名残り火 (文春文庫 ふ 16-6)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (458ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167614065

作品紹介・あらすじ

飲料メーカーの宣伝部課長だった堀江の元同僚で親友の柿島が、夜の街中で集団暴行を受け死んだ。柿島の死に納得がいかない堀江は詳細を調べるうち、事件そのものに疑問を覚える。これは単なる"オヤジ狩り"ではなく、背景には柿島が最後に在籍した流通業界が絡んでいるのではないか-。著者最後の長篇。

感想・レビュー・書評

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  • 先々月に『てのひらの闇』を再読し、続編があると知り大型書店へ。10年前の刊行本だが、無事get。
    話は前作の3年後。主人公堀江の親友柿島が、集団暴行で死んだ。犯人を探すべく、堀江は行動を起こす。
    彼を助力するのは前作と同じく、かつての彼の部下大原真理。
    さらに今作は、三上という「ファンキーなジジイ」が強力な助っ人に。この三上、上場企業の社長でありながら、頭はスキンヘッド。1450㏄のハーレーを乗り回す逸者、何と魅力的なキャラだろう。
    事件の背景の一因に、流通業界ーコンビニとFC本部との関係などーの闇を絡ませ、時代を見据えた鋭い観察眼が生んだ質の高い作品となっている。
    本作が、藤原伊織氏の最後の作品だというのはあまりにも惜しまれる。ご冥福を祈るとともに、第3弾を企画していたかもしれないと思うと、その作品が読めないことが残念至極。
    現存作家の作品には稀ともいえるほどの見識と妙味に溢れ、重厚で読み応えのある藤原伊織氏の小説。
    再読を含め、他の作品もこの機会に読んでみようかと思う。

  • シリーズ化するつもりだったのだろうと思えるラスト。まさかのナミちゃん、登場人物たちのその後が気になります

  • 素晴らしかった。やべえ。続編無いとか残念でな
    らない。これで予定調和とか登場人物が格好よす
    ぎてリアリティが無いとか言う奴はアホだと思う

  • 「人気出ちゃったから」の続編じゃないの?前回よりは期待できないなーと思いながら手に取るが、ストーリー性もさることなら、このハードボイルドな文章がいいんだよなと、話に引き込まれる。

    前作から数年後の主人公、一人で会社を立ち上げ過ごしていたが、友人の死を知り背景を独自調査する。

    フランチャイズの経営の裏側にも触れられていて、興味深い。
    特に事件が終わってからの、バーでのラストが良い。

  • 藤原氏遺作で、病床で加筆、改稿作業をおこなっていたという作品。てのひらの闇の続編にあたる。
    処女作が傑作すぎたゆえにこれまでの軌跡は順風満帆ではなかったのかもしれないけれど、結果、終わりすべて良し。処女作の伊織さんに立ち返られたような本作。この作家に出逢えてよかったと思えた作品。ぜひ。

  • てのひらの闇を読んでから読んだほうが良い作品。
    犯人の犯罪に至る心境の描写が少ないので、なんで?と首をかしげてしまう。

    アル中ハードボイルドの作品をもっと読みたかったのに、残念。

  • 先ずは、本作でとうとう藤原伊織作品を完全制覇してしまった。それもあってか感慨深い作品だったけど、やはり単純に面白かった。
    「てのひらの闇」が好きだっただけに続編で「コケたら?」といった一抹の不安があったものの、たんなる杞憂であり、前作の設定を活かしつつ十分に単体でも楽しめる作品だったと言える。

    相変わらずハードボイルドでありながらも知性を感じさせる丁寧な言葉遣いで、大人な会話が繰り広げられていくのだが、会話のやりとり自体が魅力な上に、その会話から事件の確信を突いてく様にはつくづく文章のうまい作家だったと感心させられてしまう。。
    ミステリとしては特別なギミックがある訳でもないのだが、このキャラクター達が織り成すストーリーだけで十分に愉しめる。それは上述のように会話のやりとりであったり、そこから垣間見る人間性であったりといったスパイスが巧みに利いてるからではないだろうか。

    ストーリー上では主犯の異常性に関しての背景が曖昧というか、、、なんか釈然としない気がしないでもないが、藤原伊織の遺作ともあって若干のひいき目もあり、このままでも十分だったんだと納得してしまう部分もある。。。。

    いずれにせよ、藤原伊織作品の新作にはもう二度と出会うことのない寂しさは読了後の後味として残った。
    改めて藤原伊織さんのご冥福をお祈りします。

  • 帯に「藤原伊織、最後の長編小説」とあって、ああ本当に亡くなってしまったのだなと改めて思いました。もっとたくさん書いてほしかった。「人は二度死ぬ、二度目の死は人に忘れられたとき」といいますが、作家は作品が読まれ続ける限り二度目の死を迎えることはないのですね。

  • 遂に全作品読んでしまった。名残惜しい。

  • 大事に思う人が死んでしまったから、その原因を調べる。それは「てのひらの闇」と同じだが、今回はさらにもう1人が続いてしまった。

    「もう1人」と思うのは、私の感想の書き方のせいであり、実際は他にもいる。こういった考え方の違い、誰をどのくらい大事だと思うかの違いから犯罪が起こったりするのかもしれないと気づいた。

    気をつけたい、とは思うが、誰をどのくらい大事だと思うかは、気をつけるという問題ではないので困る。

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著者プロフィール

1948年大阪府生まれ。東京大学仏文科卒。85年「ダックスフントのワープ」ですばる文学賞を受賞。95年「テロリストのパラソル」で江戸川乱歩賞、同作品で翌年直木賞を受賞。洗練されたハードボイルドの書き手として多くの読者を惹きつけた。2007年5月17日逝去。

「2023年 『ダナエ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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