- Amazon.co.jp ・本 (471ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167604028
感想・レビュー・書評
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ユダヤ人としての自分と決別し、オーストリア人として周囲に認めさせる為、あらゆる困難を乗り越えた。しかし、己の家族を捨てきれない自分の中に結局はどこまでいってもユダヤ人でしかない自分に絶望する。そして絶望の淵から救ったのは、ユダヤ人の未来の為に役立ちたいという考えだった。
幸せの青い鳥はすぐそこにいた。しかし、青い鳥を探す為に経験した全ての事は無駄ではなかった。涙。
このユダヤ人の主人公は勿論架空の人物なのだろうが、それを実際の歴史に登場させ、さらに不自然さを感じさせないというよりも、むしろこの物語こそが真実なんだと思わせる面白さがあった。秀作。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
キリスト教守護者である神聖ローマ帝国女王マリア·テレジアとユダヤ人エデゥアルトとの愛憎、テレジアの夫フランツ·シュテファンとの友愛、3人を取り巻く18世紀の列強国による目まぐるしい情勢変化が物語の振幅を最大にしていきます。
細部に描かれたユダヤ人の記述は、今のパレスチナイスラエル問題、世界の至る場所でのユダヤコミュニティに通じるものがあり興味深いです。
人間と宗教との関係を考えさせられる作品です。 -
激動の主人公の人生がダイナミックに描かれる。
フランツとの変わらぬ友情に癒された。
途中の政治情勢を記す語り口が堅く、ところどころ読みにくいが、主人公の行動を描く描写は生き生きとしている。
終わり方はなかなか素敵だった。 -
前巻に続き一気に読むことができた。テレジアのエドゥアルトへの仕打ちが一層きつくなり不憫になるが、揺らぎながら主君への忠義を貫く熱い想いに感動!!文句なしに面白い作品だった。残りが少なくなるにつれ物語が終わってしまうのが残念と思える作品は久しぶりである。
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最初の頃に提示されていた情報が意外な伏線になっているのに気付いた時は非常に驚いた。エドュアルトが当初望んでいた救いを手放して、ユダヤの教えに戻るという展開はとても納得できるものだった。
ただ、もっと大勢の人物が恋愛関係に絡んでくるかと思えば、エドュアルト、テレ―ぜ、フランツに終始されていたのは残念に思う。
物語は主人公エドュアルトの苦役から回心までを描いている。史実を基にしたものとしては粋を極めた名作である。細かい点まで調査されたストーリーは決して読者を飽きさせはしないだろう。今後はこういったジャンルにも手を出してみたくなった。
果たしてエリヤーフーは最後どうなったのか。個人的にあれはガンジーの死を思い出させる死に方のため、私としては非常に気になってしまった。 -
ハプルブルグ家。欧州随一の大帝国を背負う女帝マリア・テレジアに対して野心をかけて立ち向かうのはプロイセン王国のフリードリヒ大王。オーストリア継承戦争と呼ばれる欧州大乱の時勢にユダヤ人の主人公はどう関わってゆくのか?その先に待っていたのは・・・・・・これも『ブルボンの封印』と同じくその物語の終わりの先を知っているからこの終わりはものすごく切ない。
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結末のもっと先を知りたくなるけど、この終わり方でたぶんいいのだと思う。
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楽しかったです。こういうのを書かせたら、やっぱり藤本ひとみは最高だなーと思いました。