白仏 (文春文庫 つ 12-2)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (299ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167612023

感想・レビュー・書評

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  • 白仏という考え方、なんかいいなと思った。

    戦時だから思いついたことなのかなと思う。

    これが事実に則した物語というのも、納得。
    リアリティがある。

  • とても深いテーマを扱っていると思います。ただ私には、細部の説得力が欠けているように感じられました。戦場での体験、緒永久との関係、隼人の死、稔の既視感や倫子の輪廻など、様々な要素が稔にどのように影響して白仏製作という形で結実したのか。これだけ読みやすく書かれているので、表面的には分かりやすい…と思いますが、お腹の底のほうでピンとこないものがありました。
    もっと各要素が掘り下げられた大作のほうがよかったのかもしれません。ただそれでも、戦場での体験に関しては戦後生まれの理解を超えているのではないか、書くには限界があるのではないかという気がしました。

  • 命あること、死ぬことについて諄々と描かれている。シベリアでの戦いで敵兵を殺めてしまうことがどれだけ心の傷となったか罪はどう罰せられたのか。既視感が多いのにも注目した

  • 学期休みに読んだ本の一冊。実話ベースの話だとは、読んでる間、一度も想像しなかった。白仏も実在してるとは…。

  • 辻さんの実祖父がモデルとなり事実に則しながら、
    創作も入れつつの作品。
    最近歴史物作品を読む機会が多く、自分にも祖父母が健在だったらいろいろな話を聞いてみたかったと思う。

  • 一人の人間の人生を追う作品。どうのような人生が、白仏(人の骨で作られた仏像)を生んだのかを描いた作品。事実に基づいた作品だったかもしれません。

  • フランスで賞をとったらしい本作。祖父をモデルに書かかれている。「死」とは「生」とは何かをずっと考えながら送る人生を、結果として「白仏」を作り上げることで答えを出した主人公。おとわしゃん他関わる人たちの死とその死に対面して生き続ける主人公の苦悩が辛い。筑後の方言バリバリなんで、九州以外の人はちょっと読みにくいかな?

  • 辻 仁成はあまり好きな著者ではないけれど、帯にフランスで賞を取ったと書かれていたのでついつい買ってしまった一冊。
    内容だけ考えると「?」かも知れないけれど、情景描写がピカイチ!引き込まれて行った美しい内容。

  • 最後の解説で、辻一成の祖父がモデルになっていることがわかった。
    フランスでも話題になったらしい。
    既視感、前世、死んだ後人はどうなるのか、
    途中、怖いと感じたところもあったけど、読んだ後すっきりする一冊だった。
    前世は、きっとあると思う。日本に帰ったらお墓参りに行こう。

  • 過去と現在と未来を繋ぐ、生と死の世界を超越する白仏の像。人はどこから来て、どこへ行くのか。人間の至上命題であるこの問いに、生と死を通奏低音に奏でる。生の実感。死は敗北ではない。読み終わった後には、死に対する安らかな気持ちが芽生えることだろう。逆に、生きることの喜び、生をかみ締めることのすばらしさを体感できる。

著者プロフィール

東京生まれ。1989年「ピアニシモ」で第13回すばる文学賞を受賞。以後、作家、ミュージシャン、映画監督など幅広いジャンルで活躍している。97年「海峡の光」で第116回芥川賞、99年『白仏』の仏語版「Le Bouddha blanc」でフランスの代表的な文学賞であるフェミナ賞の外国小説賞を日本人として初めて受賞。『十年後の恋』『真夜中の子供』『なぜ、生きているのかと考えてみるのが今かもしれない』『父 Mon Pere』他、著書多数。近刊に『父ちゃんの料理教室』『ちょっと方向を変えてみる 七転び八起きのぼくから154のエール』『パリの"食べる"スープ 一皿で幸せになれる!』がある。パリ在住。


「2022年 『パリの空の下で、息子とぼくの3000日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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