ピアニシモ・ピアニシモ (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2010年3月10日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (384ページ) / ISBN・EAN: 9784167612061

みんなの感想まとめ

テーマは、曖昧さに満ちた現代社会の中での自己探求と成長を描いた物語です。主人公トオルの視点を通じて、学校や家庭、友人、異性との関係が絡み合い、やるせない青少年の心情が浮き彫りになります。灰色の世界観が...

感想・レビュー・書評

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  • ー 口答えしちゃだめだな。君はまだ灰色の本当の恐ろしさを理解できてない。隠しきれないのではなく、そもそも灰色というものは隠すことが出来ないものなんだよ。どこにも隠すことが出来ずに、ドンと、そのまま露呈しちゃってるんだ。露呈しているくせに、黒でも白でもないから、誰も見分けられないで、見過ごしちゃってるのが現実さ。

    そこにあるのに見えないってのは、単純に識別できない社会の複雑なコード化の仕業でもある。よく考えてみろ、目を開いて見回してみろ、ちゃんと世界のあるがままを、囚われず自分の耳と目で確かめんだよ。お前が探している世界の綻びなんてものはメじゃない。もっと恐ろしいものがこの世界には堂々と君臨してんだ。ちゃんと見れば誰にでも分かる場所にあるだろ。誰も隠そうとしてねえだろ。そんなへ理屈こねくり回さねえでも、見りゃ、分かるって。大統領や首相や世界中の権力者たち、いや、お前の親や学校の教師や小羊みたいに生きる奴らまでも、全員、見てない。あるいは見て見ぬふりをしてんだ。見てるくせに見ないせいで、世界はわけがわからなくなってんじゃねえか、わかんねえのかよ、このぼんくら。

    隠しきれないもの探しなんてお子ちゃま遊びをして
    いる間に、この愚かな世界はどんどん曖昧なものを量産して、やれ正義のための戦争だとか、愛のための戦いだとか、字面ばかりかっこよくて実際には犯罪すれすれか、それ以上のことをやりやがってさ、でも広告代理店ばりの宣伝力で世界中で灰色を正当化するものだから、何が正しいのかみんな分からなくなってしまって、好き勝手にああでもないこうでもないって無意味な意見ばっかりがインターネット的な感覚でずるずる垂れ流されちゃうわけだろ。 ー

    世界の良いことも悪いこともぐちゃっとごっちゃ混ぜにされた灰色の世界で、厨二病的世界観に冒されたトオルの物語。『インセプション』的世界なので、いろいろな意味を考察すれば面白いのだろうけど、ある日、ふと、思春期は終わる、的な真相が真理なのかもしれない。

  • ファンタジー、ミステリー、学園、恋愛といろいろなカテゴリが満載な物語に引き込まれていきました。特に、恋愛感情を言葉で表すのは容易では語れないのに、本作を読んで「そうそう、そんな感じ」と感心していました。終盤になるにつれ、主人公の心の成長にも本作の魅力があると思います。

  • 解説者野谷文昭氏。分かりやすい。。。

    やるせない青少年の気持ち、学校、家庭、友人関係、異性関係、が混ざり合って、それこそはっきりとした感想文を書くのは難しいけれど、
    でも 読むのは負担ではない。

    前作は主人公にしか見えない少年の存在は彼自身である感が強かったけれど(続き物ではない、別物)
    今回はそう主張するけれど ラストの一文を読む限り
    彼自身ではないのかな??

    不思議な世界観と言ってしまえば終わりだが、合わなくはなかった。

  • デビュー作読んだはずだけど全く覚えてなし。
    こんな重たい話だったっけ?暗いし。

    現実と非現実の境目ってむつかしいね。

    『ピアニシモ』を読み返すか迷うな。。

  • なんだろうこの達成感
    読み終えてホッとしています…

    最後まで世界を理解することに苦しみ、そのまま終わってしまった
    眉をひそめながら読んでいたかもしれない
    ちょっと疲れた

  • 辻さんの作品を初めて読んだのですが、すごく不思議な世界で引き込まれました。
    生きている実感を持てない主人公トオルの姿が今の若者の姿と重なって、無気力な目をしている身近な人の心を覗いた様な気持ちがしました。
    そんなトオルが希望を持つとは‥‥‥
    自分の子どもにも読んでもらいたいと思いました。

  • どこかのレビューで見た、「書きたいことを詰め込んだ作品」という表現が物凄く的を得ていると思う。
    確かに中学生の心理を描いているとすれば、それなりにその年代で抱きそうな所謂心の闇のようなものを書き出すことに成功(良くも悪くも、中学生自身が書いたかのように思える箇所が多数存在)しているようにも思える‥が、にしても読むのがとても大変だった。
    久しぶりに、読書が苦行に思えた作品です。おすすめできません。

  • 最後まで読みきらないともやもやする質なので、無理やり読み進めました。
    読んだ印象としては、好きなシチュエーションをとりあえず全部入れたお話、という感じでしょうか。このエピソードはいらないんじゃないの、この設定にわざわざする必要あるの、なオンパレード。
    ずっとガラス越しに淡々と物語が進んでいくような描写で、結局登場人物の誰の行動にも賛同できませんでした。

  • 2010.03.14 日本経済新聞で紹介されました。

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著者プロフィール

東京生まれ。1989年「ピアニシモ」で第13回すばる文学賞を受賞。以後、作家、ミュージシャン、映画監督など幅広いジャンルで活躍している。97年「海峡の光」で第116回芥川賞、99年『白仏』の仏語版「Le Bouddha blanc」でフランスの代表的な文学賞であるフェミナ賞の外国小説賞を日本人として初めて受賞。『十年後の恋』『真夜中の子供』『なぜ、生きているのかと考えてみるのが今かもしれない』『父 Mon Pere』他、著書多数。近刊に『父ちゃんの料理教室』『ちょっと方向を変えてみる 七転び八起きのぼくから154のエール』『パリの"食べる"スープ 一皿で幸せになれる!』がある。パリ在住。


「2022年 『パリの空の下で、息子とぼくの3000日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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