評家は個人の好みで発言すべきではない、であれば作家の反論に応えてしかるべきという著者の主張はわかる。残念なのは、何かの事情で半端で連載が終わっていること。どうせなら闘い抜いてほしかった(相手の批評家がアレだし!)。書きぶりも面白かった表題作を除けば、あとは興味のない読者としては日記読んでもしょうがなく。ルチャドーラを描くキューバ旅行記くらいかな、読みどころは。
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好きな作家さんなんだけど、コレ読んじゃうと、ただのおばさんなんだけど。。。いや、さすがに一見、シャープな感じはするのですが、よぉーく考えたら、アタシがっアタシがっって感じのオバチャンなのら。
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もっと自作についての語りが読みたかったです。やっぱりエッセーって苦手…みんな自己主張強すぎ。
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1/9 エッセイというよりは作家のノートを覗き見しているような。どこまでも「作家」の部分しか出してないことに驚いた。
あと消費されるってつらそうだな、と。
桐野夏生はかっこいいっす!
著者プロフィール
桐野夏生の作品
