神の座 ゴサインタン (文春文庫 し 32-6)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (655ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167605063

作品紹介・あらすじ

豪農の跡取り、結木輝和はネパール人のカルバナと結婚したが、両親が相次いで死に、妻の奇異な行動で全財産を失う。怒り、悲しみ、恐れ、絶望…揺れ動き、さまよいながら、失踪した妻を探して辿り着いた場所は神の山ゴサインタンの麓だった。現代人の根源にある、魂の再生を力強く描く第10回山本周五郎賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 豪農の跡取り・結木輝和は幾度もの見合いの失敗の末、ネパール人のカルバナと結婚した。
    日本語の覚えも悪く意思疎通もままならぬ生活の中、相次いで両親が死に、妻の奇異な行動で全財産を失うーー
    何かが“降りた”ように流暢な日本語を話し、人々に施し癒やしを与えるカルバナ。
    怒り、悲しみ、恐れ、絶望……揺れ動き、さまよいながら、失踪した妻を探して辿り着いた場所は神の山ゴサインタンの麓だったー

    第10回山本周五郎賞受賞作。



    今の感覚だと、序盤の嫁取りのあたりは書かれて出版された時より数段気持ち悪いと思う-
    金で貧国の処女を嫁にして、本名が聞き取れない発音出来ないからと若い頃想いをよせていた同級生の名前をつけ、義理の父親の介護と畑仕事をさせるとか。
    それが日本の田舎で、多少であれ、本当にあったことだと思うと…

    輝和の両親が亡くなった後、急激に衰退していく結木家は怖かった…
    神がかったカルバナがオカルティックなのも、それを崇める人々も、施しや儲けの気配に群がる人々も。
    輝和がなすがまま、破綻するのが見えてるのに
    傍観者ぽいのがまた。
    五千万で終わると考えてたんだろうけど、読んでるこちらもまさかの転落ぶりが…

    全てを失って(助力者がいるので全てではないか…)大切なものが見えたのね。

    風水や断捨離、ミニマリストに通じるものがあるような気がする。


    買って5ヶ月は積んであったけど、読み始めると3日で読み終えました-
    気持ち悪いとか怖いとか思っても気になってグイグイ先にいってしまった。
    やっぱり読書は面白いな-と思いました。スマホに時間泥棒を許すのもほどほどにしたい。

  • 篠田節子ブームの中で読んだ、たぶん初の長編。

    長いけど、一気に読めます。
    読んでから、だいぶ時間経ってるので、登場人物名とか
    キレイさっぱり忘れちゃってますが。

    地方の農村の旧家の跡取りが、発展途上国(ネパール?)から
    嫁さんを「買って」くるところから始まる、
    なんだろう、破壊と再生の物語なのかな。

    この買われてきた嫁さんが、この旧家を滅ぼしていくんですよ、
    なんか、神がかり的な力を得て。

    「買った」はずの姑や旧家の次男(長男は海外在住で家督放棄)が
    次第に従属する立場になり、ついに土地家屋財産全て擲って
    帰国した嫁を追って、ネパール?に行っちゃう。

    この文庫版の表紙の神の山に象徴されるような、なんというか
    神々しい、祝福された再生のイメージで物語は終わります。

    途中の旧家が滅ぼされていく過程や、主人公の跡取りが転落?
    没落?していく様子、ネパールに入ってから辛酸をなめる様子、
    なんか、「ざまあぁぁぁ!!!」ってかんじで、爽快でした。

    私が女だからかな。

    いろいろ社会的な問題点とか、提起されているのかもですが、
    そんな構えなくても、ごく下世話に読んでも楽しかったです。

    他人の不幸は蜜の味。

    でも、これはハッピーエンドですよ。

  • とっても面白かったんだけど、あれとかこれとか結局なんだったんですかー!?って気持ちがぬぐえない。

  • ガサインタン(神の座)。
    これでもか、これでもかとたたみかける不幸と悲惨な状態。

    いいかげんに、よしにしてくれと思うけど容赦が無い。
    ひょっとしたら男性が読むのを拒否しているのかと思った。

    結末まで来たら、なんだ、そんなことかとがっくりきた。
    目的のためには手段は選ばないという言葉がある。

    故郷に帰るという意図を掴めないまま、終わりまで来た。
    国際交流ってこういうことかと納得した。

  • 久しぶりに読み終わったあとに「感動した…」と思った小説です。
    男尊女卑でマザコンで自分で考えない偏見に凝り固まったまじでクソな輝和が、だんだん成長していき、最後は全てを投げ出すことを自発的に決めてカルバナに求婚する。
    人は幾つになっても変わることができるなぁと。
    輝和はカルバナを追ってネパールに来てからもまだあまちゃんで、残りのページ数1割しかないって読者が心配しだすあたりから一皮むけだし、物語もめちゃくちゃ引き込まれる展開になり、胸熱でした。
    まさか飼い猫の死からこんなとこまで連れてこられるなんてという思いです。
    篠田節子さんの筆力に脱帽。

  • 6月-18。3.0点。
    農業を営む地主の次男が主人公。家を継ぐが、嫁不足のためネパール人女性達と集団見合い。
    結婚するものの、不思議な減少が続き、妻は家出してしまう。

    前半は主人公のまごつきと、嫁の不可解な行動でなかなか読み進まず。後半は一気読み。
    ラストは良かったね。

  • 山本周五郎賞

  • 篠田節子さんの本を読みあさって何冊目か。チベット辺りの宗教的な内容と、何もかも失って行く、追いつめられて行くような定型パターン。
    「弥勒」と似ている感じもするし、「仮装儀礼」にも似ている気がする。
    そして私は今回の物語は最終的には純愛じゃないかなと解釈した。

    ちょっと違うパターンも読んでみたいものです。

    当分、篠田さんはもういいかな。
    激動のストーリーにちょっと疲れました。

  • 大きな農家の長男が、ネパールの女性と結婚します。
    この男、最悪です。仕事と周りとの付き合いなどはこなしますが…妻の出身地ネパールがどこにあるのかも分からず、妻の気持ちなど考えず腹が立つこと間違いなし。
    彼女がそうなったのは、素質もあったのでしょうが、追い詰められたからだと思います。

    この話はどこにむかってるんだろう?どうするつもりだろう?と思いつつ読んでいきました。
    最高は、どこにあるのかも分からなかった地。

  • 厚い本だがあっと言う間に読めた。暗い話だが展開が早く、飽きない。ネパールに行きたくなった。

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著者プロフィール

篠田節子 (しのだ・せつこ)
1955年東京都生まれ。90年『絹の変容』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。97年『ゴサインタン‐神の座‐』で山本周五郎賞、『女たちのジハード』で直木賞、2009年『仮想儀礼』で柴田錬三郎賞、11年『スターバト・マーテル』で芸術選奨文部科学大臣賞、15年『インドクリスタル』で中央公論文芸賞、19年『鏡の背面』で吉川英治文学賞を受賞。ほかの著書に『夏の災厄』『弥勒』『田舎のポルシェ』『失われた岬』、エッセイ『介護のうしろから「がん」が来た!』など多数。20年紫綬褒章受章。

「2022年 『セカンドチャンス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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