ハプスブルクの宝剣 下 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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レビュー : 18
  • Amazon.co.jp ・本 (471ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167604028

感想・レビュー・書評

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  • ユダヤ人としての自分と決別し、オーストリア人として周囲に認めさせる為、あらゆる困難を乗り越えた。しかし、己の家族を捨てきれない自分の中に結局はどこまでいってもユダヤ人でしかない自分に絶望する。そして絶望の淵から救ったのは、ユダヤ人の未来の為に役立ちたいという考えだった。

    幸せの青い鳥はすぐそこにいた。しかし、青い鳥を探す為に経験した全ての事は無駄ではなかった。涙。

    このユダヤ人の主人公は勿論架空の人物なのだろうが、それを実際の歴史に登場させ、さらに不自然さを感じさせないというよりも、むしろこの物語こそが真実なんだと思わせる面白さがあった。秀作。

  • わたしの生きる意味は、ここにあるのだ。

    オーストリアで自分を認めさせる、それがエディの強い野望だった。でも、自分は自分で認められないと、いくら誰から認められても、どこかで折れてしまう。最後にエディは、エリヤーフー・ロートシルトとして自分を認められた。マリア・テレジア時代のハプスブルクを舞台にしているけど、ひとりの青年のアイデンティティー確立の物語。

    “ユダヤ”とのつながりを断ち、自分を認めさせるという野望に心焦がして生きてきたエディだけど、それでも家族のことは切り捨てられなかった。ずたずたになって、死へと急ぐエディを救いあげたのは、ケーフェンヒラーとバチャーニの遺志。そして、彼の新たな生きる意味をもたらしたのは、始まりだったドイツ語訳の律法とそれの大切さを伝えてくれた少女オルガ。生きる意味を手に入れたからこそ、エディはカロリーネの銃弾を受け入れる。エリヤーフーとして生き直す、“ユダヤ”とは自分の故郷、ようやくエリヤーフーは自分を認められるようになった。

    最後、エディの生死は明らかになっていない。でも、生きていても死んでいても、私は満足。だってエディは自分の「生きる場所」を見つけたから、この続きは語られなくていい。

    エディがユダヤ人ではないと知って、有頂天になるテレーゼ。政治的には習熟しても、恋には少女のままなこの愚かさが彼女の魅力。エディの拒否を受けてから、撃たれたエディを案じる皇太子との会話までに、彼女の心がどのように変わったか。彼女はその人自身を見ることの大事さ、自分の縛られていた古い慣習の愚かさに、ようやく向き合ったのだろう。多分、彼女はすべてを静かに受け入れていたフランツの愛の深さにも気付いたと思う。

    やっぱり、登場人物がイケメンぞろいでそういう意味でも楽しいですね。カタカナがダメな人は辛いかもしれないけど、騙されたと思ってトライしてほしい。

  • 前巻に続き一気に読むことができた。テレジアのエドゥアルトへの仕打ちが一層きつくなり不憫になるが、揺らぎながら主君への忠義を貫く熱い想いに感動!!文句なしに面白い作品だった。残りが少なくなるにつれ物語が終わってしまうのが残念と思える作品は久しぶりである。

  •  最初の頃に提示されていた情報が意外な伏線になっているのに気付いた時は非常に驚いた。エドュアルトが当初望んでいた救いを手放して、ユダヤの教えに戻るという展開はとても納得できるものだった。
     ただ、もっと大勢の人物が恋愛関係に絡んでくるかと思えば、エドュアルト、テレ―ぜ、フランツに終始されていたのは残念に思う。
     物語は主人公エドュアルトの苦役から回心までを描いている。史実を基にしたものとしては粋を極めた名作である。細かい点まで調査されたストーリーは決して読者を飽きさせはしないだろう。今後はこういったジャンルにも手を出してみたくなった。
     果たしてエリヤーフーは最後どうなったのか。個人的にあれはガンジーの死を思い出させる死に方のため、私としては非常に気になってしまった。

  • ハプルブルグ家。欧州随一の大帝国を背負う女帝マリア・テレジアに対して野心をかけて立ち向かうのはプロイセン王国のフリードリヒ大王。オーストリア継承戦争と呼ばれる欧州大乱の時勢にユダヤ人の主人公はどう関わってゆくのか?その先に待っていたのは・・・・・・これも『ブルボンの封印』と同じくその物語の終わりの先を知っているからこの終わりはものすごく切ない。

  • 結末のもっと先を知りたくなるけど、この終わり方でたぶんいいのだと思う。

  • 上下と共に読み終わりましたが、ヨーロッパ史があまり分からない人にも楽しんで読める内容だと思います。最後の展開にはビックリしてしまいました。そして、主人公の生死は暈されているので、読者は様々な続きの想像ができるのではないかと思います。

  • 楽しかったです。こういうのを書かせたら、やっぱり藤本ひとみは最高だなーと思いました。

  • ※上巻でまとめて

  • 最後がな~~。という感じですけど。架空の人物とこうも織り交ぜられるのはすごいと思いましたが。

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著者プロフィール

藤本 ひとみ(ふじもと ひとみ)
1951年、長野県生まれの作家。西洋史への深い造詣と綿密な取材に基づく歴史小説で脚光をあびる。フランス政府観光局親善大使。
国家公務員として厚生省に勤務し、その後は地方公務員に。兼業で少年・少女漫画の原作を手がけて、1984年集英社第4回コバルト・ノベル大賞を受賞。1992年に西洋史、犯罪を主題とした小説を描き始める。『侯爵サド』『ジャンヌダルク暗殺』で第19回および第23回吉川英治文学新人賞の最終候補。
ほかの代表作に、『新・三銃士』『皇妃エリザベート』『ハプスブルクの宝剣』『王妃マリー・アントワネット 華やかな悲劇のすべて』など多数。

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