侯爵サド (文春文庫)

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レビュー : 14
  • Amazon.co.jp ・本 (459ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167604042

感想・レビュー・書評

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  • あまり期待せずに読み始めたら…面白いではないですか!そうか…この人が『サド』という言葉の語源なんや…勉強になりました!

  • 「今までに、おまえの草地の奥の祭壇に、貢物を捧げた者はいるか」

    侯爵サドの晩年の物語。サドは、悪人か性の先駆者か、常人かを判決する(本人を交えての)裁判の話。

    かたっくるしくはなく、分かりやすい文章で、サドのこれまで犯した犯罪が審議されていく・・・
    始めの方は、サドの傲慢さ、変態さが滲み出てて気分が悪かった。
    それでも、サドの言葉選びが可笑しく(上のセリフとか)笑ってしまう。
    散々ロマンチストになりきり、悪人を装い、弱者として涙を誘っておきながら、ツンデレで、ナルシストで、創造力が欠け、すぐ快楽などなど。
    もうダメだ、この人っ!

    サドの話なんだけど、最後のクルミエの計算高さにはヤラレタ。コラールのちくしよーっ!!!!という心の声が聞こえてきそう(笑)。このクルミエとコラールの勝負も見所の一つ。

    藤本ひとみ氏の文章だからこそ、面白く読めたと思う。
    人間味があって、よかった。

  •  マルキ・ド・サドは晩年、精神病院で治療を受ける。彼が起した事件は有罪なのか無罪なのか、裁判所は治療続行を主張する病院の理事長とサドを再び牢獄へ送ろうとする医院長の主張に耳を傾ける。マルキ・ド・サドはどこにでもいる変態おやじに成り下がり、カリスマ性がどんどん失墜していく。現実とは読者が期待するほどの盛り上がりを見せることはない。妄想の世界は果てしなくマルキド・サドを魅了するのだ。

  • 最後の親子対決に痺れた!

  • 1808年、パリのシャラントン精神病院に侯爵サドはいた。
    侯爵サドはすでに晩年を迎えていたが、忌まわしい放蕩と生体解剖を繰り返してきたという醜聞にまみれており、院長コラールはこの厄介者を犯罪者と認定して牢獄に送り込もうと考えていた。
    一方、理事長のドゥ・クルミエは、侯爵サドを患者として病院で治療する必要性を主張した。かくして侯爵サドの処遇を決定するため、パリ警視庁から調査団が派遣され、過去の事件についての審問が始まった。
    いわゆる法廷小説は、今まで面白いと思ったものがなかったので、ちょっと警戒していたが、これはなかなか読み応えがあった。特に後半、調査団に紛れ込んだダニエル・サブロニエールがこの作品に果たす役割は大きい。人情派(?)ともいえる理事長のドゥ・クルミエの人物造型も気に入った。

  • サド侯爵は憎らしいのですが、憎めないという魅力的なキャラクター。
    どうしようもない侯爵の回想を通しながら、ぐいぐいと引っ張られてしまいます。サドの娘がどうなったのか、気になる終わり方でした。

  • サド侯爵の審問会にて、当時の記録と振り返る本人の供述という構成。本人の言い訳になってない供述はともかく、クルミエのフォローはそれなり。諸々のセックス描写が比喩多用で、これも面白かった。しかしあまりのご乱交ぶりに段々辟易としてきた。彼は罪人か病人か。ダニエルの最後の糾弾が心地いい。相手を貶めることで自分を優位に保つことの、繰り返し。反復、もしくは反転するSとM。

  • [要旨]
    「私の顔の上に座っておくれ」十一歳の恋人マドレーヌに侯爵サドは言った。シャラントン精神病院で放縦な生活を送るサド。病院での治療を主張する理事長クルミエと、牢獄へ送ろうとする院長コラール。サドは、はたして狂人か犯罪者か性の先駆者か。その生涯と驚愕の真実を法廷サスペンスの形で明らかにする。

  • フランス革命期に生きたサドには誤解があるようだ~サド家は麻と布の商人で豊かになり,13世紀に伯爵位を授けられ祖父の代にアヴィニョンで侯爵となったが,爵位継承の費用が嵩み,1763年10月妊娠している淫売を相手に金貨2枚で肛門性交を望み聖体を汚したが,むちを使えなかったため金貨1枚に値切って告発されたが,新婚間もない義母の根回しにより15日の拘留で済んだ。1768年4月復活祭の日,パリ郊外のアルクイユで鞭打ちでなければ刺激を感じないサドは鞭を打つたびに軟膏を塗ってやるが,逃げ出して訴え,2400リーブルで示談となった。1772年6月年貢の手形を換金しよとマルセイユに出たサドと下男は,女三人を呼んでその立場を入れ替えて,鞭打ち・肛門性交・男色を試み,ボンボンに毒薬を仕込んだと訴えられ,逃亡中の1774年11月,15歳前後の少年一人少女五人を雇い,乱交を繰り広げた。その中に妻も加わっていたが,相手が女体陵辱と解剖に明け暮れているという噂のサドだと知った親が騒ぎ出し,義妹との果てに逮捕され,11年を牢獄生活を送った。革命により解放された後も,精神病院に押し込められ,執筆に専念する。理事長はこのままの状態を続けさせたいが,院長は牢獄へ送りたい,サド自身は趣味嗜好の問題でキリスト教的な倫理に疑いを持っているだけだと主張する~サドは只の変態か,犯罪者か,精神病患者か。今なら金持ちの只の変態で経験したことしか描けない二流の作家という処だ。すべての行為が合意の下だというが,18世紀の常識で考えると社会的に許さる線引きを越えている罪深い行いとなり,脅すには適当な相手ということになる。鞭打ち・男色・肛門性交は今も世界共通の後ろ暗い行為となっているだろう

  • 有名すぎるマルキ・ド・サド氏ですが、私は彼の著書も伝記も読んだことがないので、その上で語ります。

    表現が表象的で耽美です。(言ってる中身はえげつないので美しくはないのですが。)女性ならではという感じ。こんな文章書く男は三島っちしか知りません。
    あとは、几帳面な構成の仕方をされるかただなと。この作品には合っているし、何よりこういう書き方は私は生理的に好みです。(小説の出来としてではなく、あくまで生理的に)
    終盤に起こる爆発の鮮やかさが際立っていて、これが読後カタルシスか!
    ただの伝記でなく、物語として面白い作品でした。

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著者プロフィール

藤本 ひとみ(ふじもと ひとみ)
1951年、長野県生まれの作家。西洋史への深い造詣と綿密な取材に基づく歴史小説で脚光をあびる。フランス政府観光局親善大使。
国家公務員として厚生省に勤務し、その後は地方公務員に。兼業で少年・少女漫画の原作を手がけて、1984年集英社第4回コバルト・ノベル大賞を受賞。1992年に西洋史、犯罪を主題とした小説を描き始める。『侯爵サド』『ジャンヌダルク暗殺』で第19回および第23回吉川英治文学新人賞の最終候補。
ほかの代表作に、『新・三銃士』『皇妃エリザベート』『ハプスブルクの宝剣』『王妃マリー・アントワネット 華やかな悲劇のすべて』など多数。

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