白仏 (文春文庫 つ 12-2)

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  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (299ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167612023

感想・レビュー・書評

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  • 他人の走馬灯を見ているわけだが、これは私の走馬灯なのではないかと錯覚する感覚に陥る。そのくらい読者自身が『死』をすぐそばに感じることができる。文章自体の読みやすさやストーリーの展開はもちろん良いのだが、構成のおかげもあって何度でも無限に読み直せる形になっているところが良い。

  • 生きることと死ぬことを、本当に興味深く考えた。
    静かな感動がずっと残る。
    すごくいい。

  • 生きるとは忘却なのか、全ての人が直面する死とは何か。
    その人を構成していた、存在を織りなしていた本質は、肉体なき後どこへ向かうのか。
    人は死から逃れることができないからこそ、向き合わざるを得ない問い掛けの数々。
    久々に、すぐに自分の中で思いをまとめられない本と出会った。

  • 今思えば何でこれにしたのか
    よく分からないけど
    卒論のテーマにした作品

  • 主人公稔は幼少期から人間の死を通して、死と生に対しする思考を続けた。


  • 人骨をまとめて白仏にするなんて…
    宗教的に許されることなんでしょうか?
    生きてた時には一個人として存在していたのに。俺は死んでも俺だけでありたいってのはエゴ?
    でも愛した人と一緒になれるなら…いいかな?

    緒永久さんの死の真相を知った時は…
    やるせなかった、許せなかった。

    生と死についてずっと考えてきた稔さん。
    作り話ではあるものの、あの世で緒永久さんに
    再開できるといいなって心から思います。

  • 白仏という考え方、なんかいいなと思った。

    戦時だから思いついたことなのかなと思う。

    これが事実に則した物語というのも、納得。
    リアリティがある。

  • 死は誰にも訪れる。生のそばに常に死がある。


    「鵲」と云う鳥がどうも気になる。現地ではどういう取られ方をしてるんだろう、吉凶で言えば。

  • 初めて読んだ辻仁成だったが、意外と文章にクセもなく、とても読みやすかった。
    この話が自身の祖父の体験をテーマにしているというのも驚きだが、命の終わりの走馬灯による人生の追体験は、死という前提を含んでいるというだけに、どこか切なさを感じさせる。
    一冊を通して溢れている島の方言に人情味があり、終始和やかな気持ちで深いテーマに触れる事ができる良書だった。

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著者プロフィール

東京生まれ。1989年「ピアニシモ」で第13回すばる文学賞を受賞。以後、作家、ミュージシャン、映画監督など幅広いジャンルで活躍している。97年「海峡の光」で第116回芥川賞、99年『白仏』の仏語版「Le Bouddha blanc」でフランスの代表的な文学賞であるフェミナ賞の外国小説賞を日本人として初めて受賞。『十年後の恋』『真夜中の子供』『なぜ、生きているのかと考えてみるのが今かもしれない』『父 Mon Pere』他、著書多数。近刊に『父ちゃんの料理教室』『ちょっと方向を変えてみる 七転び八起きのぼくから154のエール』『パリの"食べる"スープ 一皿で幸せになれる!』がある。パリ在住。


「2022年 『パリの空の下で、息子とぼくの3000日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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