てのひらの闇 (文春文庫)

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  • 文藝春秋 (2002年11月8日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (464ページ) / ISBN・EAN: 9784167614027

みんなの感想まとめ

テーマは、人生の転機や自己再発見を描いた物語であり、主人公が会社を去る決断をする中で、過去の自分と向き合う姿が描かれています。主人公は、サラリーマン生活には未練がないものの、仁義にこだわり、会長の自殺...

感想・レビュー・書評

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  • 今の時代には合わない部分とか現実味とか言い出したらキリが無いけど、
    おっさんのロマンが詰まっているハードボイルド。

  • 20年前に起きたテレビCMの事故が、二人の男の運命を変えた。男は、もう一人の男の死の謎を解くべく孤独な戦いに身を投じる……

  • 久しぶりの読み直し。
    ダメダメなのに妙に強くて腹のすわりかたが半端なくてかっこいいおじさんに、やっぱり今回もぐっと来ました。

  • 藤原伊織の作品を読むと、ひとつの目的に向かって、一心腐乱に貯金をしていた頃の自分を思い出す。月~金9時5時で派遣の仕事をしながら、夕方から3時間のバイトと週末のバイトをかけもって、とにかく稼いで貯めることしか頭になかった自分。冷静になってみると、余りにもさばさばと味気のない日々を送っていたものだと思います。どの職場でも積極的に交流をはかろうとしていなかった私に、何かと声をかけてくれて、いつしか一緒にご飯を食べたりするようになっていた先輩がいて、彼女が「藤原伊織、面白いよ」と教えてくれたのでした。

    休みを極限まですり減らして、本を読む余裕すらなくしかけていた時、その一言ですっと気が静まって、読みだした初めての藤原作品(たしかそれは「ひまわりの祝祭」だったと記憶)は、こわばっていた心を揺り動かしてくれました。大がかりな仕掛けのマジックを目の前で見るような感動。現実的ではない世界、だけれどそこには、自分と変わらない寂しさや揺れる心をもった人々が生きている、そんな親近感ももてる。

    『てのひらの闇』は、早期退職制度に従って、間もなく会社を去ろうとしている一人の男が主人公。サラリーマン生活にはまったく未練はなさそうな堀江が、最後までこだわり続けるのは、今時はやらない仁義。会社に拾ってもらうきっかけとなった会長の自殺に疑問を覚え、ただその謎を解明するために動き出す…

    遠い昔に決別したはずの自分の生い立ちと向き合わざるを得ないような状況に追い込まれ、謎の解決とともに、自分の境遇をしっかりと受け止めなおして、本当の意味での‘自分の人生’を歩み始める。ストーリー自体は切なく哀しいものだけれど、物語の終わりには、止まっていた時計が再び時を刻みだしそうな期待感というか、高揚感が感じられる。

  • 極道の息子でいまは紆余曲折を経て飲料会社の広告部の課長堀江。ある日勤務先の会長に呼ばれて託されたのは、手持ちの映像を社のCMとして流したいという依頼。しかし堀江が考えられる限りの不備を指摘した後、あっさり引き下がり、その後会長は自死してしまう。会長の自殺の理由を求めて、奔走する堀江。いつものことながら彼の周りには部下の大原やバーのナミなど、若く美しく気が強く雄々しい、けれど堀江に魅了されてしまう女性たちがいて(「テロリストのパラソル」なら塔子)。極道のころに鍛えた剣道でヤクザたちものしてしまい、会社も辞めるつもりだから自分一身のことなんか知ったことじゃない、ある意味無敵。超能力まではいかないけど、無敵過ぎる主人公はいささかなあ、と思いつつも、次々と明るみにでてくる事実、疾走感、ストーリーにぐいぐいと読まされた一冊。作者は、義とか侠気とか誇りといったものを描きたかったのかな、と思った。主人公しかり石崎しかり柿島しかり坂崎しかり。

  • 任侠のかっこ良さとミステリが融合した作品だった。
    人間の高潔さとは何か、少し理解出来た気がする。

    加賀美母娘にはびっくりした。
    確かに父のように接してくるとは言ってたけども本当に義父のつもりだったのか……!と思った。
    そしてどれだけモテるんだ会長。

    おもしろかった。

  • 昔読んだ本

  • 夫の友人からお借りしました。
    事件があって謎があって、それを追う展開なのですが、どんな方向性なのかが途中まで全然読めなくて、ワクワクが2割増しでした。。

    主人公はくたびれた中年男性。アウトローっぽい雰囲気でいざとなると超強い。剣道の達人です。
    こんなお決まりの人物像なのに、ニセモノっぽくなくてカッコイイんです。
    他にも、主人公を影で見守る暴力団組長が登場したり、そもそも事件のキーマンである大企業の会長さんは経営手腕はイマイチだけど男気のある人物だったりで、とにかくいかにも、な人ばっかりが登場するんですけど、その世界観に馴染み不自然さがありません。
    上質なハードボイルド小説っていいね、カッコイイ!と素直に思える作品でした。

  • なんていうか、出てくる人間たちがカッコイイ小説。
    大原に惚れる。

  • ー そうだ。考えるのはさきでいい。二十年、サラリーマンをやってきた。いつだって、考えるのがさきだった。考えなければ、生きていけなかった。そうでないときは、身体が動いていた。息つく暇がなかったのだ。疲労のすこしずつ溜まっていく生活が、この環状線みたいにずっとつづいた。沼の底の泥みたいに知らないうちに溜まっていった。それがこの国の企業社会だった。最後に一度くらい、例外があってもいいだろう。この奇妙な状況ではじめて、そのことに気づいたのだった。 ー

    訳ありサラリーマンが巻き込まれるハードボイルド!
    藤原伊織の作品はどれも面白い。
    今回もハラハラしたなぁ〜。

  • タフで知的で大胆な主人公の企業サスペンス。
    警察があまり絡まず、一介のしかし胆力のありそうなサラリーマンが曖昧な興味から謎を解明していく筋が他の小説の型から微妙に違い新鮮です。VTRをCMに起用してほしいとの会長の無茶な話に違和感をいだきながら読み進めて後半納得しつつ更に深い人間の絡みが顕になり、ヤクザとの大立ち回り等見所があり見所も多い。
    登場人物それぞれの利害が上手くはまり練られたストーリーで一度読んだだけでは全て理解出来なそうです。
    あとがきによると作者は電通の社員だったんですね。広告業界に精通した作者の知識が少し活かされています。
    最終23章の爽やかなエンディングも好み。

  • これまでの長編よりもさわやかな終わり方
    今回もなろう系みたいな主人公とその協力者達
    ご都合主義と捉えるかエンタメと捉えるかで評価が変わりそう、私は好き

  • 今一つ自分には合わなかったかな

  • 主人公は堀江だけど、裏主人公というか惹かれるのは石崎会長。主人公周りの設定なんかはシリウスの道に近しい雰囲気で、ヤクザが深く関わってくるのは蚊トンボを思わせる。ただ蚊トンボより設定がわかりやすい。

  • いろいろとできる人間ではある。喧嘩もできるし、人を庇う嘘も咄嗟でついたし、アナログとデジタルの一瞬の違いも見分けられた。
    だが、それらを「できる」と思うか「できてしまった」と思うかは人それぞれで、いつの場合でも、本人がどう思っているのかがすべてだと思う。

    だから、てのひらに闇があったってあなたはできることがいろいろあってすごいねなどと他人を評価してはいけないのだろうと思う。
    本人は、いろいろできるかもしれないが自分のてのひらには闇があるのだと思っているかもしれず、そのどちらなのかは簡単に知れないと思うからである。

    そういう探りを入れず、興味もなく、自分がしたいからこうすると行動するのは、関わる人間からすれば邪魔だったり、好ましかったりするが、それもやはり人それぞれだろうと思う。たまたまこの主人公堀江は、少しの人間から気に入られたし、多くの人間から嫌われたようだった。

    自分のしたいことが、相手にとっても歓迎されることだといいなと思いながら行動する。人間は思うことばかりだなと思うが、何も思わないなら人間ではないとも思う。

  • 2023年11月25日購入。

  • 主人公・堀江や坂崎の人物造詣は短編集「雪が降る」に収録された「紅の樹」がベースになっているのは明白だろう。コマーシャルビジネスの世界を舞台に様々な思惑が入り乱れ、主人公を取り巻く周囲の人間模様も多種多様。突っ込みどころもそれなりに多い作品ではあるが、海外作品ではお目に掛かれないジャパニーズ・ハードボイルドならではの人情劇やそれに伴う叙情感はやはり魅力的。ラストシーンの清々しさも特出すべき点だが、登場する女性陣が揃いも揃って男性陣にとって都合の良い人物設定で、時代性を考慮しても流石に違和感を禁じ得なかった。

  • 面白かった。テロリストのパラソル以来に藤原伊織を読んだ。政治家の佐藤の処遇とCGの理由だけが自分にしっくりこなかった。カッコいい男といい女達が際立つ話だった。

  • 主人公が中年男性でサラリーマンであること、そしてその目線での物語の進行であること が、私が藤原伊織氏を好む大きな理由ですが、本書もまたサラリーマン社会での事件を主人公の目線や思考を丁寧に描きつつ解決へと進めて行く過程がとてもスリリングで引き込まれました。主人公の生い立ちは特異なものですが、そこに起因する思考も丁寧に書いてあるので、その点も含め私のお気に入りの作品です。

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著者プロフィール

1948年大阪府生まれ。東京大学仏文科卒。85年「ダックスフントのワープ」ですばる文学賞を受賞。95年「テロリストのパラソル」で江戸川乱歩賞、同作品で翌年直木賞を受賞。洗練されたハードボイルドの書き手として多くの読者を惹きつけた。2007年5月17日逝去。

「2023年 『ダナエ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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