てのひらの闇 (文春文庫 ふ 16-2)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167614027

感想・レビュー・書評

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  • 飲料品メーカの課長堀江は、同社会長と20年前のCM撮影のあるトラブルで出会っていた。20年ぶりの再会の後、会長が自殺したことを知った堀江はその真相を探り始める。著者の作品としては、有名な「テロリストのパラソル」を読んだことがあり、好印象を持っていたが本作も劣らぬ出来。くたびれた中年男の意地を格好良く描いているので同世代には共感を呼びやすいのかもしれないが、その辺を抜きにしても構成、ラストの納得感、キャラの魅力いずれも高水準で読みやすい。

  • まさかのハードボイルド路線。中盤から特命係長っぽくなってきた。できればそっちじゃない方で読みたかった。そっちいっちゃうとご都合主義が通っちゃうんだよね。

  • サクサク読めた。
    読み心地はよかった。
    中年のおっさんのちょっぴりトキメキもあり、楽しくよめた。

  • てのひらの闇Ⅱ名残り火 を読むために再・再読

  • 恩義のある会長の死について、退職間近の主人公が調べていく。
    出身が同じだけあって、暴力団とも互角に渡り合う、ためらいのない暴力。ハードボイルド。
    高熱をおして動く前半は、やや必然性に欠けるが、熱も下がり、ものごとがいろいろ見え始めてからが面白い。

  • 石崎会長の自殺とCGで作られたビデオテープをCMに起用しようとした訳をリストラ寸前の草臥れたサラリーマン・堀江が調べていくうちに、様々な人間関係と堀江の過去が明らかになるというストーリーは奥深くて面白いです。
    ただ、『テロリストのパラソル』ほど疾走感がないのと、ハードボイルドにしてはややライトなところが残念です。

  • 直木賞作家、藤原伊織氏のミステリー。元電通社員だった頃に作家デビューしたそうで、広告代理店での経歴が活かされている。
    主人公は飲料メーカーを自主退職することに決めた、中年の会社員。仕事はでき人望もあるが、奥さんに逃げられ、私生活はイマイチ。ある日、会社の会長に呼ばれ、彼が撮影したテープを社のCMにしたいと言われるが、次の日にその会長は自殺する。彼の死の真相を探る。
    緻密で複雑な構成、ミステリーとしての完成度は非常に高い。読みやすく、内容と長さのバランスもちょうどいい。ちゃんと読者の裏をかくポイントもある。彼の本は「テロリストのパラソル」を読んだことがあるが、安定の面白さが期待できる。著者が早く亡くなってしまったのが残念である。

  • 初読み作家さん。
    自分にはよくわからない世界の話なので、どこか異世界ファンタジーを読んでいる気分だった。
    脇を締める重要キャラ達が良い仕事をしてくれるお陰で、よくわからないなりに最後まで楽しむことが出来た。

  • 会長に呼び出されたその夜、会長が自殺した。CMビデオの謎。宣伝部課長堀江が死の理由を探る。非現実的だが主人公の設定がかっこいい。そして、周りの人もかっこいい。ただ、現実にいたらひくと思う 笑。高熱があるのに、数日間、薬も飲まず、歩き回り、酒を飲むし、暴力的だし。それインフルじゃね?みんな伝染るよ。と思いながら読んだ。坂崎がかっこよかった。

    「頬に一滴、冷たいしずくの感触があった。」

  • さくっと読めるプチハードボイルド小説。始めの雰囲気からは想像付かない展開に進んでいき、ページを捲る手が止まらない。誰も彼もが結局はいい人過ぎるというか、魅力ある人物=理解力ある優しい人物になっている部分と、主人公のキャラが時折ぶれるところが若干気にはなったが、人物相関と展開が面白いので満足。

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著者プロフィール

1948年大阪府生まれ。東京大学仏文科卒。85年「ダックスフントのワープ」ですばる文学賞を受賞。95年「テロリストのパラソル」で江戸川乱歩賞、同作品で翌年直木賞を受賞。洗練されたハードボイルドの書き手として多くの読者を惹きつけた。2007年5月17日逝去。

「2023年 『ダナエ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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