死神 (文春文庫)

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  • 文藝春秋 (1999年10月8日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784167605032

みんなの感想まとめ

地方都市の社会福祉事務職員たちの奮闘を描いた作品は、日々の問題解決に向けて尽力する彼らの姿を通じて、現代社会の厳しさと人間の強さを浮き彫りにしています。短篇連作の形式で、ケースワーカーが直面する「弱者...

感想・レビュー・書評

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  • 福祉事務所をめぐる事件の数々。
    作者が勤務していたこともあるので、機密の漏洩にならないことに気をつかったとのこと。
    なら書かなきゃいいのにと思いながらも読み進んだ。

    それで何が言いたかったのだろう。
    まだ分からない。

  • 自立していくだけの職(金)も、支え合える人との縁も無い人間に残された、セーフティネットという最後の救いの糸。
    利用して這い上がる者もいれば、漫然と寄りかかるだけの者もいる。誰かがどれだけ口を出そうが、手を差し伸べようが、どう生きるかは本人しだい。誰かの善意に救われたり、あるいは勝手に立ち直ったり、いろいろあるけれど、人間は何だかんだ生きてゆくのだな、と思わされる。その中でも「死神」の編はただ一つ、人の弱さとかやりきれない思いに満ちていて、ハッとさせられる物語だった。
    踏ん張るべき時を逃すとは、こういうことか。

  • 花道と選手交替が印象深い。
    なんだかリアルだな。人間は強いと思える内容だった。どちらも弱いんだか強いんだかわからない人間が出てくるから面白かった。

    特に綾は流されやすくて断れなくて甘ったれてるけど顔が良くて若いから男性を頼って生きていく感じがすごいリアル。周りにこのタイプの人がいないけどいっぱいいそうだなと思った。

  • 36441

  • 市の福祉事務所のケースワーカーの連作短編 8つの話
    一応解決するけれど、その後は大丈夫なのか?と思うような終わり方
    『花道』はイラッとする人が多かった男に寄生して生きていく綾。ひょんなことから、ケースワーカーの赤倉は自分のダンナを綾に取られてしまう、でも、結局赤倉のダンナの仕事が危うくなると、働き始めた先の経営者に乗り換えられ…という情けないダンナ 現実に綾みたいな強かな女、そんな女に良いように利用されちゃうおパカな男いるよなぁ

  • 地方都市の社会福祉事務職員たちの奮闘記。最後の助けとなるべく、日々の問題解決にまい進する職員たち。しかし難問山積、解決の糸口さえ見つからない。無気力感に苛まれながらも職責を果たすために最善を尽くす。そんな彼らの姿に勇気をもらえる。

  • ケースワーカーと、行政に保護される人たちの物語。殴られても夫を愛する女性。人をだまし続けた女詐欺師。かつて10代の少女たちを魅了した女性作家の落ちぶれた姿。人の心の内なんてわからない。でも、皆必死に生きている。

  • 生活保護の実態を、小説として書き上げています。短編。

  • 福祉事務所のケースワーカーを題材にした短編集。各作品で様々な役職の職員を主人公に、人生の悲哀を描くのだが、そこは篠田節子だけあって、ウェットに絡みつくような憎悪や恐怖を混ぜ込んでくる。

    最初の作品の書き出しから、「死体を見るのも慣れっこ」という感じで始まるが、全体にそういうシーンはないので問題なし。

    とはいえ、必ず自分の人生に巻き込まれてくる焦燥感と恐怖が、それぞれの作品にコンパクトに収められている。また、出てくる人物のキャラクター付けもしっかりなされているので、人物の混乱もほぼ無い。

    難を言えば、「弱い女性」「横暴な男性」「ふらふらしている水商売の女性」みたいな、ステレオタイプの社会観が多いこと。

    とはいえ、読みやすい短篇でも有り、篠田節子の入門にもぴったりな、よく出来た本である。

  • 再読
    福祉課のケースワーカーたち

  • 生活保護を受ける人と、それを受給させる人たち、またその人たちの仕事空間でのやりとりをうまく描いている作品。
    落ちていく人たち。それを見ている人たち。さまざまな人の視点を入れて短編小説をうまくつなげて書いてある作品

  • 2013 4/24

  • 福祉課のケースワーカーの人とそれに関わる人たちの話。短編でなりたっている。

  • 福祉事務所のケースワーカーたちの事件簿。といっても、殺人や窃盗などを扱うミステリーではなく、あくまで福祉事務所が扱う「ケース」の人々をめぐる話。女性の強さ、こわさを感じた。

  • ケースワーカーという仕事がこんなにも大変でこんなにも深いものとは。
    世の中には、こんな生活をしている人もいるということを知った。日々を大切に仕事ができる喜び生活を苦がなくできることへの感謝を忘れずに生きて行こうと思う。

  • 福祉事務所に勤めるケースワーカー、彼らが担当する様々なケースたち。

    虐待、家庭問題、アル中、浮浪者etc・・・
    単語を見ると、新聞で目にすることだって珍しくない。

    けれどそれらにはみんな、個別の背景があって。
    「社会的弱者」が、必ずしも弱いわけじゃないし、ケースワーカーだってそんなに強くない。
    登場人物が、「人間」っていう同一線上で描かれている。

    実習で生活保護世帯の人たちと接するようになってから見えてきた世界が、この小説からも少し垣間見れた気がします。

    それが単に綴られてるのではなく、フィクション小説として織り上げられてる。素敵な織物のような小説でした。

  • 福祉事務所に勤務するケースワーカーたちが、様々な生活問題を抱えた社会的弱者たちを目の前にし、一筋縄ではいかぬ救済劇を描いたお話。
    生活保護の業務は、福祉の中でもひときわ「救済」や「措置」といった色が濃い。どうにかして最低生活を保障しなければならない、そんな状況で、個別ニーズを解消し、その人に適した方法でより良い生活を、などという文句はどの程度成り立つものなのだろうと考えさせられる。
    何をもって幸せというのか、その行きつく先は人によって各々である。そして、それを追い求める自由をたいていの人間は持っている。
    しかし、生活保護の場合、幸せや充実の追及とは程遠い、死なないための措置、まさにセーフティネットと呼ばれる最低ラインの保護であり、その最低ラインに立つためには、自らの「生きる」ための努力が欠かせない。
    望むように過ごすことと「生きる」こと、その二つが一致しない社会的弱者たちの苦悩。
    その現実を誰よりも知りながら、被保護者のために措置による保護を繰り返していくケースワーカーたちの苦悩。
    その情景が鮮明に描かれれば描かれるほど、その苦しさは想像もつかないようなものに感じられてくる。

  • 社会福祉のケースワーカーが遭遇する様々なケースを扱う。
    「死神」を含めた8つの物語で構成される。
    生活保護を認定される人々の話なので、
    そこに至るまでに確実にドラマがある。
    そうした人々のそれぞれの人生と、
    ケースに対峙する役所の人間の感情の機微を描いているのが面白い。
    人間の生き方について、改めて考えさせられる。

  • 短篇の連作。ケースワーカーが遭遇する「弱者」のあれこれ。
    重く、時に滑稽で、身も蓋もなくて。でも最後の一編には、したたかな希望を感じます。
    読むのに少々エネルギーが要りますが、時々無性に読みたくなる作家です。

  • 作者のバックボーンが強く反映されていて解説にも会ったが弱いものの味方でいたいという視点の読者の方にはいいだろうけど自分には少々綺麗過ぎた。この作者にはリアルで妙にグロテスクなホラーを書いてほしい

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著者プロフィール

篠田節子 (しのだ・せつこ)
1955年東京都生まれ。90年『絹の変容』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。97年『ゴサインタン‐神の座‐』で山本周五郎賞、『女たちのジハード』で直木賞、2009年『仮想儀礼』で柴田錬三郎賞、11年『スターバト・マーテル』で芸術選奨文部科学大臣賞、15年『インドクリスタル』で中央公論文芸賞、19年『鏡の背面』で吉川英治文学賞を受賞。ほかの著書に『夏の災厄』『弥勒』『田舎のポルシェ』『失われた岬』、エッセイ『介護のうしろから「がん」が来た!』など多数。20年紫綬褒章受章。

「2022年 『セカンドチャンス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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